EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
以下のドイツ最新情報についてご紹介します。
暗号通貨およびトークンの収益税法上の取扱いに関する税務当局の見解が、初めて通達案として公表されています。
EU委員会は、企業課税に対する中長期的な目標を2021年5月18日付プレスリリースにおいて発表し、下記の4つの行動計画について、この先2年間のうちに法改正に関する提案を作成することを明らかにしました。
さらに、EU域内における共通の税務上の課税標準がタックスアジェンダとして取り上げられています。
連邦財務省は、接待費用の税務上の損金算入に関する1994年の適用通達を改訂しました。2021年6月30日付の新しい通達には、従来の記載要件の追加に加えて、デジタル化に伴うシステム要件、ならびに電子的方法による帳簿、記録および文書の記帳および保管ならびにデジタルアクセスに関する原則(Grundsätzen zur ordnungsmäßigen Führung und Aufbewahrung von Büchern, Aufzeichnungen und Unterlagen in elektronischer Form sowie zum Datenzugriff:GoBD)」の要件およびプロセスドキュメンテーションも盛り込んでいます。
EUの関係機関は、国別報告書(Country-by-Country Reporting -CbCR)の開示に関する政治的合意に達しました。連続する2事業年度における(グローバル)連結ベースの売上高が年間7億5千万ユーロを超える企業に対しては、将来的に税務データを開示することが義務付けられることになります。今後、改正指令の採択手続きからEU加盟国での国内法化という正式手続きを経ることになるため、開示義務の対象となる事業年度は、早くとも2023年初め以降開始する事業年度になると考えられます。
ドイツは、多国間措置実施条約(Multilateral Instrument-MLI)の批准を受け、ドイツが締結しているいくつかの租税条約について、MLIによらず二国間協議を通じた改正を進めています。MLIに定められた基準を盛り込んだ改正議定書が署名済みの7つの租税条約(デンマーク、リヒテンシュタイン、エストニア、キプロス、英国、アイルランド、オランダ)に関しては、現在立法手続き中です。
ドイツ国内の公的機関で登録された「権利」(特許権、商標権、意匠権等の知的財産権、ソフトウエア、その他の権利)の期間制限のある供与に対する報酬は、非居住者間でのライセンス供与の場合も制限納税義務の対象となります。したがって、該当するライセンスのライセンシー(債務者)は、ドイツでの源泉税申告納付義務を負うことになりますが、実質的に争いの余地のない租税条約適用のケースにおいては、簡便規定が適用され、すでに支払いの行われた、または、2022年6月30日までに支払われるライセンス料について、ライセンサー(債権者)またはライセンシー(債務者)がライセンサーの代理人として2022年6月30日までに租税条約に基づく遡及的な免除申請書を(連邦中央税務局に)提出する場合には、源泉税申告または源泉徴収義務から免除されます。
連邦財務省は、1983年の行政原則を始めとする既存の各種通達に取って代わる移転価格に関する包括的な適用通達(行政原則)を公表しました。
2021年7月1日から施行されているEU VAT Eコマース(EU付加価値税デジタル)・パッケージの下では、(オンライン・マーケットポータルを含む)電子プラットフォームの運営者に対して、当該プラットフォームを利用する通信販売業者による特定の売上について、特別な納税義務が課されています。ドイツはこのEU規定にかかわらず、マーケットポータル(インターフェース)運営者に対する連帯責任に関するドイツの国内規定を引き続き運用するとともに、電子インターフェースの運営者に対する登録および認可義務を導入しています。
連邦財務省は、2021年6月24日付連邦財務省通達を通じて、旅行役務の課税に関する改訂VAT適用通達を公表しました。旅行役務の特別規定が事業者間(B2B)取引にも適用される点ならびに(役務グループごとや期間ごとといった)包括的な課税標準に基づくマージンVAT計算の廃止に関するガイドラインが、新たに盛り込まれています。
欧州司法裁判所は、EU加盟国内で賃貸された不動産物件は、所有者自身の従業員がいない場合、固定的施設(恒久的施設)に該当しないとの見解を示しました。非居住事業者の国内固定的施設の保有の有無は、非居住事業者による役務提供に際して、VAT債務が役務の受益者に転嫁されるかどうか(リバースチャージ)に影響します。欧州司法裁判所が示した判断は、他の技術上のインフラストラクチャー(IT設備等)にも適用可能と考えられます。
連邦財務省は、2020年7月2日付連邦財務省通達により時限的に導入された、役務の個々の構成要素について異なるVAT税率が適用される、いわゆるコンビモデル(セットメニュー)における対価の案分に関する時限的な簡便的取扱いを2022年12月31日まで延長しました。
連邦財務省は、売主が有償で保証引受けを行った場合、これが財貨の供給の付帯役務ではなく、独立したVAT免税対象の保険役務と見なされるとの連邦財政裁判所の見解を支持し、新しい原則の適用までの経過規定を2021年12月31日まで延長しました。
2021年7月1日から適用開始された付加価値税デジタルパッケージの第2フェーズにより、ドイツVAT法に、通信販売取引におけるVAT登録免除の上限値のEU全体での統一化、EU全体での統一的な単一窓口(One Stop Shop制度)を通じたVAT申告手続きの対象取引の拡大、“Import-One-Stop-Shop-IOSS”の導入、電子インターフェース(マーケットポータル)運営者のみなしサプライチェーンへの組み入れを始めとする、多岐に渡る改正規定および新規定が導入されました。
EU委員会は2021年7月、EU域内に輸入される一定の物品に関して、EUの炭素価格基準によるコストの負担を輸入者に求める新しい炭素国境調整メカニズム(CBAM)の規制案を発表しています。
健康促進を目的として支給される雇用者給付は、一定の条件が満たされた場合には、従業員一人当たり年間600ユーロまで非課税とされます。連邦財務省は、2021年4月20日付け連邦財務省通達において、非課税要件に関する詳細な見解を示しています。
連邦財政裁判所は2020年12月17日付判決において、2014年1月1日以降適用されている旅費規定の下での、クロスボーダーの駐在員派遣における「第一の勤務地」の要件に関する見解を示しました。「第一の勤務地」がどこに所在するかどうかは、特に、(出張費用等の)非課税の費用弁済の判断に際して重要です。
連邦財務省は、事業用の電気およびハイブリッド自動車の私的利用の取扱いに関する適用通達を改訂し、その草案をヒアリングのため関係各所に送付しました。この通達は、事業者だけでなく、雇用者から従業員に提供されるカンパニーカーの取扱いにも影響してきます。
連邦財政裁判所の見解では、私用目的のために提供されたカンパニーカーの取得費用の一部を従業員が特定の期間を対象として負担した場合、当該負担額は、負担の行われた年のフリンジベネフィットの額から一括して減額されるのではなく、対象期間にわたって案分されることになります。連邦財政裁判所のこの見解は税務当局の見解とは反対の立場を取るものです。
会社行事に際して雇用者が従業員およびその同行者に給付する便益は、原則的に給与所得に含まれます。例外的に、年間2回までの会社行事費用については、(参加が事業所または事業所単位に所属する全従業員に認められていること等を条件として)それぞれ従業員あたりの費用が110ユーロの非課税限度額を超えない限りにおいて、非課税となります(超過分は課税対象)。一人当たり費用が非課税限度額を超過しているかどうかの基準となる会社行事費用は、申込者数ではなく実際の参加者数のみに案分されるというのが連邦財政裁判所の見解です。連邦財政裁判所の判決は、税務当局の見解を支持するものです。
トランスペアレンシー・レジスター金融情報法-マネーロンダリング法(Transparenzregister-Finanzinformationsgesetz Geldwäsche-TraFinG)が2021年6月30日に官報に公布されました。TraFinGにより原則的にすべての企業は、いわゆる「実質的所有者」をトランスペアレンシー・レジスターに届け出る義務を負います。