EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
2021年2月18日に、OECD税務行政フォーラム(Forumon Tax Administration)は、国際コンプライアンス保証プログラム(International Compliance Assurance Programme/ICAP)の税務行政当局及び多国籍企業向けハンドブックを公表しました。
ICAPとは、多国籍企業と複数の税務行政当局が協力して多国籍企業の税務リスクを評価、保証する自発的多国間プログラムです。多国籍企業の本社の所在国の税務行政当局をリード役として、少なくとも3か国、想定では4から8か国の税務行政当局が一つの参加多国籍企業の税務リスク評価を行うものです。ICAPは移転価格の事前確認(APA)のような一定の法的確実性を提供するものではありませんが、参加税務行政当局は評価対象事項についてリスクが低いと考えており、一定の期間は当該事項の更なる検討のための税務調査は行わないであろうとの安心感(comfort)や保証(assurance)を与えるものです。審査の対象となるリスク事項としては、移転価格、恒久的施設(PE)、ハイブリッドミスマッチ、源泉所得税や租税条約上の特典などが想定されています。
ICAPは2018年に日本を含む8か国の税務行政当局が参加する試行プログラムとして開始され、2019年には第二弾の試行も行われています。
2021年のICAPハンドブックによれば、ICAPは1.選定、2.リスク評価、3.結果の3つの段階により構成されています。まず、選定段階において、参加多国籍企業の提出する初期提出文書を元に、参加税務行政当局の選定及び初期提出文書のレビューが行われます(4-8週間)。次に、参加多国籍企業は本格審査のための文書提出を求められ、参加多国籍企業と税務行政当局の間での議論を通じて対象事項の審査が行われます(20週間以内)。最後に、参加多国籍企業は、リード役である税務行政当局からのICAPのプロウセスが完了した旨のレター及び各参加税務行政当局からの対象事項に係る審査結果のレターを受け取ります(4-8週間)。
OECD税務行政フォーラムのウェブサイトはさらに、次のICAP申込みの締切りは2021年9月30日であり、ICAP参加について税務行政当局と話をしたい多国籍企業は、締切り前に本社所在地の税務行政当局にコンタクトするよう求めています。
なお、さらなる詳細として、2021年2月24日付 EY Global Tax Alert [OECD Forum on Tax Administration releases new handbook for International Compliance Assurance Programme (ICAP)](英語)もご覧ください。
※本アラートの詳細は、下記PDFからご覧ください。