女性アスリートの秘めた力をビジネスで開花させるWABNアカデミー。~第3期閉講式レポート

世界的な女性アスリートがビジネス界で活躍するためにWABNで得た自信とは?


WABN( Women Athletes Business Network)は、EYが女性、スポーツ、リーダーシップの関連性を調べた研究により、女性アスリートは優れたビジネスリーダーになる資質があるとの調査結果を受けて創設されたプログラムです。


要点

  • スポーツで培った自信は、セカンドキャリアのビジネス界でそのまま生かせるとは限らず、関連する経験を通して磨かれる必要がある。
  • WABNは、EYのビジネスリーダーによるメンター制度やネットワーキングなど、ビジネス界での新たな機会を女性アスリートに提供することで、自信を育む手助けをしている。

自分自身の能力に自信を持つことは、仕事と個人の目標を達成する上で不可欠です。自信は時間をかけて築かれる財産であり、新しいことへの挑戦を決意し、不屈の努力を重ね、失敗し、挫折を乗り越え、そして成功する。これら一つひとつの機会が、自信の強固な土台を築く礎となります。

この確固たる自信こそが、人々のやる気と回復力を高め、恐れや不安を軽減し、サポートや共感を得るために他者と関わる能力を育み、さらには自分自身の本質をより深く理解する助けとなるのです。

米インディアナ州のトライン大学の研究では、自信は「アスリートのパフォーマンスの出来を左右する」ことが明らかになっています。スポーツ選手として長年、トレーニングと能力開発を重ねれば、どのような困難に直面しても自分の能力に自信を持ち続けられるとのことです。

では、スポーツで培った自信は、セカンドキャリアでビジネス界に移った場合、そのまま生かせるのでしょうか。元体操競技選手である筆者は自身の経験から、スポーツによって必要なスキルセット(柔軟性、決断力、集中力、成長志向)が得られることを知っていますが、自信は、関連する分野での直接的な経験があってこそ磨かれる部分もあります。

本記事では、アスリートがビジネス界で自信を育み、スポーツで培った資質をビジネスリーダーや企業家としての役割において生かせるよう、EYの「Women Athletes Business Network(WABN)」がどのような支援を行っているのかを紹介します。

元プロテニスプレーヤー 土居 美咲さんとWABN

元プロテニスプレーヤー 土居 美咲さん
元プロテニスプレーヤー 土居 美咲さん

元プロテニス選手で、オリンピック競技大会と世界4大大会(グランドスラム)にも出場経験のある土居美咲さんは、EY Japan WABN アカデミーに参加したことで視野が広がり、リーダーシップ、ならびに自分の強みを新しい役割で生かす方法について洞察を得たといいます。

 

「私は6歳でテニスを始め、17歳でプロになり、人生のほとんどを選手として過ごしてきて、引退するまで、すべてのエネルギーをテニスに注いできました。WABNで自分のアイデアやプロジェクトの計画を発表することで、ビジネス界での活動に自信が持てるようになりました」と語る土居さんは、世界的なテニス大会のテレビ放送で解説を務めるなど、活動の幅を広げています。
 

2023年10月に現役を引退して以来、土居さんはWABNでの経験を生かし、テニス大会のアンバサダーとして競技の普及に努めています。また、災害の被災地支援にも取り組んでおり、子どもたちにスポーツを楽しむ機会を提供し、利用可能な施設や設備に応じたプログラムを作成することで、彼らの気持ちを前向きにする手助けをしているといいます。

 

「WABNは私の価値を再確認させてくれました」と語る彼女は、自身のモットーは「自らの人生を豊かにする」ことだといいます。「自分の強みに集中することを学んだおかげで、困難な状況でも自分に自信を持てるようになりました」 

EYとWABNのグローバルネットワーク

EYは、メンバー、クライアント、コミュニティからなる世界的なエコシステムを持つグローバルネットワークとして、より良い社会の構築を目指した取り組みを行っています。土居さんも、このGlobal WABNネットワークの一部であるEY Japan WABNアカデミーのメンバーです。

EYが女性、スポーツ、リーダーシップの相関関係を調べた研究によると、女性アスリートが優れたビジネスリーダーになる素質があると示しています。創設者のベス・ブルックの説明にもあるように、WABNの創設は、EYが2016年リオデジャネイロ・オリンピック競技大会のスポンサーに就いた際のグローバルな取り組みの1つであり、EYがパーパス(存在意義)として掲げる「Building a better working world ~より良い社会の構築を目指して」の取り組みの一環でもありました。EYの年次報告書「EY Value Realized 2024」にも記載されているように、私たちは2013年に策定したパーパスを軸に、グローバルに団結し、あらゆるステークホルダーと団結しながら社会にポジティブな影響をもたらすことのできる存在であり続けるように努力しています。

パラリンピック金メダリスト サマンサ・ボスコさんとWABN

パラリンピック金メダリスト サマンサ・ボスコさん
パラリンピック金メダリスト サマンサ・ボスコさん

パリ2024パラリンピック競技大会の自転車競技で金メダルを獲得したサマンサ・ボスコさんもまた、WABNグローバルメンタリングプログムに参加したことで考え方が変わったといいます。

 

WABNが「スポーツ以外で成長する機会を与えてくれました」というボスコさんですが、当時の彼女は「それがどのようなものかを探究するのは、ワクワクしつつも、少し不安でした」と振り返っています。

 

2028年にロサンゼルスで開催されるパラリンピックまでは競技を続ける予定の彼女ですが、学士号(コミュニケーション学)と修士号(会計学)を生かして2018年から夫のビジネスをサポートしており、将来的には起業家やコミュニティの創設者になることを目指しています。

 

「私がWABNに参加したのは、自分のコンフォートゾーンの限界を超えるためでした」と彼女は語ります。「(ビジネス界に移るアスリートが)不安や疑問を抱えるなかで、WABNは希望を与えてくれます。人生の後半で新しいことを始めるのは怖いですが、WABNは何か新しいことを始めるのに遅すぎることはないと教えてくれました」

 

脳を損傷して東京2020パラリンピック競技大会に出場できなくなるなど、選手生活で大きな逆境を乗り越えてきたボスコさんは、自信とパフォーマンスの相関関係を深く理解しています。

 

自信が高まっている時、アスリートとしてどのように感じるのか質問すると、彼女はこう答えてくれました。「向かうところ敵なしといった感じで、どんな壁も乗り越えられて、しかも全力を出せる気がします」

「自信とは常に進化するものです。今年の自分が、いや今日の自分こそが、これまでで一番自信のある状態です。直感的であること、決断を信じること、間違いを恐れないこと、こうした姿勢を強めれば強めるほど、自信が強固なものになっていきます。このプロセスで大事なのは、学び続け、過去の自分を超えようと努力し続けることです」

WABNのプログラムに参加している間、ボスコさんはアスリートに新たな形の挑戦を促すさまざまな活動に参加し、ビジネスを始めるための豊富なリソースを利用してきました。自分の興味のある分野で活躍するビジネスリーダーから指導を受け、次のキャリア転換を実現するための情報や洞察を得るとともに、人脈を広げてきたといいます。

「WABNのおかげで、『スポンジ』になること、つまり知識を持っている人からできるだけ多くの知識を吸収することの大切さを実感しました」とボスコさんは語ります。

長年の学びを生かして大会へ向けたトレーニングを継続しつつ、WABNで着実に経験を積むことを心掛けている彼女。そうして、適切なタイミングが訪れた時に、新しいキャリアに踏み出すための自信を高めているのです。

 

  1. “The Relationship Between Self-Confidence and Performance,” Trine University, https://www.trine.edu/academics/centers/center-for-sports-studies/blog/2023/the_relationship_between_self-confidence_and_performance.aspx#:~:text=Self%2Dconfidence%20can%20make%20or,due%20to%20increased%20self%2Dconfidence
  2. https://www.ey.com/ja_jp/entrepreneurial-winning-women-japan/women-athletes-business-network/wabn-athletes-interview-07-02
  3. EY Japan 統合報告書 2024 | EY Japan

サマリー 

WABNは、アスリートに新たな形での挑戦を促すことで、ビジネス界での自信を育む手助けをしています。このプログラムに参加することで、スポーツで培った資質をリーダーや起業家としての役割において活用し、独自のビジネスプランの開発を学ぶことができます。



WABN

EY Japan WABN Academyタレントプール

EY Japanは女性アスリートが競技引退後に、起業を含むビジネス分野への挑戦やキャリア転換のサポートを行うプログラム「EY Japan Women Athletes Business Network Academy(WABN Academy)」を実施しています。次回のプログラムへの参加に関心のある方は、ぜひご登録ください。

*こちらのフォームはプログラムへ応募するためのものではございません。次回開催は未定ですが、次回の公募を開始しましたら、ご案内させていただきます。



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