EUがOECD行動13の国別報告書に基づく指令を採択、他の租税回避防止措置の一般的アプローチを合意

EUがOECD行動13の国別報告書に基づく指令を採択、他の租税回避防止措置の一般的アプローチを合意

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Japan tax alert 2016年5月31日号

エグゼクティブ・サマリー

2016年5月25日、EU経済財政理事会(以下、「ECOFIN」又は「理事会」)は、自動的情報交換に関する指令を採択することで合意に達しました。この指令は、OECD行動13の国別報告書(CbCR)を実施するものです。また、理事会は、租税回避防止指令に対する一般的なアプローチについて合意し、2016年6月17日の次のECOFINで、再改訂後の指令案の採択を目指すこととなりました。さらに、理事会は、効果的な課税のための対外戦略に関する欧州委員会のコミュニケーション及び租税条約濫用防止措置に関する欧州委員会の勧告について、一定の結論を採択しました。

詳細

税務情報交換に関する指令

理事会は、税務情報の自動的交換に係る改正指令を全会一致で採択しました。この改正指令は、大規模の多国籍企業に対し、収入、税引前利益(又は税引前損失)、支払法人税、発生法人税、資本金、利益剰余金、有形資産、従業員数に関する情報の「国別報告」を義務付けています。2016年1月1日以後に開始する会計年度が報告対象初年度となります。グループの究極的な親会社(UPE)が、その税務上の居住地であるEU加盟国の税務当局に対して、報告することが義務付けられます。ただし、UPEが加盟国の居住者でない場合は、(加盟国もしくは非加盟国の)代理親会社又は加盟国所在の子会社が、国別報告書を提出することが必要となります(二次的報告)。改正指令は、この二次的報告の適用開始時期については、2016年1月1日以後に開始する会計年度を報告対象初年度とするか、1年延期して、2017年1月1日以後に開始する会計年度を報告対象初年度とするかの選択肢を加盟国に与えています。国別報告書の提出期限は、会計年度末から12カ月以内です。また、加盟国の税務当局は、会計年度末から15カ月以内に国別報告書を加盟国間で自動的に情報交換することが義務付けられます。

租税回避防止指令

1. ハイブリッドミスマッチ

現在の草案におけるルールでは、二重控除が発生する場合には、源泉地国のみが損金算入を認め、益金算入を伴わない損金算入が発生する場合には、支払者は損金算入を否認されます。

議長国は、EU加盟国間のハイブリッド取引に限定されている現在の文言を承認するよう提案しておりますが、2016年10月に、第三国とのハイブリッド取引に係る適用についても検討するとしています。

2. スイッチオーバー条項

議長国は、現在の草案の内容はほとんど付加価値をもたらさないと結論付けましたので、当該条項は最終的な採択の際には廃案とされる可能性が非常に高いと思われます。

3. 最低税率

欧州委員会は、EU域内最低税率の設定を加盟国に義務化する意図はないということを強調しました。

4. 外国子会社合算税制(CFC税制)

現在の草案では、外国子会社及び恒久的施設(PE)が親会社の加盟国の50%未満相当の実効税率で課税されている場合に、その未配分利益に課税することとされています。

課税対象所得は、大きく分けて、金融所得(利子等)/ロイヤルティ/配当/リース収入及び保険・銀行等の金融活動から稼得した所得、又は税務上有利な取り扱いを受けることを目的とする真正でない取決めから稼得する所得です。

前者については、納税者が当該取引に関する正当な商業上の目的を立証できればCFC税制は適用されません。後者については、CFC税制が適用されるか否かは重要な人的機能がどこで遂行されているかによります。

CFC税制は、EU及び非EU加盟国の外国子会社/PEの両方に適用され、EU司法裁判所の判例法から導き出される実体の定義に基づきます。これらの規則の立証責任は税務行政側にあります。

5. 利子損金算入制限

利子損金算入制限規定は、OECDのBEPS行動4をより忠実に反映するように、支払利子の損金算入の上限をEBITDA(利子、税金、減価償却費及び償却費控除前の課税所得)の30%に制限するように修正されました。

また、国によっては、当該法人の自己資本/総資産の比率がグループの同比率より2%ポイント以下までの場合、超過支払利子について損金算入を容認しても良いとしています(資本除外ルール)。また、グループの第三者に対する超過支払利子をグループのEBITDAで除して算定するグループ比率に基づき、損金算入しても良いとしています(グループ比率ルール)。

さらに、300万ユーロのデ・ミニミス基準が設けられ、単独事業体に対する適用除外規定もあります。

2016年5月22日より前に実施された貸付、及び公共インフラ・プロジェクトに対する適用除外規定もあります。

6. 出国税

最初の草案から変更はないものの、移行期間を延長することが検討されています。

7. 一般的租税回避防止規定(GAAR)

現在の草案には、税務上有利な取り扱いを受けることを主たる目的として行う真正でない取決めを標的とする、一般的租税回避防止規定が含まれています。

※本アラートの全文は、PDFでご覧いただけます。

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