2023年4月5日
スポーツのESG最新動向~日本のスポーツ業界のESG「ルールづくり」に向けた取り組みとは

スポーツのESG最新動向~日本のスポーツ業界のESG「ルールづくり」に向けた取り組みとは

執筆者
尾山 耕一

EY ストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 ストラテジック インパクト パートナー

平日はひたむきに持続可能な社会づくりに向き合う修行僧。休日はひたむきに波に向き合うサーファー。

岡田 明

EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 公共・社会インフラセクター パートナー

スポーツによる価値循環モデルの実現を目指す。

2023年4月5日

スポーツ界のESGの取り組みの最新動向、および今後日本のスポーツ界がとるべき戦略を提言するレポートを公開

世界的なESGの潮流の中で、スポーツが取り組むべきこととは何か。ブンデスリーガやアイントラハト・フランクフルトのデジタルを活用した先進的なESG経営の手法に学びます。

要点

  • 企業にESG(環境・社会・ガバナンス)への本格対応が求められている中、欧州のサッカークラブを中心に、スポーツの領域でもESG情報の開示が進んでいる。
  • スポーツには元来、取り組む者に喜びを与え、見る者に幸せをもたらすような、人やコミュニティを豊かにするポジティブな要素がある。
  • 今後、日本のスポーツがより積極的にESGに取り組むことでグローバルとつながり、投資を呼び込み、スポーツの価値を高める可能性が広がる。


昨今、企業にはESGへの対応が求められていますが、スポーツも例外ではありません。2022年11月より開催されたFIFAワールドカップ カタール大会では、スタジアム建設に従事する労働者の人権問題に大きな注目が集まりました。また、同2022年の1月から北京で開催された冬季五輪では、雪がほとんど降らない会場に人工降雪機を用いて会場整備が行われましたが、これによる水不足や環境破壊、さらには人工雪が引き起こす、選手のけがへのリスクが指摘されました。

欧州ではスポーツ業界においてもESGの意識が高く、ブンデスリーガやプレミアリーグでは、「排出量」「資源」「社会的責任」「人的資本」といった項目別にESGの取り組み方針が細かく定められ、項目立てた評価が行われています。

ひるがえって国内のスポーツ業界におけるESGへの対応状況はどうでしょうか。昨今、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会をめぐる汚職事件や、学校の部活動での体罰などが大きな注目を集める中で、スポーツ界のコンプライアンス強化が求められていますが、他方で、ESGへの包括的な取り組みはまだ十分に見られません。

Jリーグの「シャレン!」、Bリーグの「B.HOPE」など、各クラブの取り組み事例を集約する枠組みはあるものの、欧州のように「排出量」「資源」「社会的責任」といったカテゴリーごとのサステナビリティ方針の定義や、定期的な評価・報告は行われていません。

今後、日本のスポーツがより積極的にESGに取り組むことでグローバルとつながり、投資を呼び込む可能性が広がるなど、さらなる発展につなげることができるでしょう。

本レポートでは、海外のリーグやクラブにおけるESGの取り組みの最新動向を紹介するとともに、今後日本のスポーツ界がとるべき戦略を提言します。

【執筆協力】

奥野 翔矢 (EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 ストラテジックインパクト マネージャー)
高田 雄飛 (EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 テクノロジーコンサルティング マネージャー)
多田 雅之 (EY新日本有限責任監査法人 第2事業部 パートナー)
木内 志香 (EY新日本有限責任監査法人 CCaSS事業部 マネージャー)

※所属・役職は記事公開当時のものです。


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サマリー

EY Japanでは、企業に提供してきたESG成熟度診断やサステナビリティ方針・戦略策定支援、サステナビリティ活動支援、サステナビリティガバナンス体制構築支援などの豊富なコンサルティング実績を基に、スポーツ領域でのESG支援を行います。
日本のスポーツがより積極的にESGに取り組むことでグローバルとつながり、投資を呼び込む可能性が広がるなど、さらなる発展につなげることが期待されています。

EY x Sports
- Sports Power the Community


EY Japanは、スポーツによるコミュニティの再蘇生を目的とし、人づくり、場づくり、コトづくり、ルールづくりに取り組んでいます。

ルールづくりにおいては、一般企業における持続可能性の追求と同様に、スポーツ領域におけるESGの主要課題への対応を促進することによって、安⼼してより多くの社会的な資源をスポーツに投資することが可能になると考えています。それによりスポーツがさらに社会の成⻑や課題解決に貢献し、その結果またスポーツへの投資が⾏われるような好循環を⽣み出すことを目指します。

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この記事について

執筆者
尾山 耕一

EY ストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 ストラテジック インパクト パートナー

平日はひたむきに持続可能な社会づくりに向き合う修行僧。休日はひたむきに波に向き合うサーファー。

岡田 明

EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 公共・社会インフラセクター パートナー

スポーツによる価値循環モデルの実現を目指す。