EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
2020年8月に「経常項目の外貨業務ガイドライン(2020版)」(匯発[2020] 14号)(14号通達)を公布した後、中国の国家外貨管理局(SAFE)は、移転価格(TP)調整に関する海外への支払いを含む特定のシナリオに関して、銀行が従うべき支払い申請に対する審査と処理の原則および手続きに関するガイダンスを最近公表しました。SAFEはまた、サービス貿易に係る外貨の受払いに関連する様々な管理に関わる事項についても明らかにしました。
ガイダンスでは、商業取引の真実性と法的コンプライアンスを審査し、かつ外貨の受取または支払の申請内容がその根拠となる取引と一致し、それを反映していることを銀行は確認しなければならないと明確にしています。SAFEは、以下の3種類の調整について必要となる書類についても明示しています。
SAFEの今回のガイダンスは、TP調整を含む国境を越えた取引の柔軟性が高まる良い兆候とも思われます。しかし、必要な書類に関する具体的な要求の内容は各地のSAFEや銀行に任されているため、実務的な不確実性は依然として存在します。例えば、税務当局からの書面がない場合に、納税者とその関連者が自ら行うTP調整(すなわち、TPの自主調整)に係る支払いを各地のSAFEや銀行が許可するかどうかは明らかではありません。さらに、売買取引に関連するTP調整の場合には関税と輸入VATへの影響も考慮する必要があります。
納税者は、現地の実務動向を注意深くモニターし、状況に応じて既存のTPポリシーと文書を再検討する必要があります。中国子会社との間で国境を越えたTP調整を実施しようとする多国籍企業は、関連する政府当局や銀行との交渉を支援してもらうために、専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。
本アラートの詳細は、2021年4月14日付EY Global Tax Alert「China clarifies procedures for processing payments for transfer pricing adjustments」(英語のみ)をご覧ください。