EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
要点
セッションでは、まず、デジタル通貨の導入に向け実際の取り組みを進める実務家の方々からの事例紹介などをもとに、課題や新たな可能性について議論しました。
北國フィナンシャルホールディングスの寺井氏は、地域デジタル通貨「トチカ」を1年でローンチすることができた背景や、地域社会への普及に向けた取り組み、QR決済とは異なる可能性などについて説明しました。
Digital Platformerの松田氏はカンボジアでのデジタル通貨の導入経験を踏まえて、日本の地域キャッシュレス化におけるステーブルコインの役割や課題などについて話しました。
ソニー銀行の渡邉氏は、デジタル通貨にエンターテインメントの要素を取り入れていくための最新の取り組みについて説明しました。
日本銀行の小林氏は、ステーブルコインやトークン化された預金など主なデジタル通貨の比較、使い分けについて話しました。
ここまでの議論を受け、EYストラテジー・アンド・コンサルティングの小川は、規制の強弱、拡張性、取引量に応じた多様なデジタル通貨の使い分けの重要性について確認しました。
続いて、デジタル通貨の流通の拡大につながる固有の付加価値とは何かについて議論を行いました。
小林氏は、トークン化など新たな技術の適用の検討の際、そのメリットを生かしつつ、負の側面があればそれを制御していくことの重要性、パブリックグッズとしての決済システムを作るという公共的なマインドセットを持つことの重要性を指摘しました。
小林氏が言及したプロジェクトアゴラに関連し、小川は、国境を越えて流通するデジタル通貨の特徴を踏まえ、国境を越えた連携の重要性についてコメントしました。
寺井氏は、安くて安全な決済システムとして開発された「トチカ」が地方創生、地域の発展のために大事だと語りました。
渡邉氏は、エンターテインメントとのコラボレーションによるマーケット創生の取り組みや、日本の法規制の下でのコンプライアンスも念頭に置いた新しいテクノロジーの実証実験の取り組みを紹介するとともに、マーケットの拡大に当たっては適度な緊張感の下のよき競合関係、それを支える多様性が重要と指摘しました。
エンターテインメントに関わる取り組みに関し、松田氏は、多数のミュージシャンが関わる楽曲の収益配分のスマートコントラクトによる明確化や、ステーブルコインを活用したクリエーターへのアドバンストペイメントなど新たな取り組みを紹介しました。
本セッションの最後に、各登壇者がデジタル通貨の将来への期待を話しセッションがクローズしました。
世界を舞台に今まさに推進されているWeb3によるトランスフォーメーションや、そこに形成されようとしているエコシステムにEY Japanも貢献しています。
渡邉 尚史 (ソニー銀行株式会社 専務取締役)
小林 俊 (日本銀行 決済機構局 FinTechセンター長)
寺井 尚孝 (株式会社北國フィナンシャルホールディングス 常務執行役員)
松田 一敬 (Digital Platformer株式会社 代表取締役)
小川 恵子 (EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 パートナー)
2024年7月のWeb3 Future 2024において、デジタル通貨の実践事例や課題、可能性について議論しました。地域通貨やカンボジアでのステーブルコイン導入事例とその可能性が紹介され、デジタル通貨の普及とエンターテインメントの連携といったデジタル通貨の新たな可能性が議論されました。