米国基準における税務ディスクロージャー制度の公表とその影響

2023年12月14日、米国財務会計基準審議会(FASB)は、法人所得税の開示規則を修正する会計基準更新書第2023-09号(ASU2023-09)を公表し、企業に対し、(1)税率調整表における特定の区分、(2)法人所得税控除前の継続事業からの利益(国内および国外を区分)、および(3)継続事業からの法人所得税費用(連邦、州、国外を区分)を開示するよう要求しています。さらに、ASU2023-09は、外国、連邦、州、地方の税管轄地に対する法人所得税の支払額を開示することも企業に要求しています。

この改正は、公開企業については2024年12月16日以降に開始する事業年度から適用されます。その他の事業体については、2025年12月16日以降に開始する事業年度から改正が適用されます。

日本企業への影響

米国基準を採用している日本の上場企業においては、2024年12月16日以降に開始する事業年度から、本税務ディスクロージャー制度に対応する必要があります。本税務ディスクロージャー制度の詳細については、2023年12月20日付EY US Technical Line「Technical Line - FASB issues guidance requiring additional income tax disclosures」をご参照ください。

欧州企業がCbCR開示、米国企業がASU2023-09による税務エクスポージャーの開示を図ることが想定される中、先進国のうち、米国基準を適用していない日本企業のみが、税情報開示の義務がないとして開示しないことは、ステークホルダーから「日本企業は税に関する透明性について消極的」との評価を受けかねません。

BEPS2.0のグローバルミニマム課税が導入される中、日本企業が国別の税情報を開示しないことは、国別の実効税率の管理や税務リスクの把握など、基本的なグローバル税務マネジメントが実施されていないとの批判を受けるリスクが想定されます。


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