EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
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未来を形作り、成長と価値を創出する革新的な道筋を作りながら、複雑な変革を進めるための、力強く新しい方法を見つけましょう。プライベートエクイティのNextWaveをご紹介します。
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変革を推進するための4つの優先事項
優先事項は、価値創出の目標時期、投資ライフサイクル、財務部門の成熟度などを考慮して選定する必要があります。
例えば、人材と業務プロセスの領域に優先的に取り組むことで、PE投資先企業では、業務の標準化が促進され、運営面での迅速な改善が見込まれます。このような基盤は、業務フローの効率化にとどまらず、テクノロジーによる自動化を推進する上でも重要です。こうした環境が整うことで、テクノロジーソリューションを業務に組み込み、効果的に活用することが可能になり、パフォーマンスとスケーラビリティ(拡張性)の向上が期待されます。
1. 組織、人材、文化
各役割に応じて適切なリソースを配置し、スキルギャップを特定した上で、従来型および新興の分野の両方における研修を通じて社内の能力を強化することは、極めて重要です。共通の価値観と原則に基づき、人材育成への投資を重視する文化を築くことで、高いパフォーマンスとレジリエンスを兼ね備えたチームの構築が可能になります。
2. プロセスの標準化と自動化
現在、多くの企業が人工知能(AI)や自動化技術を導入することでより高い価値の創出を目指しています。しかし、まずは業務プロセスを見直し、不必要なものは排除し、簡素化・標準化を図ることで、改善の余地がある業務を明らかにすることが、比較的早い段階で大きな成果につながることも少なくありません。例えば、過度に複雑なプロセスの合理化や排除、システム上のギャップ解消、業務の標準化といった取り組みは生産性の向上に直結します。さらに、ERP機能、デジタルツールやデジタルプラットフォーム、生成AIを活用して反復的な業務を自動化することで、より一層の効率化が期待できます。
3. 強固なデータガバナンス
信頼性の高いデータガバナンスは、有意義な基準値と現実的な目標の設定や、経営陣が信頼して利用できる報告の作成において不可欠です。これは、多くのポートフォリオ企業、特にスケールアップ企業では見過ごされがちな側面です。データを中心に据えた財務部門は、データ品質の向上に率先して取り組み、信頼できる唯一の情報源を確立し、最初から正確で一貫性のあるデータとインサイトを提供します。
4. テクノロジーとデジタルツール
財務部門のテクノロジー環境を戦略的に見直すことで、業務効率の大幅な改善が期待できます。重要なのは、理想的なベストプラクティスを追い求めるのではなく、実用的なソリューションに焦点を当てることです。ツールの選定と投資判断を行う前には、財務部門とIT部門が密接に連携し、業務要件や期待値を明確にすり合わせることも重要です。財務テクノロジーの急速な進化と生成AIの利用拡大を踏まえ、財務部門は時間とリソースを戦略的に配分し、自社にとって最適なデジタルツールと優先事項を見極めることが求められます。
財務部門を原動力として、価値創出を効果的・効率的に実現する
今こそ、財務部門が価値創出の主要な推進役としての役割を果たす時です。PE企業は、100日計画において価値創出に寄与する実効性の高い財務部門の構築を優先し、投資サイクルの初期段階から財務変革への戦略的な投資が必要であることを認識することで、VCPの早期実現を加速させるだけでなく、コスト削減も実現し、ひいてはエグジット時の企業価値の向上につなげることができます。
新規の投資においては、このような変革を初期段階で開始することが極めて重要です。これにより、CFOは力強いスタートを切ることができます。特に経営幹部の平均在任期間が短くなっている現状を踏まえると、その重要性はさらに高まります。一方、既存のポートフォリオ企業においては、将来のエクイティストーリー(株式価値の訴求)を支えるために必要な変革について、エグジット時の厳格な精査に耐えうる説得力のあるストーリーを構築することが求められます。