EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
EYトランザクション・アドバイザリー・サービス(株)
マーケッツ 島田英海
グローバル金融機関に対する海外進出やM&Aおよび金融機関の統合・再編に関わるプロジェクトを支援。フィンテック投資を推進し、テクノロジーセクターのM&Aに注力している。
コーポレート・ファイナンス・ストラテジー 神田敬太
日系保険会社においてアジア地域を中心に新規進出・M&A戦略の推進、地域統括会社の立ち上げに従事。2017年よりEYに参画し、アウトバウンド、インバウンド両面から企業の新規進出・M&A戦略を支援している。
低金利政策の継続、日本市場の成熟を背景に、金融機関の海外M&Aが相次いでいます。今後も、その傾向は続くのでしょうか、金融M&Aの新しいかたちとは何でしょうか。金融業界は、順位の競争や経営統合は続くものの、新しい成長の芽を育てていくことができるでしょうか。
バンカシュアランス(金融機関による保険販売)は、欧州金融機関による傘下の保険会社商品の取り扱いをはじまりとするビジネスモデルです。日本では2001年から解禁され、今や保険会社の戦略上不可欠なチャネルに成長しました。昨今の動きとして注目されるのは、アジアを中心とする大型のバンカシュアランス・ディールです(<表1>参照)。
これらバンカシュアランス・ディールは、保険会社が契約拡大のために販売チャネルを獲得するものであり、その対価としてファシリテーション・フィーが支払われるのが一般的です。ただし、それは将来的に期待される新契約価値という不確実なバリューに対して専ら値付けされるものですので、その支払スキーム(<表2>参照)や金融機関へのコミッション(販売手数料)設計とのバランスに工夫が必要です。
金融とテクノロジーを融合した決済・送金・ファンディング・仮想通貨などのフィンテック企業への投資は、グローバルで最も注目すべき市場に成長しています。日本のフィンテック市場規模は、まだ小さいものの、今後、さらなる拡大が期待されています(<表3>参照)。
金融のデジタル化を推進するフィンテックのイノベーションは、新たな市場を創造しています。フィンテックにはさまざまな投資領域が芽生えています(<図1>参照)。
顧客はフィンテックの便利さとスピードを体験し、ますます手軽で安価なサービスを求めています。企業は顧客情報の分析を通じて差別化し、コストダウンで競争力を高めて行きます。事業の収益化やスタートアップの育成は優先課題ですが、法規制や利用者保護の整備も不可欠です。
企業の株式を獲得し、その収益をグループ連結に取り込む従来型のM&Aから、強化したい領域に集中するM&Aの新しいかたちとして、EYはバンカシュアランスやフィンテックに取り組んでまいります。