利益分割、恒久的施設への利益の帰属及び事業再編に係るOECD移転価格ガイドライン第9章の整合性を図るディスカッションドラフトをOECDが発表

利益分割、恒久的施設への利益の帰属及び事業再編に係るOECD移転価格ガイドライン第9章の整合性を図るディスカッションドラフトをOECDが発表

EY Japanの窓口

EY 税理士法人

2016年7月28日
カテゴリー BEPS

Japan tax alert 2016年7月28日号

エグゼクティブサマリー

2016年7月4日、経済協力開発機構(OECD)は利益分割(BEPS行動8-10)及び恒久的施設への利益の帰属(BEPS行動7)に関する修正ガイダンスについてのディスカッションドラフトを公表しました。また、OECD移転価格ガイドライン第9章(事業再編)の整合性を図るための文書のパブリックレビューも求めています。

「BEPS行動8及び9-10:利益分割に係る修正ガイダンス」と題されたディスカッションドラフト(以下、「利益分割ディスカッションドラフト」)は、グローバル・バリュー・チェーンにおける取引単位利益分割法に関するガイダンスの明確化及び強化を目的としています。「BEPS行動7: 恒久的施設(以下、「PE」)への利益の帰属に係る追加ガイダンス」と題されたディスカッションドラフト(以下、「PEディスカッションドラフト」)は、コミッショネア及び類似のアレンジメントにより設立されたPEを含む従属代理人PE、及び事業PEの一定の場所としての倉庫に関して、恒久的施設(PE)への利益の帰属に係る追加ガイダンスを示しています。「移転価格ガイドライン第9章の整合性に関する改訂」と題されたパブリックレビュー向けの文書(以下、「第9章パブリックレビュー文書」)は、事業再編に係る移転価格ガイドライン第9章の整合性を図る改訂で、2015年のBEPS報告書を踏まえた移転価格ガイドラインの改訂に続くものです。

利益分割ディスカッションドラフト及びPEディスカッションドラフトで示されている見解や提案事項は、OECD租税委員会の統一の見解を表すものではなく、パブリックコメントを求める機会を作るためドラフトとして発表されました。パブリックコメントは9月5日までに提出する必要があります。これらのディスカッションドラフトについてのパブリックコンサルテーションは2016年10月11日~12日に開催されます。第9章パブリックレビュー文書についてのパブリックコンサルテーションはありませんが、パブリックコメントが2016年8月16日までに提出を求められています。

おわりに

上記のディスカッションドラフトで示されている提案事項は、寄せられたパブリックコメント及びこれから開催されるパブリックコンサルテーションを踏まえて更に検討される予定です。利益分割ディスカッションドラフトの提案事項は、高度に一体化した活動を行うグローバル事業に特に関係してきます。PEディスカッションドラフトは、様々なグローバル事業に関係してきます。企業にとっては、OECDや事業を営む国における同分野の進展を引き続き注視し、この国際的な租税問題について政策当局と積極的に議論を交わしていくことが重要です。

本アラートの全文は、2016年7月14日発行のEY Global Tax Alert(英文のみ)でご覧いただけます。

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