電機産業 第4回:固定資産評価に関する会計処理と内部統制の特徴

2020年11月5日
カテゴリー 業種別会計

EY新日本有限責任監査法人 テクノロジーセクター
公認会計士 小島慎一/松本貴弘/渡邊裕介

1. 固定資産評価に関する会計処理

電機産業においては、急速な技術革新や大規模な製品需要に対応するため、一般的に設備投資額が多額に及びます。景気悪化局面等においては、製品需要が製品供給能力を大きく下回り、当該固定資産又は資産グループから得られる割引後将来キャッシュ・フローの総額が、これらの帳簿価額を下回ることとなり、固定資産の減損損失を計上する必要が出てくることがあります。特に、特定製品に対する専用設備について、当該製品の需要が減退し、遊休資産化した場合、減損の検討が必要となります。

2. 固定資産評価に関する内部統制の特徴

電機業界に属する会社は、複数の業種を展開している会社も多いため、まずは固定資産のグルーピングをどのようにするかが重要となります。グルーピングが決まると、次に主要な資産が何かを検討することが重要となります。製造技術も単純ではないため、一つの資産を主要な資産と決定することができず、複数の資産が有機的一体として機能することから、複数の資産を主要な資産とすることがあります。

また、将来使用見込みのない遊休資産が生じるような場合には、グルーピングの判断が別途必要となるため、経営環境が著しく悪化した場合においては、重要な遊休資産の網羅的な把握、及び、これらの将来の使用見込みに関する適切な判断が非常に重要となります。