EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
手嶋 英津子
eatas株式会社
代表取締役
Entrepreneurial Winning Womenの企画・協力で、旬刊経理情報に『女性リーダーからあなたへ』を連載しています。2023年6月10日号に掲載された記事をご紹介します。
eatas株式会社を設立し、現在3年目を迎えました。起業するまで、企業での管理栄養士や高校や大学での教員を経験してきました。ビジネスの経験はほとんどありませんし、キャリアプランの中で起業することを考えていませんでした。そんな私が起業しようと考え始めたのは、会社を設立する2年ほど前です。
起業する前は大学教員として、管理栄養士の養成に携わっていました。私自身も管理栄養士として経験する中で、業界が抱える問題、働き方などに疑問を持つことがありました。管理栄養士は女性が多い職種です。また、管理栄養士が一人しかいない職場も多く、結婚や出産に伴い働きづらさなどキャリアを形成していく上で不安を感じやすい職種でもあります。
私は、そのような現状を踏まえ、大学で学生を社会に送り出す立場から社会で学生を迎える立場になりたいと思うようになりました。ライフステージが変化しても管理栄養士が生き生きと働ける場をつくりたいと思ったのが起業のきっかけです。
起業をするときに決めていたことは、「栄養×テクノロジー」を強みとした会社にすることでした。私自身が大学教員時代に小学生用食育アプリを開発し、テクノロジーの力で世界が変えられるかもしれないということを実感したことが理由です。そこで、大学を退職し会社を創業する前に起業家エンジニア養成スクール「ジーズアカデミー」に半年間通い、プログラミングについて学びました。この期間に卒業制作として作ったプロダクトが現在のサービスの原型となっています。ゼロイチのプロダクトを開発するにあたり、なぜ私がそれをするのかという「Why me?」にとことん向き合いました。私はこの「Why me?」と向き合うことで、起業してからも目指したい世界の軸はぶらさずに進むことができています(事業は日々試行錯誤の連続です)。
この時に作ったプロダクトは「eat+(イータス)」という、管理栄養士が栄養指導の成果を上げることができる栄養指導用のアプリです。「食にプラスの価値を」「管理栄養士の価値を高める」という思いを名前に込めています。今ではこの「eat+」が会社名となり、サービス名となっています。また、この時のチームメンバーが現在の共同創業者となっています。
会社を設立から3年目に突入した2023年4月に管理栄養士のコミュニティを作り、全国の管理栄養士がリモートでライフステージに関係なく働く場もつくることができました。まだまだスタートしたばかりですが、起業前に思い描いていた「栄養×テクノロジー」で世界を変えたいということに少し近づいていると思います。起業は困難な道のりですが、自身の情熱や興味を持つ分野でビジネスを展開することは、困難に立ち向かう力を与えてくれます。
AIが発展し、ますます便利な世の中になってきました。AIと共存する中で大事になるのは一人一人の想いや情熱だと私は思っています。人の心を動かすのは人です。自分が本当にやりたいことや社会に貢献できる分野を見つけ、それに向かって情熱を注ぐことがますます求められる時代になるのではないでしょうか。
手嶋 英津子(てしま・えつこ)
eatas株式会社 代表取締役
略歴
中村学園大学大学院栄養科学研究科博士前期課程修了。大学講師として勤務し全国初「授業用食育アプリ」を開発。アプリを活用した教育実践が評価されApple社より管理栄養士で唯一のApple Distinguished Educatorに認定される。2020年大学を退職後、2021年3月にeatas株式会社を創業。現在、パーソナル食事指導用アプリ「eat+(イータス)」を開発中。日本ダイエットカウンセリング協会顧問管理栄養士、福岡市データエンジニアカタパルトメンターに就任。