EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
国税庁より令和3事務年度(令和3年7月~令和4年6月)の法人調査事績が公表されました。当事務年度における当局の調査件数としては、コロナ禍で調査件数の減った令和2事務年度と比較すると実地調査の件数は163.2%となっており、コロナ前の水準に戻りつつあることがうかがえます。今回公表された調査事績の中でもとりわけ目を引くのが調査による消費税の追徴税額です。ここ数年間(コロナ前を含む)で比較しても、調査による年間追徴税額が上昇しております。
上述の追徴税額には、主なものとして、いわゆる法人税との同時調査による追徴税額の他にも、消費税還付申告の適否調査による追徴税額およびインバウンドの非居住者向けの免税販売の要件に関する調査による追徴税額が含まれるものと考えられます。
免税販売の要件については、昨今報道されております、東京国税局が大手百貨店やスマートフォンを販売する大手IT会社が必要書類の保存がないものなどとして、免税売上を否認されたことについては記憶に新しいかと思います。
また、消費税に関しては、近年、当局が全国的に新たに部署を創設していることや、いわゆる調査畑と言われる調査プロパーの職員を当該部署に動員するなどの人的な補強も行われています。このような部署の創設や人員の異動が落ち着き、消費税調査に関するノウハウが構築されつつあるということから、公表された数値に繋がったのではないかと考えられます。令和4年7月以降の肌感覚としても全体的な調査件数が前年より増えていることから、今後さらに消費税の追徴税額は増えていくのではないかと予想されます。
さらに、消費税についてはインボイス制度も導入されることからも今以上に注目を集めることが考えられます。近年導入されたリスク・ベース・アプローチとあいまって、消費税の観点から調査先として選定されるケースも増えていくことが想定されるため、引き続きご留意いただきたいと思います。
次回のメルマガは引き続き消費税の観点として、「共通ポイントの税務処理」について配信予定です。
EY Tax controversy team
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