OECD、BEPS行動8に基づく無形資産の移転価格に関する最終ガイダンスを発表

OECD、BEPS行動8に基づく無形資産の移転価格に関する最終ガイダンスを発表

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EY 税理士法人

2015年11月19日
カテゴリー その他

Japan tax alert 2015年11月19日号

経済協力開発機構(OECD)は、2015年10月5日、税源浸食と利益移転(BEPS:Base Erosion and Profit Shifting)に関する行動計画の行動8-10に基づく移転価格に関する最終報告書を公表しました。この「移転価格の側面」は、OECD移転価格ガイドラインの第1章セクションDの改正、コモディティの取引に関するガイダンス、無形資産に関するOECD移転価格ガイドラインの第6章の改正、低付加価値グループ内役務提供に関するOECD移転価格ガイドラインの第7章の改正、費用分担契約に関するOECD移転価格ガイドラインの第8章の改正、及び取引単位利益分割法に関するガイダンスに関連するものです。

本アラートは、無形資産に関する新たな章(第6章)及び費用分担契約に関する新たな章(第8章)、並びに無形資産関連のリスクに関連して第1章に含められる予定のリスク及びリスクの統制に関する新たなセクション(以下、「2015年ガイダンス」)について説明しています。

これは、BEPSプロジェクトからの無形資産に関するOECD移転価格ガイドラインの最終アップデートになります。ただし、第6章パートD内のセクションの一つ(無形資産取引の価格決定に係る取引単位利益分割法の適用に関するもの)は、OECDがこの移転価格算定方法に関する新たなガイダンスを完成させた際に改正される可能性が高いと思われ、これは2017年初めになると予想されています。

おわりに

多国籍企業は、新たに定義されたマーケティング上の無形資産について、自身の既存の移転価格方針が新たなガイダンスに含まれる無形資産の幅広い定義と整合しているかどうかを評価する必要があります。多国籍企業は、自身の方針が市場固有の特徴やシナジーのような比較可能性要素を正確に反映しているかどうかを確認すべきです。

この分野におけるOECDの作業目的は、移転価格の結果が、利益を価値創造の機能及びリスクの統制と整合させることにより、起きている物事の現実を反映するようにすることです。価値創造に貢献する機能(無形資産に関連するDEMPE機能)を、価値のドライバーから利益を実現する事業体(無形資産の法律上の所有者など)から切り離しているグループにおいては、グループ内のどの事業体が経済的に重要なリスクを統制しているかの評価に係る枠組みを踏まえて、それぞれの事業体の関連する貢献を注意深く評価することが必要となります。これは、グループのマスターファイル及び現地の移転価格文書(ローカルファイル)において適切に文書化されるべきです。

加えて、HTVIに関する新たなガイダンスを含む、無形資産を伴う取引の評価及び価格決定に関する第7章におけるガイダンスでは、各グループが頑健な価値評価手法を採用することが必要であるとし、かつ予測可能な偶発事象の結果に応じた価格決定の調整の考慮を必要とする可能性があることを明確にしています。また、これは関連する事業体に係る現地の移転価格文書(ローカルファイル)において注意深く検証されることが必要となります。

CCA又は類似のアレンジメントを利用している多国籍企業は、自身の既存のアレンジメント、特に参加者の資格、リスクに係る統制及び拠出の測定を評価することが不可欠です。

※本アラートの全文は、PDFでご覧いただけます。

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