中国、研究開発機構の国産設備調達に対する増値税還付管理弁法の改正に関する公告 他

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2024年3月4日

中国JBS‐中国税務及び投資速報(日本語要約版)2024年2月

税務法規

1. 増値税

・研究開発機構の国産設備調達に対する増値税還付管理弁法の改正に関する公告(国家税務総局公告[2023]20号)

概要

財政部、商務部、国家税務総局公告[2023]41号(「41号公告」、「研究開発機構の設備調達に係る増値税政策に関する公告」)に基づき、国内資本による研究開発機構及び海外資本による研究開発センターが国産設備を調達する場合における増値税の全額還付政策は、2027年12月31日まで継続されています。

この政策に伴い、国家税務総局は、23年12月26日付で国家税務総局公告[2023]20号を公布し、研究開発機構の国産設備調達に対する増値税還付管理弁法(以下「2023版管理弁法」)の改正を行っています。

今回の2023版管理弁法は、元の2021年版(「2021版管理弁法」)からは若干の変更にとどまっており、研究開発機構が国産機器調達に係る税還付を適用する場合、増値税専用発票及びその他の必要資料を提出することが必要とされています。増値税普通発票は税還付の対象外となります。

また2023版管理弁法では、国産設備調達に係る税還付政策を享受する研究開発機構が初めて税還付申告手続を申請する際に必要となる資料としては、研究開発機構の資格証明資料、及び輸出税還付(免除)記録表が明示されています。2021版管理弁法で規定されていた、管轄税務機関が要求するその他の情報は削除されました。

2023版管理弁法は、増値税発票の発行日付に基づき、2024年1月1日より発効されています。


2. その他

・上海市税務局の税収事前裁定に関する管理弁法(試行)(上海税弁発[2023]第33号)

概要

上海市における税収事前裁定業務をさらに規範化し、税収政策適用の確実性を高めるため、国家税務総局上海市税務局は、23年12月29日、上海税弁発[2023]第33号により上海市税務局の税収事前裁定に関する管理弁法(試行)を公布しました(以下「上海試行管理弁法」)。

この上海試行管理弁法の主な内容は、以下の通りです。

項目 内容

税収事前裁定の定義

税収事前裁定(以下「事前裁定」)とは、税務当局と企業の相互信頼の原則に基づき、企業において将来発生が予想される特定の複雑な税務関連事項に対する税法の適用を申請し、税務部門が現行の税法及び法令に基づく政策の適用に関する意見を文書で企業に通知するサービスを指す。事前裁定は、再審査も訴訟も実施できない。

税収事前裁定の適用範囲

事前裁定は、上海市内の納税者に適用される。

ただし、以下の事項については、事前裁定の対象外である。

  • 確実な計画がない、又は2年以内に発生しない事項。
  • 合理的な商業目的がない、又は国の関係法令で明確に禁止されている事項。
  • 現行の税収法令に明確に規定されており、当該規定を直接適用できる事項。
  • その他、事前裁定が適用できない事項。

事前裁定申請の提出方法
  • 管轄する税務機関を通じて書類を提出する。
  • 電子税務局を通じて電子資料を提出する。

上海試行管理弁法は、その公表日である2023年12月29日より発効されています。


・クロスボーダー税費納付・還付業務の管理に関する通知(銀発[2024]4号)

概要

クロスボーダー税費納付・還付業務をさらに規範化し、予算資金徴収の効率向上とクロスボーダー税費納付の利便性を高めるため、24年1月14日、中国人民銀行、財政部及び国家税務総局は共同で、銀発[2024]4号通達(以下「4号通達」)を公布しました。

近年、人民元を利用したクロスボーダー税費納付業務の必要性が徐々に高まっている傾向にあることを鑑み、この4号通達により、税務機関が徴収するクロスボーダー税費納付・還付業務の範囲は、税収、税外収入、社会保険料等の各種税費の納付、及び対応する税収・税外収入の還付業務に拡大されます。

4号通達では、クロスボーダー税費納付・還付業務プロセス、口座利用方法、情報申告要件を明確化し、人民元を含むさまざまな通貨でのクロスボーダー税費納付・還付業務のシステム基盤を整備しています。

同時に、中国人民銀行、財政部、国家税務総局は、クロスボーダー税費資金の安全性、適時納付及び還付を効果的に保証し、サービスの質と効率を継続的に向上させるため、各地域における協力を主導するとされています。


・対外貿易・外資安定化税収政策ガイドライン(2024)

概要

対外貿易・外資安定化事業を支援する税収の機能的役割を十分に発揮すると同時に、納税者が各種優遇税制を適用する際の明確化を計るため、国家税務総局は24年1月16日に対外貿易・外資安定化税収政策ガイドライン(2024)(以下「2024年ガイドライン」)を公布しました。このガイドラインでは、対外貿易・外資の分野における51件の税制支援政策と徴収管理サービス措置として、主に以下の事項が含まれています。

  • 対外貿易安定化税収政策
    • 商品・サービス税収政策
    • クロスボーダー課税行為に対する増値税政策
    • 対外貿易新業態に対する税収政策
    • 輸出増値税の還付(免税)サービス円滑化への取組み
  • 外資安定化税収政策
    • 外資奨励税収政策
    • 外国人誘致税収政策
    • 金融市場の対外開放を支援する税収政策

2024年ガイドラインは、対外貿易・外資安定化税収政策ガイドライン(2022)(「2022年ガイドライン」)に基づき、現行において適用されている関連税収政策が更新され、2024年ガイドラインの別表では、税制優遇措置の適用対象、政策内容、適用条件、政策的根拠、及び関連する税収政策ガイドラインの目録が記載されています。また、外国人を誘致するための6つの税収政策(例:粤港澳大湾区以外の不足するハイエンド人材に対する個人所得税優遇措置)、原油等の先物市場の対外開放を支援するための個人所得税政策(国務院が対外開放を承認した中国国内の原油等の先物投資により外国人個人投資家が得た所得に対する個人所得税の一時免除)が追加されています。

2024年ガイドラインは、関連する納税者に適用される税制優遇措置に関して迅速に検討し、適用条件を満たしているか否かを自ら評価するための効果的なツールとして有益です。関連する納税者は、優遇措置を最大限に活用するために、2024年ガイドラインを詳細に確認することが推奨されます。


・中華人民共和国会社法(2023年改正)(主席令[2023]第15号)

概要

中華人民共和国会社法(以下「2023年会社法」)は、23年12月29日に開催された中華人民共和国第14回全国人民代表大会常務委員会第7回会議において改正が採択され、主席令[2023]第15号により公布されています。2023年会社法は、24年7月1日より施行されます。

2023年会社法は15章266条項から構成されており、主な改正内容は以下の通りです。

  • 有限責任会社の出資者は、登録資本金を有限責任会社の設立日から5年以内に全額払い込む必要がある。
  • 上記の期限は、2023年会社法施行前に登記・設立された会社にも適用される。
  • 会社が期限の到来した債務を返済できない場合、会社又はその期限の到来した債務の債権者は、登録済でまだ払込期間が満了していない出資者に対して、資本金の早期払込を要求する権利を有する。
  • 出資者が、登録資本金の払込期限が満了していない持分を譲渡する場合、譲受人は当該資本の払込出資義務を負う。譲受人が払込期限までに資本金を全額払い込まない場合、譲渡人は譲受人に対し、払込期限までに払込未済の登録資本金について責任を負う。
  • 出資者は貨幣の払込みの他、現物、知的財産権、土地使用権、持分、債権、その他の非貨幣的財産を資本として払い込むことができる。現行の中華人民共和国会社法(2018年改正)(「2018年会社法」)に比し、非貨幣的拠出方法の一形態として、債権と持分が明文化された。
  • 損失を補填(ほてん)するための資本準備金
    会社の損失を補填する際に資本準備金を使用できない法定制限が撤廃された。2023年会社法では、損失補填のための準備金の使用に関する優先順位の規定が追加されており、法定準備金と任意準備金による損失の補填がまだ不十分な場合、資本準備金を補填に使用することができる。
  • 簡易減資制度の創設
    前述の通り、2023年会社法では、会社は資本準備金で損失を補填することができる。これに基づき、資本準備金を使用しても損失を補填できない場合、会社は登録資本金を減資して損失を補填することができ、このような減資は債権者に通知することなく行うことができる。ただし、会社は登録資本金を減少させる株主総会の決議日から30日以内に、新聞又は全国企業信用情報公告システムを通じて公告する必要がある。
  • 法定利益分配期間の明確化
    法定の利益分配期間は、株主総会の利益分配決議日から6カ月以内である。

2023年会社法では、一人有限責任会社の設立要件が緩和され、一人有限責任会社の設立が可能となります。また、不可抗力やその他の困難により事業を継続できなくなった会社の解散登記に関する規定の追加、簡易合併制度の創設、会社の設立・撤退に関する制度の改善、法定代表者の役職や取締役の人数に関する要件の更新等が行われます。

2023年会社法は24年7月1日に発効される予定であり、関連する投資家及び経営者は、2023年会社法の詳細について検討の上で改正点を理解し、改正点が自社の長期成長戦略に資するかどうかを判断することが推奨されます。

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