インドにおけるGST最新情報

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2016年8月24日
カテゴリー 間接税

Japan tax alert 2016年8月24日号

インド政府、GSTの2017年4月導入に向けたロードマップの概要を発表

2016年8月3日に憲法修正法案が上院で可決されたことを受けて、ハスムーク・アディア財務省歳入局次官は8月4日に行われた記者会見で、GSTのロードマップを明確にするとともに、2017年4月1日のGST導入予定日に変更はないことを発表しました。

GST導入の全過程が明らかにされ、大別すると法的枠組み、ITインフラ、チェンジマネジメントの3つに分かれますが、それぞれ暫定的な期限が設定されています。GST導入へ向けた課題も浮き彫りになりました。

ロードマップの中で明らかになった主な期限は、以下の通りです。

  • 30日以内に16州がGST憲法修正法案を承認
  • 冬季国会及び州議会に全ての法制案を提出
  • 憲法修正法案成立から60日以内にGST委員会を発足
  • 2016年11月までにGSTネットワーク及び州のITバックエンドを構築
  • 2017年1月までに実際の取引によるソフトウェアのテストを実施
  • 2017年3月までにチェンジマネジメントの一環としての支援プログラムの完成

課題は、以下の事項に関するものです。

  • GST税率体系
  • 収益標準及び対価の算定
  • 免税対象リスト
  • GST法に関する合意
  • 下限税率に関する合意
  • 中央及び州による調査案件に対する行政上の管理

政府は期限に間に合わせるためにあらゆる努力をするようです。この新たに一元化されたGST制度への移行に伴い、産業界でも必要な準備を進める必要があります。

GST関連憲法修正法案、上院で可決

第122回憲法修正法案2014は、2015年5月6日に下院(ロック・サバー)を通過しましたが、正式な修正を経た同法案が2016年8月3日にようやく上院(ラージャ・サバー)で全会一致で可決されました。インドの独立以降、最も歴史的かつ重要な税制改革の1つであるGST導入に大きく前進したことになります。

上院の可決に至るまでの同法案の主な修正点は、以下の通りです。

  1. 当初提案されていた州をまたぐ物品の供給全てに対する1%加算税の撤廃
  2. GSTの導入によって生じる州の税収減収分を5年間全額補てん
  3. GST委員会の勧告に起因する、中央政府と州もしくは州と州との間の紛争解決の枠組みの策定

GST税率の上限はまだ確定しておらず、同法案には含まれていません。

今後、同法案は下院に提出され、修正事項の承認の後、3分の2の多数決をもって可決される予定です。その後、大統領による付託権の行使を経て、半数以上の州の州議会で3分の2の多数決により承認された後、同法案の成立が大統領の裁可を受ける見込みです。そして、法案成立から60日以内にGST委員会を発足、GSTネットワークの構築、州をまたぐ供給に課税されるGST法と共に中央及び州のGST法の制定、という流れになります。

政府が冬季国会で物品サービス税(GST)法案を取り上げる可能性もあります。

今後数日の間に、運営及びコンプライアンスのプロセス、供給地、その他の規則等、GSTの法制化を中心とした更なる動きがみられると思われます。GSTの動向については随時お知らせいたします。

本アラートは、GSTに関するニュースと貿易に影響を及ぼす最新の動向のインサイトを提供するものです。詳細については、EY担当者へご連絡下さい。

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