EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
2022年3月にIFRS解釈指針委員会でIFRS第17号保険契約における利益の認識の解釈に関する照会について議論が行われました。 今後、パブリックコメントを募集するために、暫定的なアジェンダ決定を公表する予定です。
照会の内容:
本照会は、生命年金によって提供されるサービスに関するIFRS第17号の解釈及びそのサービスを認識するためにCSMのリリースを求める規定の適用に関して、当委員会の見解を求めるものです。
本照会におけるファクト・パターンは、保険契約者が保険料を前払いし、解約することができない、即時開始年金契約のグループであり、提供されるサービスは、生存に対する保険カバーのみです。保険契約者は、生存する限り、定期的な年次給付を受けることができます。
本照会では、2つの解釈が示されています。それらは、契約の存続期間に亘り提供される、保険カバーに関する見方が異なるものであることから解釈が分かれ、それゆえにCSMのリリース及び収益認識に関するアプローチに相違が生じています。本照会では、いずれの解釈もIFRS第17号の原則に合致しているか否かが論点となっており、カバー単位とグループ内の各契約において提供される給付の量の算定が分析の主たる対象でした。
アプローチ A:当期に支払われうる給付額
アプローチ B:契約の残存期間に亘って支払いが見込まれる総給付額
本ミーティングのスタッフ・ペーパーの数値例(及び照会文書中の数値例)では、アプローチB は、アプローチAと比較して、CSMのリリースが大きく前倒しとなります。
スタッフは、アプローチAはIFRS第17号の規定に沿ったものであるが、アプローチBはそうではないと考えています。これは、契約の残存期間に亘って支払いが見込まれるすべての給付額の現在価値は、各期に提供される保険カバーを反映するというIFRS第17号B119項の原則に整合していないためです。
委員会での状況:
当委員会メンバーの多くはスタッフ・ペーパーにおける分析及び結論に同意しているが、メンバーの1人は反対を表明しました。当メンバーは、アプローチAは一部の単純な年金商品には適切であるかもしれないが、アプローチBの方がより適切であり、プライシング方法とも整合的であると考えています。本TADは公開協議に付され、またIASBにより検討がされます。
今後の予定:
当委員会は、パブリックコメントを募集するために、暫定的なアジェンダ決定を公表する予定です。寄せられるコメントを検討し、当委員会は、将来の会議で、(IASBによる反対がないことが前提ではあるが)TADの内容を確認し、最終的なアジェンダ決定の公表を決定することになります。
※ 詳細は下記英語版のリンクをご参照ください。
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