中国、違反行為の自主的申出に対する処理における事項に関する公告 他

中国JBS‐中国税務及び投資速報(日本語要約版)2023年10月

税務法規

1. 税関

・違反行為の自主的申出に対する処理における事項に関する公告(税関総署公告2023年127号)

概要

制限の緩和と厳重な管理を目的として、税関総署は2023年10月8日付で、税関総署公告2023年127号「違反行為の自主的申出に対する処理における事項に関する公告」(以下「127号公告」)を公布しました。127号公告の有効期間は、2023年10月11日から2025年10月10日までです。

以前の規定である税関総署公告2022年54号(以下「54号公告」)に比べて、127号公告の主な改正点には、税務違反行為の自主的申出において行政処罰を行わない範囲の拡大、自主的申出期限の緩和、「同一の税務違反行為」の定義の明確化、「同一の税務違反行為」の自主的申出において行政処罰を行わない条件の細分化及び調整などが含まれています。

その内、税関規定に対する違反行為の自主的申出において行政処罰を行わない範囲の改正内容は、以下のとおりです。

  • 税務違反行為の発生日から6カ月以内に自主的に税関へ税務違反行為を申し出た場合。
  • 税務違反行為の発生日から6カ月以降2年以内に、自主的に税関へ税務違反行為の申し出を行い、かつ納付漏れや過少納付の税額が未納税金に占める割合が30%以下、あるいは納付漏れや過少納付の税額が100万人民元以下である場合。
  • 国家の輸出税還付管理に関する以下の税務違反行為。
    • 違反行為の発生日から6カ月以内に自主的に税関へ申し出た場合。
    • 違反行為の発生日から6カ月以降2年以内に、自主的に税関へ申し出を行い、かつ輸出税還付管理に影響を与えた過剰還付税額が還付税額の30%以下、あるいは過剰還付税額が100万元以下である場合。
  • 加工貿易企業が、技術の改善や非保税材料の使用割合の申告が不正確である等の理由により、実際の単位あたりの原料消費量が申告より低く、かつそれにより発生した余剰材料・半製品・製造品がまだ処理されていない、あるいは加工貿易方式で再輸出された場合。
  • 「中華人民共和国税関行政処罰実施条例」(以下「実施条例」)1第15条第(一)項の規定を適用し、危害結果をもたらさず速やかに改善された場合。
    • 違反行為の発生当月末日の24時より前に税関へ自主的に申し出を行い、かつ税関統計に対する影響総額が1,000万人民元以下である場合。
    • 違反行為の発生当月末日の24時以降3カ月以内に税関へ自主的に申し出を行い、かつ税関統計に対する影響総額が500万人民元以下である場合。
  • 実施条例第15条第(二)項の規定を適用して処理する場合。
  • 実施条例2第18条の規定を適用して処理し、かつ国家の輸出入に関する禁止性管理、輸出税還付管理、税金徴収と許可証明書管理に影響を与えない税関規定違反行為の場合。
  • 輸出入企業、組織が税関検査検疫業務規定に違反する行為ではあるものの、適時に税関手続を行い、危害結果をもたらさない場合。

1 実施条例第15条の規定により、申告すべき項目(輸出入貨物の品名、税則番号列など)が未申告、あるいは申告に不実がある場合、税関は規定に基づいて処罰を与え、違法所得を没収する。その内、第15条第(一)項及び第(二)項では以下のように規定されている。
(1)税関統計の正確性に影響を与えた場合、警告または1,000人民元以上1万人民元以下の罰金に処する。
(2)税関管理監督秩序に影響を与えた場合、警告または1,000人民元以上3万人民元以下の罰金に処する。

実施条例第18条の規定により、税関の許可を得ず、税関の所管する貨物の開封、受け取りなどを無許可で行う等の違法行為に対して、貨物価値の5%以上30%以下の罰金を処し、違法所得を没収する。

2. その他

・企業と事業組織の組織変更・再編における契税政策の継続実施に関する公告(財政部、国家税務総局公告2023年第49号)
・企業の組織変更・再編における土地増値税政策の継続実施に関する公告(財政部、国家税務総局公告2023年第51号)

概要

企業と事業組織の組織変更・再編を支援し、市場環境を最適化するため、財政部及び国家税務総局は2023年9月22日付で、財政部、国家税務総局公告2023年第49号(以下「49号公告」)及び財政部、国家税務総局公告2023年第51号(以下「51号公告」)を公布しました。組織変更・再編における土地や建物(以下「不動産」)の所有権移転及び変更に関する契税・土地増値税政策の実施期間は、再度4年間(2024年1月1日から2027年12月31日まで)延長されます。

49号公告及び51号公告の主な内容は、次のとおりです。

類型

契税の優遇政策

土地増値税の優遇政策3

企業の組織変更

以下の条件を充足し、企業の全体的な組織変更4後に会社が不動産所有権を引き継ぐ場合、契税は免除される。

  • 元の企業の投資主体が存続し組織変更後の会社の持分(株式)の75%以上を保有する。 及び
  • 組織変更後の会社が元の企業の権利、義務を引き継ぐ。

企業の全体的な組織変更において、組織変更前の企業から組織変更後の企業に不動産所有権を移転・変更する場合、土地増値税は暫定的に課税されない。
上記の全体的な組織変更とは、元の企業の投資主体が変わることなく、元の企業の権利、義務を引き継ぐ行為をいう。


事業組織の組織変更

事業組織による国家の関連規定に基づく企業への組織変更において、元の企業の投資主体が存続し組織変更後の企業に対する出資(持分、株式)の50%以上を保有する場合には、組織変更後の企業が元の事業組織から不動産所有権を引き継ぐ際における契税は免除される。

51号公告に規定無。

合併


法律規定や契約約款に基づき、2社もしくは2社以上の会社が合併し1つの会社となり、かつ元の企業の投資主体が存続する場合には、合併後の会社が元の合併各社から不動産所有権を引き継ぐ際における契税は免除される。

2社もしくは2社以上の企業が合併し1つの企業となり、かつ元の企業の投資主体が存続する場合には、元の企業から合併後の企業に不動産所有権を移転・変更する際における土地増値税は暫定的に課税されない。

分割


法律規定または契約約款に基づき、企業が2社もしくは2社以上に、元の企業と同じ投資主体を有する企業5に分割される場合には、分割後の会社が元の会社から不動産所有権を引き継ぐ際における契税は免除される。

企業が2社もしくは2社以上に、元の企業と同じ投資主体を有する企業に分割される場合には、元の企業から分割後の企業に不動産所有権を移転・変更する際における土地増値税は暫定的に課税されない。

破産

  • 企業が関連法令に従って破産した場合には、債権者(破産企業の従業員を含む)が破産企業から債務支払いとして不動産所有権を引き継ぐ際における契税は免除される。
  • 債権者以外の者が破産企業の不動産所有権を引き継ぐことにつき、元の企業の全従業員の適切な再定住のための「中華人民共和国労働法」など国家法規及び政策に基づき、元の企業の全従業員と勤務期間が3年以上の労働契約を締結した場合には、不動産所有権を引き継ぐための契税は免除される。
  • 債権者以外の者が破産企業の不動産所有権を引き継ぎ、元の企業の従業員の30%以上と3年以上の勤務期間の労働契約を締結した場合には、契税は半減される。

51号公告に規定無。

資産移転

  • 県級以上の人民政府または国有資産管理部門が規定に基づいて行政的な調整を行う場合、不動産所有権を移転する組織に対し、契税は免除される。
  • 同一投資主体内部に所属する企業間の不動産の移転の場合、契税は免除される。この移転には、親会社・完全子会社間、同一会社に属する完全子会社間、同一自然人と設立された個人独資企業、一人有限公司間の不動産所有権の移転が含まれる。
  • 親会社による不動産所有権を用いた完全子会社への増資は移転とみなされるが、契税は免除される。

51号公告に規定無。

債権の株式化

国務院の批准を経て債権の株式化を実施する企業において、債権の株式化後に新たに設立された企業が元の企業の不動産所有権を引き継ぐ場合には、契税は免除される。

51号公告に規定無。

出資


譲渡または国家による資本拠出(株式出資)の方式で元の組織変更・再編の企業・事業組織が土地使用権を引き継ぐ場合、上記の免除範囲には該当せず、引き継いだ側は規定に従って契税を納付しなければならない。

組織・個人が組織変更・再編の際に不動産を以て株式出資を行い、不動産所有権を被投資企業に移転・変更する場合、土地増値税は暫定的に課税されない。

企業の株式(持分)譲渡

株式(持分)譲渡においては、組織と個人は企業の株式(持分)を引き継ぎ、企業の不動産所有権は移転せず、契税は課税されない。

51号公告に規定無。

3 不動産所有権の移転におけるいずれか一方の当事者が不動産開発企業である場合、上記の組織変更・再編に関わる土地増値税政策は適用されない。
「中華人民共和国公司法」の関連規定に基づき、全体的な組織変更には非公司制企業から有限責任公司または股份有限公司への組織変更、有限責任公司から股份有限公司への変更、股份有限公司から有限責任公司への変更などが含まれる。
5 元の企業と同じ投資主体を有する企業とは、企業の組織変更・再編前後において出資者に変更が生じないことをいい、出資者の出資比率の変更は可能である。

・源泉徴収・代理徴収及び委託徴収の税金手数料管理に対するさらなる強化に関する通知(税総財務発2023年第48号)

概要

財政部、国家税務総局及び中国人民銀行は2023年9月24日付で、税総財務発2023年48号通達(以下「48号通達」)を公布し、源泉徴収、代理徴収及び委託徴収の税金手数料の管理を調整しました。48号通達は2023年10月1日より発効されています。

前回の規定である2019年11号通達と比較すると、更新後の税金手数料の支払割合及び限度額は以下のとおりです。

法律・行政法規に規定された源泉徴収・代理徴収及び委託徴収の税金

税金手数料の支払割合

税金手数料の限度額

法律・行政法規に規定された源泉徴収の税金

0.5%
(当初支払割合は2%)

源泉徴収義務者への支払 年間最高限度額70万人民元
(当初規定より変更なし)

法律・行政法規に規定された代理徴収の車両船舶税

1%
(当初支払割合は3%)

適用無

法律・行政法規に規定された代理徴収の証券取引による印紙税

0.03%
(当初規定より変更無)

源泉徴収義務者への支払 年間最高限度額500万人民元
(当初規定は1,000万人民元)

法律・行政法規に規定された代理徴収の他の税金

1%
(当初支払割合は2%)

適用無

交通運輸部門海事管理機構に委託する代理徴収の船舶車船税

5%
(当初規定から変更無)

適用無

代理徴収者に委託する代理徴収の車両購置税

車両1台につき15人民元の手数料を支払
(当初規定から変更無)

適用無

代理徴収者に委託する代理徴収の農業貿易市場、専門市場などの税金

5%
(当初規定から変更無)

適用無

代理徴収者に委託する代理徴収の他の分散・異地納付の税金

1%
(当初支払割合は5%)

適用無

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