BEPS update ~オーストラリア、韓国、台湾、ドイツ、米国、ベルギー、ロシア~

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EY 税理士法人

2018年9月20日
カテゴリー BEPS

Japan tax alert 2018年9月20日号

オーストラリア

2018年8月16日、ハイブリッドミスマッチのインテグリティ措置案がオーストラリア議会を通過し、現在は女王の裁可を待っています。OECDのハイブリッドミスマッチ・ルールは、2019年1月1日以降に開始する課税年度から適用されます。ただし、ミスマッチの輸入に関する規則(支払の輸入が計画的な取決めに基づく場合を除きます)は、2020年1月1日以降に開始する課税年度からの適用となります。 

また同日、オーストラリア議会は、税源浸食及び利益移転(BEPS)を防止するための租税条約関連措置を実施するための多国間条約(MLI)を承認しました。女王の裁可を受ければ、オーストラリアはMLIを正式に批准することになります。オーストラリアでMLIが発効するのは、OECDに対してMLIの批准書を寄託した日から3カ月経過した翌月1日となります。2018年9月末までに批准されれば、オーストラリアでは2019年1月1日からMLIが発効することになります。 

韓国

2018年7月30日、韓国企画財政部は、2018年税制改正案(改正案)を発表しました。富の再配分と税収基盤の拡大を目指しています。

改正案にはとりわけ、OECDのBEPS行動計画7に沿った規定が含まれています。BEPS行動計画7で推奨される恒久的施設(PE)に関する規則の実施を約するものとして、改正案はOECD理事会が2017年11月21日に承認したOECDモデル租税条約第5条(PE)の改訂内容を反映しています。これには、(i)PEとされない場合についてのより多くの要件、(ii)PE規則の個別の例外における誤用防止、 (iii)代理人PEの範囲の拡大が含まれます。

また改正案では、移転価格の文脈において、移転価格算定方法の適用に当たって税務当局は、当事者間の商業上、財務上の関係及び取引に著しい影響を及ぼす条件を考慮して、居住者と国外関連者間の取引が実際に生じたものかどうかを明確に確認しなければならず、同様の状況下で独立企業間で行われる取引と比較して、検証される取引の合理性を決定しなければならないとしています。検証される取引が商業的に妥当性をかなり欠いており、独立企業間価格算定の基礎として使用できない場合、移転価格算定方法の適用において、取引全体として否認されるか、又は再度取引の適切な特性を決定することができます。 

この規定は、2019年1月1日以降に開始する事業年度に適用されます。

台湾

2018年6月25日、台湾財務省は、「租税条約に対する相互協議手続適用のための規則」(規則)を公表しました。台湾は、合計32の租税条約を締結しており、それらのすべてに、OECDモデル条約第25条に相当する一般的な表現の相互協議条項が含まれています。公表された規則は、納税者と税務当局が紛争解決メカニズムをより効果的にし、合理的な時間内に案件を解決するための手続を提供するものです。台湾はまだBEPSに加盟していませんが、規則の発表はBEPS行動14に則したものです。財務省は、タイムリーで効果的かつ効率的な方法による税務紛争の解決を目指して、規則がBEPS行動14のミニマムスタンダードを満たすことを具体的に示しています。相互協議に加えて、規則は二国間又は多国間事前確認制度のための具体的な手順も規定しています。この規則は2018年6月25日から適用されます。

ドイツ

2018年8月16日、ドイツ財務省は、2016年報告年度のドイツ米国間国別報告書の自発的情報交換に関する通達を発表しました。 これは、2018年7月10日に公表されたドイツと米国の共同声明に続くものであり、税務当局は、2016年1月1日以後2017年1月1日より前に開始した事業年度を対象とする多国籍企業グループの国別報告書を自発的に交換すると述べられています。また、両国は現在、国別報告書の自動交換を可能にする当局間合意の交渉を行っています。

米国

2018年8月23日、内国歳入庁(IRS)は、国別報告書の自動的交換のための当局間合意(Competent Authority Agreement、CAA)を米国と締結した国のリストにオーストラリアを追加しました。IRSは、米国と既にCAAを締結した国・地域、並びにCAAの締結に向けて交渉中の国・地域の最新のリストをホームページに掲載しています。

Country-by-Country Reporting Jurisdiction Status Table

ベルギー

2018年8月10日、2017年初頭に施行された改正法人所得税(CIT)におけるさまざまな措置を修正する法律が、ベルギー官報に掲載されました。とりわけ修正は、以下について主に「微調整」を行う技術的変更に関わるものです。 

(i)増加みなし利子控除の計算及び特定の濫用防止規定の導入、(ii)外国子会社合算税制(CFC)の範囲、 (iii)利子、税金、償却前利益 (EBITDA) に基づく利子損金算入制限、(iv)グループ拠出による連結税制の適用 

ロシア

2018年8月3日、ロシア連邦大統領は、ロシアの移転価格規制を改正する法律に署名しました。この法律は、移転価格規制の対象を、(i)その利益に対して異なる税率、又は特別な税制が適用され、かつ(ii)これらの取引収入が年間10億ルーブル(約1,480万ドル)を超えるロシア企業間取引とすることで、ロシアの移転価格規制の範囲から相当数の国内取引を除外しています。また関連者間国際取引(関連者間取引と同等とみなされる取引を含む)の合計所得金額が6,000万ルーブル(約900万米ドル)を超える場合を、ロシアの移転価格規制の対象としています。

同法は、2019年1月1日以降に所得及び/又は経費を認識する取引について効力が生じます。