Surfers looking at the stormy ocean from the cliff during winter surfing session

2026年に予想される地政学的動向トップ10

急速に変化する地政学的環境でレジリエンスを構築し競争優位性を維持するには、イノベーションが欠かせません。


要点

  • EY-ParthenonのGeostrategic Outlook 2026年版は、地政学が2026年にどのような機会と課題をもたらすかを分析・提示する。
  • 2026年は年間を通じて、3つの主要なテーマが多様な形で絡み合い、世界の国・地域、セクターに広範に影響を及ぼすと予想される。
  • サプライチェーンや資本市場で混乱が生じる可能性を踏まえ、ビジネスリーダーは先見的に地政学的動向を捉え、それらに備えられるよう自社のレジリエンス強化に取り組む必要がある。



EY Japanの視点 

2026年はトランプ第二期政権の2年目に入り、日本企業を含めグローバルビジネスが良くも悪くも「トランプ慣れ」してきた感があります。ただし、合衆国の中間選挙や、目立ってきた政権のほころびがどのように展開するのか――全体として、現政権を超えてMAGA(Make America Great Again)が進むのか、それとも揺り戻しがあるのか――予断を許さない状況です。この方向性により、世界の地政学的なバランスが大きく影響を受けるでしょう。

一方、地政学的な危うさがありつつも、多くの日本企業にとってグローバル化は成長のための必須アジェンダです。2025年前半は関税戦争が関心を集め、物理的なサプライチェーンの強靱さが問われました。いったん関税の落としどころが見えてきた現在、これからのグローバル化の焦点はハードよりもソフトの強靱さに移ると予測します。すなわち、複数地域にまたがる経営を全体として効率的に行うため、グローバルなインフラ(AIとデジタルを含めたIT、ファイナンス、人事などの諸制度)を整え、M&Aを含め全体最適な資源配分が遅滞なくできることが競争力の源泉となります。


EY Japanの窓口

小林 暢子
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 EY-Parthenon パートナー/Japan 地政学戦略グループリーダー



2025年9月期のEY-ParthenonのCEO Outlook調査レポートによれば、CEOの約75%が、販売国での一部生産について現地化を実施済み、または進めています。また、特定の地域ブロックのニーズに応えるためにサプライチェーンの再編に取り組んでいる企業も半数強に上ります。こうした戦略的転換は、地政学的動向によってグローバルなビジネス環境が大きく変化していることを示しています。

地政学的な不安定さは、2026年も続くと予想されます。こうした動向やその他の変化の背景には多くの要因がありますが、2026年における世界のビジネス環境の行方は、米国の動きに大きく左右されると考えられます。中国、EUなど各国・地域が、2026年を通じて米国の新たな姿勢に対応し適応しつつ、同時に自らの戦略を推し進める中で、世界のビジネス環境は変容し続けるでしょう。

こうした状況は、世界中の企業に難しい課題と機会をもたらし、リスク管理や組織統制、戦略策定などにおけるビジネスリーダーの対応方法に影響を及ぼす可能性があります。「Geostrategic Outlook 2026年版」は、例年同様、ビジネスリーダーがこれらの分野やその他のビジネス領域における意思決定に、地政学的分析を取り入れられるよう支援することを目的としています。EY-ParthenonのGeostrategy in Practice調査でも示されていますが、こういった取り組みを効果的に実践する企業は、地政学的な不安定さに対するレジリエンスを高め、競争優位性を獲得できる態勢を確立しています。



Geostrategic Outlook 2026年版 ハイライト



Geostrategic Outlook 2026年版 ハイライト

地政学的動向は、2026年も世界のビジネス環境に大きな変化をもたらし続けるでしょう。EY-Parthenonは、予想される変化を総合的に検討した結果、2026年の地政学的環境を方向づける3つの主要なテーマを特定しました。

第一には、ビジネスの新たなルール・慣行が生まれ、古いものは廃れていくことです。第二は、希少性を巡る地政学の深刻化です。第三は、2026年にこうした地政学的動向が特に顕著になる4つの主要地域に注目することです。EY-Parthenonでは、これら4地域を「戦略的注目地域」と称しています。各動向の詳細は、以下の各数字をクリックしてご確認ください。



Geostrategic Outlook 2026年版で取り上げている地政学的動向は、いずれも企業に固有の影響を及ぼすと予想されます。これらの動向がもたらす機会を最大限に活用し、同時に潜在的なリスクを軽減するためには、的確な地政学的対応が不可欠です。影響の度合いや性質は、企業が属するセクターや事業拠点、経営陣の戦略的判断によって異なります。こうした違いを踏まえ、以下の回転パネルでは、予想される地政学的リスクと、ビジネスリーダーがそれらに備え、確信を持って未来を形づくるためのヒントを、セクターグループごとにご紹介しています。


Geostrategic Outlook 2026年版は、年次シリーズ第8回目のレポートです。この8年間で、世界の多極化は大きく進展し、確固たる傾向として定着しました。地政学的な関係は対立色を強め、各国政府の政策は、経済偏重から国家安全保障重視へとシフトしています。不安定な状況は年ごと、日ごとに続いていますが、そうした中でもいくつかの揺るがない傾向が浮き彫りになっています。中でも、経済安全保障や経済主権の強化に向けて、各国政府が重要製品や戦略分野のサプライチェーンでリスク低減(デリスキング)や国内回帰(オンショアリング)を進め、企業の対応を後押ししていることは注目すべき動きです。これを踏まえれば、近年、地政学の影響を最も強く受けてきた機能分野が、事業運営とサプライチェーンであることは驚くべきことではありません。この流れは2026年も続くと見込まれます。


Geostrategic Outlook 2026年版

2026年1月30日に開催するウェブキャストでは、地政学が世界の不確実性をどう形づくっているのかを解説します。ぜひご視聴ください。


Geostrategic Outlookシリーズ 過去のレポート

2025年に予想される地政学的動向トップ10

地政学の重要性が増しています。混乱の中にあっても自信を持って未来を形作るために、経営者は地政学戦略を必要としています。

2024年に予想される地政学的動向トップ10

近い将来、地政学的環境はさらに複雑さを増すとみられます。企業が優位を保つためには、どのように戦略を革新し、適応させなければならないのでしょうか。

新たな地政学的戦略時代を迎える2023年に戦略をいかにシフトすべきか

2023年の地政学的動向をいかに分析すれば、企業はより的確な戦略的意思決定を行うことができるかを探ります。