ベトナム、特別消費税(SST)法、および付加価値税(VAT)法の改正案他

税関と国際貿易の最新情報 2023年3月/4月

本アップデートのハイライトは以下のとおりです:

  • 中国から輸入されるテーブル・椅子に対する正式なアンチダンピング措置の適用、および、マレーシアから輸入されるテーブル・椅子に対するアンチダンピング調査の中止
  • ホーチミン市に拠点を置く企業に対する倉庫への商品・製品搬入時の倉庫情報の登録義務
  • ASEAN物品貿易に関する協定(ATIGA)に基づく原産地規則の修正および補足
  • 第二品目群(Group 2)、および、科学技術省(MoST)の管理下におかれる商品・製品の追加
  • 商工局(MoIT)の管理下におかれる輸出入品リストの修正
  • 特別消費税(SST)法の改正案
  • 付加価値税(VAT)法の改正案
  • 税関総局(GDC)が発行した各種オフィシャルレター(OL):
    • リース契約により一時的に輸出された物品を再輸入する場合の税務上の取り扱い
    • 原産地証明書(C/O)Form D
    • 関税還付申請書類に関する税関検査
    • 一時輸入に関連する輸出通関の誤申告
    • C/O Form BにおけるHSコード申告
    • 再輸出・再輸入申告時のHSコードの変更について
    • チリからの輸入品に関するC/O
    • 修理のために再輸入された物品に適用される関税の取り扱い
    • 中古品の最低エネルギー効率基準

その他の税務・法務に関する最新情報については、こちらをご覧ください。

中国から輸入されるテーブル・椅子に対する正式なアンチダンピング措置の適用、および、マレーシアから輸入されるテーブル・椅子に対するアンチダンピング調査の中止

2023年2月13日、商工局(Ministry of Industry and Trade : MoIT)は、中国から輸入されるテーブル・椅子に対するアンチダンピング措置の適用とマレーシアから輸入されるテーブル・椅子に対するアンチダンピング調査の中止に関する決定235/QD-BCT(決定235)を発行しました。

中国原産のテーブル・椅子に対するアンチダンピング関税の適用状況は以下のとおりです:

  • 対象:以下のHSコードに分類されるテーブル・椅子 - 9401.31.00, 9401.39.00, 9401.41.00, 9401.49.00, 9401.61.00, 9401.69.90, 9401.71.00, 9401.79.90, 9401.80.00, 9403.30.00
  • テーブルに対するアンチダンピング税率:35.2%
  • 椅子に対するアンチダンピング税率:21.4%
  • 一定の条件を満たせば、アンチダンピング税が免除される商品・製品もあります。

また、調査機関によると、マレーシアから輸入されるテーブル・椅子は、輸入量全体の3%未満と重要性が低いため、MoITはこれらの商品・製品に対するアンチダンピング調査を終了することを決定しました。

決定235号は2023年2月13日に発効され、5年間にわたり有効となります。

ホーチミン市に拠点を置く企業に対する倉庫への商品・製品搬入時の倉庫情報の登録義務

2023年3月2日、サイゴン港第1区域を管轄する税関支署は、専門検査の結果を待つ間の倉庫情報の提供に関する決定1397/TB-KVIを発行しました。

2023年4月1日以降、専門検査の結果を待つ間、企業は、商品・製品の保管場所に関する情報、および倉庫の所有権、または使用権について、登録しなければなりません。この登録作業は、倉庫への商品・製品搬入に関する書類を税関支署に提出する前に完了する必要があります。

登録書は、オンラインポータルを通じて、サイゴン港第1区域を管轄する税関支署に倉庫の所有権、または、使用権を証明する書類を添付して提出する必要があります。この登録は1回限りですが、情報の更新があった場合は修正する必要があります。ガイダンスの詳細については、ホーチミン市関税局の2023年2月22日付オフィシャルレター No.641/KV1-DHHNKをご参照ください。

企業が情報を登録していない場合、または、提出された書類が倉庫の所有権や使用権を証明していない場合には、税関支署は、保管場所への貨物の搬入を許可しないことになります。

ASEAN物品貿易に関する協定(ATIGA)に基づく原産地規則の修正および補足

2023年2月14日、MoITはATIGAに基づく原産地規則の適用に関する2016年10月3日付通達 22/2016/TT-BCT(通達22)の一部の条文を修正する通達03/2023/TT-BCT(通達03)を発行しました。通達03には、従前の通達22に替わる以下のAppendixのリストが添付されています。

  • Appendix I.品目別規定
  • Appendix II:繊維および繊維製品の実質変更基準
  • Appendix III:情報技術製品(ITA製品)のリスト

通達03は2023年4月1日に施行されました。

第二品目群(Group 2)の商品・製品、および、科学技術省(Ministry of Science and Technology : MoST)の管理下におかれる商品・製品の追加

2023年3月14日、MoST発行の決定366/QD-BKHCN(決定366)により、「ステンレス鋼管」が、第二品目群、また、MoSTの管理下の製品・商品に追加されました。詳細は以下のとおりです。

  • HSコード: 7306.40.20, 7306.40.90, 7306.61.10, 7306.61.90, 7306.69.10, 7306.69.90
  • 当該商品・製品に適用される国家技術基準(QCVN):QCVN 20:2019/BKHCN、および、その改正基準1:2021 QCVN 20:2019/BKHCN
  • 適用される管理方法:
    • 通関後の製品品質に関する国家検査
    • 認証機関または検査機関の認証または評価結果に基づく国家検査の基礎となるもの
    • 地域の科学技術専門機関が担当官庁となり、品質測定基準に関する機能と責任を果たす

決定366号は、その発行日に施行されました。

商工局(MoIT)の管理下におかれる輸出入品リストの修正

MoITは、2018年6月15日付通達12/2018/TT-BCT(通達12)および2019年12月16日付通達41/2019/TT-BCT(通達 41)に添付されたHSコードに基づく輸入・輸出品リストの一部の物品を修正する2023年3月31日付通達08/2023/TT-BCT(通達 08)を発行しました。

通達12のAppendix IおよびAppendix IIは、通達08により以下のとおり置き換えられます:

  • Appendix I - 輸入が禁止されている消耗品、医療機器、中古車両のリスト
  • Appendix II - 一時輸入、再輸出、国境ゲート移送のために一時停止する商品・製品のリスト

通達41のAppendix I、Appendix VIおよびAppendix VIIは、それぞれ、通達08のAppendix III、Appendix IV、および、Appendix Vにより、以下のとおり、置き換えられます:

  • Appendix III - 輸出されるもみ・米のHSコード別詳細リスト
  • Appendix IV - タバコ原料、タバコ用巻紙のHSコード別詳細リスト
  • Appendix V - タバコ専用の機械設備のHSコード別詳細リスト

通達08は、2023年5月16日に施行されました。詳しくは、通達 08をご参照ください。

特別消費税(SST)法の改正案

財務省(MoF)は、SST法の改正を提案するオフィシャルレターを政府に提出しました。本改正案では、課税標準を拡大するための新しい政策の導入、健康、また、環境への悪影響を及ぼすと考えられるいくつかの製品グループに対する特別消費税率の改定、および、特別消費税の対象となる商品・製品、また、対象とならない商品・製品に関する規制の改正に重点を置いています。

SST法の改正案は、以下の点を主な内容としています:

  • 砂糖入り清涼飲料水、大麦を原料とする飲料、また、ノンアルコール飲料、電子タバコ・加熱式タバコ、電子タバコ・加熱式タバコの部品および液体、オンラインビデオゲームサービスなど、SSTの対象となる商品・製品の追加
  • 自動車、航空機、輸入時に外国から返品された輸出品、積み替え品など、SSTの対象とならない商品・製品にかかる一部規定の改正
  • 税額計算方法(固定税額法、およびハイブリッド法)の変更
  • 新たに課税対象となるレンタルサービスに付随する製品、商品、サービスの課税標準にかかる規定の改正
  • ワイン、ビール、エコカーなど、一部の商品に対する税率および課税方法の改正
  • バイオ燃料の生産に使用され、SST未控除分があるガソリンに対するSST還付、および、事業譲渡、組織再編、合併、統合、分割、清算時のSST還付にかかる規則を改正し、企業法との整合性の強化

付加価値税(VAT)法の改正案

財務省は、国家予算の再編、VAT免税品目や優遇VAT適用品目の絞り込みによる課税対象の拡大、一般税率の引き上げなど、VAT法の改正を提案するオフィシャルレターを政府に提出しました。

VAT法の改正に関する提案の主な内容は以下のとおりです:

  • 肥料、農業用の機械設備、沖合漁船、郵便、公共通信、インターネットサービスなど、VAT非課税扱いになっている特定の商品・製品、サービスを課税対象に追加すること。
  • 生産活動の促進、関連する行政手続きの改革、および法制度との整合性改善のため、いくつかの商品・製品、および、サービス群をVAT非課税品目のリストに追加すること。
  • 不動産、カジノ、景品付きビデオゲーム、賭博ビジネスなどの商品・サービス群の課税標準にかかる規制を改正すること。
  • 文化的事業、展覧会、スポーツ活動、芸術活動、映画製作、映画の輸入および配給事業などをVAT5%課税取引の対象となる商品・製品、サービス群から削除すること。
  • 国際的な慣行への準拠を強めるため、サービスの輸出にかかる規定を改正すること。
  • インボイスを紛失した場合、また、インボイスが無効である場合の控除可能インプットVATに関する規定、および、インプットVATの控除を請求するための条件を改正すること。
  • 製造業者、または5%のVAT税率が適用されるサービス提供者、投資プロジェクト、条件付き投資分野、輸出サービスに対するVAT還付にかかる規定を改正すること。
  • 事業譲渡、企業再編、合併、統合、分割、清算時のVAT還付にかかる規定を改正すること。

税関総局(GDC)が発行した各種オフィシャルレター(OL)

No.

論点

概要

938/TCHQ-TXNK
2023年3月6日付

リース契約により一時的に輸出された物品を再輸入する場合の税制について

リース契約により一時的に輸出され、再輸入される自動車は、免税の対象とはなりません。従って、企業は一時輸出時に輸出関税を、再輸入時に輸入関税を支払う必要があります。

1163/TCHQ-GSQL
2023年3月15日付

C/O - Form D

  • C/O- Form Dについて、2023年3月31日までは、紙、e-C/O(電子原産地証明書)、または、自己証明書の形式において、HS 2017年版による申告が認められます。それ以降は、HS 2022年版による申告が求められます。
  • C/O Form Dにおいて "Issued Retrospectively"(遡及発給)の欄にチェックが記載されているとき:
    • e-C/Oの場合:輸入通関書類内の他の補助書類と比較検証されます。物品の原産地に疑いがない場合、C/Oが受理されます。
    • 紙のC/Oの場合:管轄税関によって直ちに否認されることはありませんが、GDC(税関総局)傘下の税関監督管理部門に送付され、さらなる検証が行われます。

909/TCHQ-TXNK
2023年3月3日付

関税還付書類にかかる税関検査

  • 税関検査に先行して、関税の還付を受けることができる関税還付申請については、リスク管理の原則に基づき税関検査が実施されます:
    • 2006年11月29日付租税管理法78/2006/QH11の有効期間内は、関税還付にかかる決定書の発行日から10年以内に検査が実施されます。
    • 2019年6月13日付租税管理法38/2019/QH14の施行期間中は、関税還付にかかる決定書の発行日から5年以内に検査が実施されます。
  • 関税の還付前に税関検査が実施される関税還付申請については、税関検査の対象選定の根拠となる情報・データ収集の一環となるものです。従って、これらの税関書類も税関検査時の検査対象となります。
  • (税関検査対象としての)優先順位の高い企業が税関検査に先行して、関税の還付を受けることができる関税還付申請を行う場合、税関監査または検査に関する決定書が、関連する市・省の税関によって発行されることになります。管轄の税関は、さらなる検討と検査決定のため、決定書の発行前に、通関書類と検査計画について、GDC傘下の税関事後調査部門に報告しなければなりません。

556/TCHQ-GSQL
2023年2月9日付


一時輸入に関連する輸出通関の誤申告

  • 税関申告書タイプH21で輸出された物品が、以前に一時輸入されたと判断する証拠がある場合、税関は検査議事録に基づいて、一時輸入の税関申告書を棄却し、違反処理を実施します。
  • 十分な証拠がない場合、税関は企業に対し、正確な輸入品を再輸出するよう要求する。そのような物品を再輸出しない場合、企業は使用目的を変更する必要があり、税関規則違反の対象となります。

40/XNK-XXHH
2023年2月10日付

C/O - Form BにおけるHSコード申告

  • MoITは、2022年6月8日付の通達31/2022/TT-BTC(通達31)における輸出入品リストに基づき、品目別規則をHS 2017年版からHS 2022年版の適用に変更する作業を進めています。
  • C/O – Form Bの発行は、HS 2017年版に基づく2018年4月8日付通達 05/2018/TT-BCTに依然として準拠しています。
  • 差異があり、輸入者の要請があれば、C/OにHS 2022年版を追加するものとするが、C/O発行の根拠とはしない。申告されたHSコードの正確性については、税関申告者が責任を負うものとする。

824/TCHQ-GSQL
2023年2月27日付

再輸出・再輸入申告時のHSコードの変更について

  • 2022年12月30日以前に通関した一時輸出入申告書に申告したHSコードと比較して、通達31のリストに従ってHS 2022年版に変更があるため、再輸出または再輸入の税関申告ができない場合、税関当局は紙の税関申告を行うように指導します。
  • 仮輸入・仮輸出申告書の「再輸出・再輸入数量」を税関当局が調整した場合、再輸出・再輸入貨物の記録はシステム外で監視されることになります。

897/TCHQ-GSQL
2023年3月2日付

チリからの輸入品に対するC/O

  • 2023年2月21日にチリで環太平洋パートナーシップ包括的および先進的協定(CPTPP)が発効しました。
  • ベトナム政府は、CPTPPに基づきチリから輸入される物品に適用される特恵輸入関税に関する政令をまだ発行していません。
  • チリは、輸出者が発行した自己原産地証明書を適用します。当該書類の審査は、MoITが発行した2019年11月22日付 通達03/2019/TT-BCTおよびMoFが発行した2019年9月5日付通達 62/2019/TT-BTCの指針に従って実施されます。

349/TCHQ-TXNK
2023年1月18日付

修理のために再輸入された物品に適用される関税の取り扱い

  • 修理、リサイクル目的で免税対象となった輸出貨物を再輸入し、海外の顧客(第一購入者)に返却する場合、税関は通関時に免税処理を行います。関税の徴収免除にかかる決定書は発行されず、タイプG13による税関申告を指示します。
  • 修理、リサイクル目的で輸出された物品を第三国または非関税地域に再輸入するとき:
    • もし、企業が最初の輸出通関申告で納税義務を果たしたにもかかわらず、商品を再輸入するまでに関税還付を請求しなかった場合、税関当局は再輸出時の関税の徴収免除に関する決定書を発行します。その際、企業は輸出関税の還付を請求することができます。
    • 最初の輸出通関申告の際に納税義務を果たし、再輸入時に関税の還付を請求した場合には、再輸出時に輸出関税を納付しなければなりません。

1077/BCT-TKNL
2023年3月2日付

中古品の最低エネルギー効率基準

  • MoITの管理下にあるエネルギー消費型の自動車や機器については、新品の商品・製品の場合には、エネルギーラベル貼付に関する2016年12月28日付通達36/2016/TT-BCTに準拠したエネルギー効率に関する試験結果が適用されます。
  • 中古品の場合には、テスト結果は特定の出荷にのみ適用され、他の類似の出荷に再適用することはできません。

Contacts 

Hanoi Office

Huong Vu | General Director
EY Consulting Vietnam Joint Stock Company

Ho Chi Minh City Office

Robert King
Indochina Tax Leader

Anh Tuan Thach 
Partner | Tax Consulting
EY Consulting Vietnam Joint Stock Company

Japanese Business Services (JBS)
Takaaki Nishikawa | Director
Ernst & Young Vietnam Limited

Japanese Business Services (JBS)
Takahisa Onose | Partner 
Ernst & Young Vietnam Limited

Korean Business Services (KBS)
Kyung Hoon Han | Director
Ernst & Young Vietnam Limited

Korean Busniess Services (KBS)
Phil Choi | Partner
Ernst & Young Vietnam Limited

China Business Services (CBS)
Owen Tsao | Director
Ernst & Young Vietnam Limited

※所属・役職は記事公開当時のものです

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