EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
2022年4月25日、経済協力開発機構(OECD)は、「第2の柱に関する世界的な税源浸食防止(GloBE)ルールの実行フレームワーク」(実行フレームワーク)に関するパブリックコンサルテーション を開催しました。BEPSに関するOECD/G20の包摂的枠組み(包摂的枠組み)が意見を求めている4つの質問については、2022年3月14日に公表されたコメント募集に概要が示されています(背景については、2022年3月21日付EY Global Tax Alert「OECD releases Commentary and illustrative examples on Pillar Two Model Rules」、2022年4月12日付EY Japan税務アラート「OECD、第2の柱のモデルルールに関するコメンタリーと計算例を公表(前編)」、2022年4月15日付EY Japan税務アラート「OECD、第2の柱のモデルルールに関するコメンタリーと計算例を公表(後編)」をご参照ください)。
パブリックコンサルテーションでは、4つのセッションで、包摂的枠組みが提起した質問に対して寄せられた意見について議論しました。この会合では、税務当局と多国籍企業が一貫性をもって協調してGloBEルールを実行・適用できるようにするために必要なメカニズムに焦点が当てられました。さらに、セッションの終わりには、OECD事務局がGLoBEルールに関連するいくつかの技術的な質問に答えました。
2021年10月に発表された実行計画によると、GloBe 実行フレームワークは遅くとも2022年末までに公表される予定です。
2022年3月14日にGloBEルールとコメンタリーが発表された後、包括的枠組みは、GloBE実行フレームワークで実施される作業に関連してパブリックコンサルテーションによる意見集約を開始しました。これによって、包括的枠組みは、GloBEルールに関連する管理、コンプライアンス、調整に関する事項に取り組もうとしています。 特に、以下の4つの事項についてコメントが求められています。
書面提出は2022 年 4 月 11 日に締め切られ、税務会計事務所、企業、業界団体、個人から合計75件の コメントが提出されました。EYが OECDに提出したコメントレターは、こちらからご覧いただけます。
2022年4月25日、OECDは、実行フレームワークについて提供されたコメントについて議論するためのパブリックコンサルテーションを開催しました。今回の協議の対象は、GloBEルールやコメンタリーに反映された政策選択に及ぶものではなく、GloBEルールの実施・管理をいかに円滑に行うかに焦点を当てたものでした。
会議のアジェンダは以下のとおりです。
各セッションの冒頭で、OECD事務局は、提起された各事項に対 して寄せられたコメントの概要を次の様に説明しました。
さらなる行政ガイダンスに関する事項について、多くの利害関係者からは、コメンタリーの法的地位の明確化、段階的なガイダンスの公表、米国のグローバル軽課税無形資産所得制度(GILTI)とGloBEルールとの相互関係に関するガイダンスの必要性が強調されています。さらに、コメンタリーの留意点として、移転価格調整、税額控除、繰延税金会計など、他のさまざまなトピックに関しても問題が提起されています。
情報の収集と報告に関する事項については、利害関係者が表明した共通の見解として、標準化された GloBE 情報申告書、集約されたファイリング、データのセーフガード、機密性、適切な使用条件を提供する適格当局間合意を含む効果的な情報交換の枠組み、善意の誤りの場合いかなるペナルティも発生しない猶予期間の必要性が挙げられています。
セーフハーバーの問題では、同様に利害関係者が表明した共通の見解として、国別報告書のデータに基づくセーフハーバー及び、適格国内トップアップ税(QDMTT)を有する国・地域に対して実効税率の計算が要求されないことを保証する仕組みの要請が挙げられています。
ルールの調整と税の確実性の問題に関しては、ルールが「適格」とみなされるかどうかを決定するための包括的枠組みが行う集中プロセスの策定、調査のための調整アプローチの確立、(第1の柱のような)早期確実性プロセスの策定、そして多国間条約で設立された拘束力のある紛争解決メカニズムの導入を、利害関係者が共通して求めています。
パブリックコンサルテーションは、GloBE実行フレームワークの開発において、コンプライアンスや簡素化に関する実務的な観点を共有する貴重な機会となりました。会合では、GloBEルールがいかに複雑であるか、そして、簡素化、協調的解釈のためのプロセス、税の確実性を提供するためのメカニズムなどを含む詳細な実行フレームワークの重要性が浮き彫りにされました。包摂的枠組みは、今年末までに実行フレームワークを提示することになっており、その開発に残された時間は僅かしかありません。OECD事務局は、包括的枠組み加盟国によるGloBEルールの実施後も、実行フレームワークをさらに改良し続ける必要があると指摘しました。
企業にとって、グローバルな税制の変更が、その企業の税務ポジション、データとコンプライアンスのプロセス及びシステム双方に及ぼす潜在的な影響を評価することが重要です。また、グローバルミニマム課税の国内税法への導入について、その関連する国・地域の活動も監視する必要があります。
本アラートの全文は、2022年4月29日付EY Global Tax Alert 「OECD holds public consultation meeting on Implementation Framework for Pillar Two GloBE Rules」(英語のみ)をご覧ください。
角田 伸広 パートナー
須藤 一郎 パートナー
関谷 浩一 パートナー
西村 淳 パートナー
久保山 直 エグゼクティブディレクター
荒木 知 ディレクター
大堀 秀樹 ディレクター
高垣 勝彦 シニアマネージャー
野々村 昌樹 マネージャー
加藤 広紀 マネージャー
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