
米国税制改革アップデート 税制改革上院修正案
US tax alert 2017年11月16日号
先日のアラートでお伝えしたとおり、下院案が本会議審議に入る一方、上院では財政員会による委員会法案の審議(マークアップ)が引き続き行われています。そのため、委員会で可決されるまでは法案内容はかなり流動的ではありますが、現時点で日本企業に関心が高いと思われる項目を解説します。財政委員会のマークアップでは12.5%の配当支払控除(DPD)が11月15日にも導入されるのではないかという憶測もあり、目が離せない状況です。下院の本会議審議は今週にも大きな変更はなく可決されると見込まれており、今後は上院案の可決、その後の両院一致法案における可決の行方が注目されます。
法人税及び事業活動に対する課税
- 内国法人が受け取る内国法人配当に対する非課税措置(DRD)の減額
・現状70%(持分20%未満)→ 50%
・現状80%(持分20%以上80%未満)→ 65%
・配当所得に対する法人税低減の影響が消滅
- 2017年9月28日から2022年末までに取得される動産事業資産の100%初年度償却
・映画・テレビ・劇場プロダクションに対象を拡大
- 2024年及び以降の課税年度のNOL使用額を当期課税所得の80%に制限
- 研究開発費用の5年償却(米国外で行われる研究開発は15年償却)
- ネット支払利息損金算入制限
・Adjusted Taxable Income(利息前の課税所得)の30%を超えるネット支払利息損金不算入規定適用対象から農家を除外
- 米国多国籍企業グループのネット支払利息を全世界Debt/Equityレシオに基づき損金算入制限(下院案は米国外に親会社がある多国籍企業グループにも制限適用)
・説明文書のタイトルでは米国に親会社がある場合にのみ適用と思われるが法文発表時又はさらなる説明文書にて最終確認要
国際課税
- 多国籍企業グループに「Base Erosion Minimum Tax」
・グループ売上5億米ドル以上(50%資本関係グループ総額)及びBase Erosion Paymentが全体費用の4%以上のケースに適用
・「Base Erosion Payment」に基づく「Base Erosion Tax Benefit」を算定
・ Base Erosion Paymentは米国法人が米国外関連会社(25%株主、25%株主又は該当米国法人の50%超の資本関係にある者、又は米国移転価格税制上関連者と扱われる者)に行う費用項目及び資産取得支出(売上原価は対象外と言うマークアップの説明あり)
・30%源泉税対象となる支出は対象外(条約で源泉税が低減されている場合には低減相当分額がBase Erosion Payment扱い)
・Base Erosion Paymentに基づく損金算入額がBase Erosion Benefit
・修正課税所得に10%(2026年からは12.5%)乗じた金額が通常の税額を超える金額が「Base Erosion Minimum Tax」
- 米国でECI・PE事業所得を認識するパートナシップ持分を外国人パートナーが売却する際、パートナシップ内部資産持分相当を売却したかのように扱われる結果としてECI・PE課税の対象となる
個人所得税
- 多くの個人所得税減税措置を10年間の時限措置化
- 子女税額控除を一人当たり2,000米ドルに増額
- 非適格繰延報酬の権利確定時課税案取下げ