EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
令和5年12月14日に、令和6年度与党税制改正大綱が公表されました。以下、大綱で明らかにされた主要な改正・見直し項目の概要を説明します。なお、今後の国会における改正法案審議の過程において、一部項目の修正・削除・追加などが行われる可能性があることにご留意ください。
国として戦略的な長期投資が不可欠となる対象物資が選定され、それらの商品を生産するための機械・設備を取得した場合に、それらの商品の生産・販売量に比例して法人税額を控除する戦略分野国内生産促進税制が創設されます。具体的な対象物資は、電気自動車等(蓄電池)、グリーンスチール、グリーンケミカル、SAF(持続可能な航空燃料)、半導体とされ、物資ごとに単価が設定されます。措置期間を通じた控除上限は既設の建屋等を含む生産設備全体の額とされるほか、各年度の控除上限は当期の法人税額の40%(半導体については当期の法人税額の20%)となります。企業の投資の中長期的な予見可能性を高める観点から、措置期間を計画認定から10年間という極めて長期の措置とした上で、4年間(半導体は3年間)の税額控除の繰越期間が設けられます。
企業が国内で自ら研究開発を行った特許権またはAI分野のソフトウェアに係る著作権について、当該知的財産の国内への譲渡所得または国内外からのライセンス所得に対して、所得の30%の所得控除を認める制度が創設されます。令和7年4月から7年間を期限とします。所得全体から知的財産から生じる所得のみを切り出して税制優遇を行うという制度であり、わが国の民間企業による無形資産投資を後押しします。税制適用の対象範囲については、状況に応じ、今後見直しが検討されます。
大企業については、より高い賃上げへのインセンティブを強化するため、前年度から7%以上の賃上げをした企業は増額分の25%を法人税額から控除できることになります。女性活躍・子育て支援を後押しする企業には、一定の要件のもとで控除率の上乗せ措置が講ぜられます。大企業・中堅企業の最大控除率は、35%となります。また、中小企業の最大控除率は45%に引き上げられるとともに、赤字の場合には控除できなかった部分の5年間の繰越しが可能となります。
法人事業税における外形標準課税対象法人の現行基準(資本金1億円超)は維持されますが、補充的な基準が追加されます。前事業年度に外形標準課税の対象であった法人が資本金1億円以下になった場合でも、資本金と資本剰余金の合計額が10億円を超える場合には外形標準課税の対象とすることとされます。この改正は令和7年4月1日に施行され、同日以後に開始する事業年度から適用されます。直前の駆け込み減資等を防ぐ措置も講じられます。
令和5年度税制改正において導入された所得合算ルール(IIR: Income Inclusion Rule)について、所要の見直しが行われます。OECDにおいて令和6年以降も引き続き実施細目が議論される見込みであるものについては、国際的な議論を踏まえ、令和7年度税制改正以降の法制化が検討されます。
暗号資産等を利用した国際的な脱税および租税回避を防止する観点から、非居住者の暗号資産に係る取引情報等を租税条約等に基づき各国税務当局と自動的に交換するため、国内の暗号資産取引業者等に対し非居住者の暗号資産に係る取引情報等を税務当局に報告することを義務付ける制度が整備されます。
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