EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
EY新日本有限責任監査法人 テクノロジーセクター
公認会計士 小島 慎一/松本 貴弘/眞鍋 雅彦/渡邊 裕介
電機産業においては、急速な技術革新や大規模な製品需要に対応するため、一般的に設備投資額が多額に及びます。景気悪化局面等においては、製品需要が製品供給能力を大きく下回り、当該固定資産又は資産グループから得られる割引後将来キャッシュ・フローの総額が、これらの帳簿価額を下回ることとなり、固定資産の減損損失を計上する必要が出てくることがあります。特に、特定製品に対する専用設備について、当該製品の需要が減退し、遊休資産化した場合、減損の検討が必要となります。また、電機産業においては近年、国際的な合意や国内での法規制の強化等の背景からGHG排出量削減の取り組みが積極的に行われている結果、設備投資額が従来に増して巨額となる傾向もあり、減損の検討をより慎重に実施することが必要なケースも考えられます。さらに、近年の総合電機メーカーの中には、グローバルな競争力の強化を目的としてビジネスモデル変革を行っている企業も多く、M&Aも活発に行われていることから、のれんの減損検討についても慎重な検討が必要となります。
電機業界に属する会社は、複数の業種を展開している会社も多いため、まずは固定資産のグルーピングをどのようにするかが重要となります。グルーピングが決まると、次に主要な資産が何かを検討することが重要となります。製造技術も単純ではないため、一つの資産を主要な資産と決定することができず、複数の資産が有機的一体として機能することから、複数の資産を主要な資産とすることがあります。また、のれんについては、認識した取引において取得された事業の単位が複数である場合には、のれんの帳簿価額を合理的な基準に基づき分割する必要があります。
また、将来使用見込みのない遊休資産については、他の資産又は資産グループのキャッシュ・フローから概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位として取り扱うことに留意が必要です。そのため、重要な遊休資産の網羅的な把握、及びこれらの将来の使用見込みに関する適切な判断が非常に重要となります。
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