EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
EY新日本有限責任監査法人 メディア・エンターテインメントセクター
公認会計士 泉家 章男
メディア・エンターテインメントセクターには多種多様な業種が含まれておりますが、代表的な業種としては、放送業、出版業、新聞業、映画/アニメ等の映像制作・配給業、ゲームソフトウェア業、広告業、娯楽業(例えば遊園地、劇場、プロスポーツ団体の運営)などが挙げられます。
我が国において用いられている業種分類との関係は以下の通りです。
総務省が定める日本標準産業分類は、統計の正確性と客観性を保持し、統計の相互比較性と利用の向上を図ることを目的として設定された統計基準であり、全ての経済活動を産業別に分類しているものです。その構成は、大分類、中分類、小分類からなる3段階構成となっています。
メディア・エンターテインメントセクターに属する多くの企業は、「情報通信業(大分類G)」に分類されており、例えば、公共放送業、テレビジョン放送業、映画・ビデオ制作業、アニメーション制作業、映画・ビデオ・テレビジョン番組配給業、レコード制作業、新聞業、出版業、広告制作業、ニュース供給業、ゲームソフトウェア業、インターネット附随サービス業などの業種が含まれております。その他、「学術研究、専門・技術サービス業(大分類L)」に広告代理店などが分類されている他、「生活関連サービス業、娯楽業サービス業(大分類N)」には遊園地、劇場、プロスポーツ団体などが分類されています。
このように、メディア・エンターテインメントセクターに属する企業の業種は多岐に渡っています。
代表的な業種に関する説明と例示は以下の通りです。
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出典:総務省「統計基準等 日本標準産業分類(令和5年6月改定、令和6年4月1日施行予定)」 (2024年3月18日アクセス) |
日本取引所グループが定める「業種別分類表」は、企業が初めて株式を公開する際に個別の銘柄について業種を決定する際に用いるものであり、大分類項目及び中分類項目の2段階構成となっております。また、当該業種別分類は原則として総務省が定める「日本標準産業分類」による分類に基づいています。
メディア・エンターテインメントセクターに属する多くの企業は、情報・通信業(中分類、業種コード:5250)に分類されておりますが、例えば、広告代理店や遊園地や劇場などの運営を行う企業などにおいては、サービス業(中分類、業種コード:9050)に分類されています。
メディア・エンターテインメントセクターにおける業種は多岐に渡り、それぞれの業種毎に特徴は異なりますが、共通項の1つとして、「コンテンツビジネス」であることが挙げられます。
ここで、「コンテンツビジネス」とは、画像・動画・音楽データなどの「コンテンツ(情報の内容)」そのものを制作・販売・使用許諾して収益を得たり、コンテンツを利用して広告収入を得たりするビジネスモデルをいいます。
メディア・エンターテインメントセクターで取り扱われるコンテンツはニュース・テレビドラマ・映画・アニメ・ゲームなど多岐に渡りますが、これらのコンテンツは著作権等の知的財産権で保護されているため、1つのコンテンツを様々な相手先に対し使用許諾(ライセンス)して収益を獲得することが可能である点が最大の特徴といえます。
また、メディア・エンターテインメントセクターで取り扱われるコンテンツは教養又は娯楽のいずれかの側面がありますが、特に娯楽的な側面について、一般的な製造業の製品のように消費者に対して機能性や利便性を訴求するのではなく、消費者の感情や感性に訴求することが必要な点は、メディア・エンターテインメントセクターならではのビジネスの特徴といえます。
その他に、特定のコンテンツが大ヒットした場合には業績が大きく上振れすることがある一方、多額の投資を行ったコンテンツが想定通りヒットしなかった場合には業績が下振れすることがあるなど、業績の変動幅が比較的大きい点も挙げられます。そのため、このような変動幅が大きい業績を下支えするべく、例えば、不動産賃貸事業等の安定収入が得られるビジネスを併せて行っている企業もあります。
なお、コンサルティング企業等がメディア・エンターテインメントセクターに関する業界トレンドや分析を行う場合には、TMT(Technology, Media&Entertainment and Telecommunicationsの頭文字)という単位が用いられることが多く、これは、テクノロジーセクター・メディア・エンターテインメントセクター・テレコムセクターの相互関連性が高いということが背景にあると考えられます。
主な業種毎の取り扱われるコンテンツとその収益の種類は以下の通りです。
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EYのウェブサイト(ey.com)内の企業会計ナビ:業種別会計「メディア・エンターテインメント」において、映像(映画やアニメ)ビジネス・出版業・広告業・ゲームビジネスなどについて詳細に解説を行っておりますので、こちらをご参照下さい。