
2018年度英国秋季予算ハイライト
Japan tax alert 2018年10月31日号
10月29日、英国財務相、フィリップ・ハモンド(Philip Hammond)は2018年度英国秋季予算を発表しました。英国のEU離脱の不確実性を背景に、税制の抜本的な変更や大幅な減税の余地は多くありませんでしたが、英国が法人税減税に踏み切り2020年に17%に引き下げることに留意すべきです。また、英国が2020年に新しいデジタルサービス税(DST)を導入することを確認し、他の大半の国よりも税源浸食と利益移転(BEPS)の課題を速いペースで追求することを示していることにも注目すべきでしょう。特定の法人税について再調整が一部行われるので、影響を受ける日本企業グループは自社の個別の事実に即して、詳細に分析する必要があります。また財務相は、「合意なき」EU離脱により経済状況が変わる場合、2019年の春季財政演説を完全な予算に格上げする可能性を含む財政介入を検討することを明らかにしました。
法人税制度の主要な変更には以下が含まれます。
- デジタルサービス税
- のれん
- グループ離脱チャージ
- キャピタル・アローワンス(適格資産に対する英国税法上の減価償却制度)
- 法人キャピタルロスの制限
- 無形固定資産に関するオフショア収入(旧ロイヤリティ源泉徴収税)
- 恒久的施設(PE)の細分化防止
全体的な動向としては、英国は引き続き、国際的なビジネスからの投資誘致に焦点を当てており、税制の調整とBEPSの課題の追求を行っています。日本企業は引き続き、外国子会社合算税制(いわゆるタックスヘイブン対策税制)の観点から低税率の影響に焦点を当てることになり、上記に概説したさまざまな措置の影響を英国内および対英国の事業活動において考慮する必要があります。新しいDSTは現在、多くの日本企業への影響は限定的かもしれませんが、将来の税制の方向性を示すものであり、英国が他国に先んじてこの分野の変更を実施している事例です。英国財務相からのメッセージは、「英国はビジネスのために開かれている」というものです。
※本アラートの詳細は、下記PDFからご覧ください。