
欧州における日本企業グループの国別報告書(CbCR) 英国がEUのCbCR指令案公表後に新規則を制定
Japan tax alert 2016年3月4日号
2016年2月26日に、英国は国別報告書(Country-by-Country Reporting、CbCR)に係る新規則を制定しました。本規則は、2016年1月1日以後に開始する会計年度から適用されるため、2016年1月1日から2016年3月31日までの間に開始する会計年度を有する日本企業にとっては、国別報告書の提出期限が日本よりも前倒しとなる英国税法上の規定が英国で適用されることとなります。EUの国別報告書に関する指令が採択されると、EU加盟国は国内法を指令に沿って制定又は改正しなければなりませんが、各国の国内法に個別にどのような影響を与えるかはまだ明確になっておりません。英国に続いて、他のEU加盟国においても国内法制化が行われていく可能性があり、各国の規則がそれぞれ日本の多国籍企業にどのように適用されるかを考慮する必要があります。
結論
英国で事業を行う日本の多国籍企業のすべてが、この新たな英国の規則を考慮に入れるべきです。3月末決算の日本企業は、必要な全情報が日本の税務当局に対して報告されているという理由に基づき、上記規則の適用免除を申請できる可能性があります。他方、暦年決算、1月末決算及び2月末決算の日本企業は、それぞれ、2016年12月期決算、2017年1月期決算、2017年2月期決算については、日本国内よりも早く、英国で国別報告書を提出する義務に直面する可能性があります。
すでに法律として制定されているこの新法令と、国別報告書に関するEU指令案との相互関係は今のところ完全には明確ではなく、同指令の最終的な形式に左右されます。EU指令は加盟国の国内法令に優先することから、日本の企業グループが同指令に基づき(他のEU加盟国で)報告する限り、英国で別個に報告する必要はなくなるかもしれません。この2つの規則の主な相違点は、EU指令は世界全体の情報の報告を要求する可能性が高いのに対し、英国の国別報告書制度は英国企業とその子会社に関する情報のみを要求しているということにあります。
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