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他業界におけるサプライチェーンの可視化から医薬品業界が学べること
パンデミック中、革新的な医薬品業界は高いサービス水準を維持していましたが、パンデミック後においても高インフレ率や金利の高騰という問題の影響を受け続けています。こうした環境では、サプライチェーンの可視化と積極的な供給リスク管理に基づく戦略を検討する強い動機が存在します。このような戦略は、大手消費財各社で以前から長く取り組みが進められており、近年では他の業界の企業でも採用されています。
例えば、航空宇宙業界や自動車業界の企業でもサプライチェーンの可視化が進められています。航空宇宙業界の企業ではデジタルツールを活用し、サプライチェーン上で予想されるホットスポットについて、管理職にアラートを上げて報告している事例があります。また、自動車メーカーでは、サプライヤーのスクリーニングや、デューデリジェンス、リスク管理サービス、および多層ネットワークのマッピングに市販のデジタルツールを活用しています。加えて、これらのツールでは、グローバルな取引とリスクの監視、エンドツーエンドの予測、追跡、製品の価格追跡も行うことができます。
一方で、航空宇宙業界や自動車業界の事例のようにサプライチェーンの可視化に取り組んではいるものの、どの業界もサプライチェーンの複雑な構造に起因した課題を完全には克服できていません。供給網の上流にあるサプライヤー層における可視性の低さや管理の困難さは、どの業界においてもいまだ完全な解決には至っていない課題です。とはいうものの、航空宇宙・自動車業界では、サプライチェーンの可視化を実現するためにツールの導入等、具体的な取り組みに着手し始めています。
次のステップとして、サプライチェーンの可視化によって明らかになった課題に対し、体系的な対策事項を策定することです。この文脈における課題とはデジタルツールを開発することではなく、可視化された課題に対応するための正しいアプローチを確立することです。これには、推奨される行動指針を示した明確なプロトコルの設定、意思決定権を確立するガバナンス体制の構築、課題へのプロアクティブな対応を可能にし、反応時間を最小化する措置が含まれます。医薬品業界においては、航空宇宙業界や自動車業界で実現されているサプライチェーンの可視性と同等の水準を実現し、その上でその強化された可視性をリスク管理に活用するための効果的なアプローチを確立することが現在の課題であると考えられます。