5 分 2019.03.25
ビデオスクリーンの壁の前に立つ男性

メディア・エンターテインメント(M&E)企業で検討が続く記録的水準での事業売却

執筆者

Will Fisher

EY Global Transactions Media & Entertainment Leader

Transaction leader in media and entertainment. Passionate about helping clients formulate and execute successful inorganic strategies.

John Harrison

EY Global Media & Entertainment Sector Leader

Transformative leader with a passion for media and entertainment. Identifying the opportunities afforded by convergence and disruption. Executing strategies to succeed in a fast moving market.

5 分 2019.03.25

M&E企業では、事業売却が急ピッチで進んでいます。これは、迅速な方向転換を行い、新しい成長機会を追求し、競争力を維持するためです。

EYが実施した EY Global Corporate Divestment Study(企業のダイベストメントに関する意識調査)によるとメディア・エンターテインメント(M&E)企業での売却計画は、いまだ記録的水準にあります(80%が2年以内の売却を予定)。デジタルケイパビリティーやコア資産の構築に集中するための資金確保が、その目的です。

テクノロジーを引き金とする集約が起き、独自のコンテンツやデータの重要性が増し、消費者行動は変わり続け、オンライン事業者からの競争に直面しています。そんな中で、メディア・エンターテインメント(M&E)企業では、成長戦略の検討が継続的に行われています。

売却計画

80%

メディア・エンターテインメント(M&E)企業の回答者のうち、2年内に次の売却を始める予定と答えた割合

その結果、記録的水準での売却意欲は薄まることなく、ほんの2年前と比べても、大幅に傾向が強まっています。企業が売却に踏み切るのは、新しい成長機会を追求し、競争力を維持するための迅速な方向転換が可能になるからです。規模と拡張性のあるデジタルケイパビリティーの構築資金、またはコア資産への投資資金。これらを確保するために売却対象になるのが、ポートフォリオにとってもはやコアではなくなった事業、あるいはトップの座が別の所有者の手中にある事業です。

テクノロジー、メディア、エンターテインメントの線引きが曖昧になる昨今、メディア・エンターテインメント(M&E)企業の75%が、向こう12カ月において、さらに大規模な変革的事業売却を予測。68%が業界の集約によって売却判断が促される可能性があると答えています。

多くの企業がダイベストメント(事業再編・売却)を進めている理由

力を失った資産を売却し、テクノロジーへの投資資金を確保

EYの第19回キャピタル・コンフィデンス調査によると、今ではメディア・エンターテインメント(M&E)企業の3分の2以上が、少なくとも半期に1度ポートフォリオの見直しを行います。過少投資資産やポートフォリオにとって、もはやコアではなくなった事業、あるいはトップの座が別の所有者の手中にある事業を見直した結果、それらを積極的に売却し続けていることが明らかになりました。

回答者の30%は、その事業の競争力が比較的弱かったことが、直近の売却において、1番のきっかけになったと答えています。

新しいテクノロジーに対する投資資金の必要性は、今後も最も大きな売却動機となり得ます。回答者の78%は、向こう12カ月にテクノロジーの導入と引き換えの事業売却が増加すると予測。昨年同様に、回答した75%と同水準でした。

直近の売却のきっかけとなったのは何ですか。
各社が狙う、事業売却による価値創出

メディア・エンターテインメント(M&E)企業の90%は、直近の売却においてスピードよりも価値を重視したと答えました。2018年の77%から、かなりの上昇です。その一方で、5分の3(60%)は、「その資産について期待する金額と買い手の提示金額の差が20%を超えたこと」と回答しています。2018年には、差額の大きさを理由に挙げたのは、3分の1にすぎませんでした。

価値を重視する傾向によって、日和見主義的な売却は減少しています。売り手側のメディア・エンターテインメント(M&E)企業の50%が、直近の売却は日和見主義的だったと答え、2018年の65%から減少しました。期待に見合う売却価格と存続組織の評価額を得るために決断した予定外の売却が、予定内売却の4分の1であることを見ると、こうした傾向は妥当といえるでしょう。つまり、理想の評価額を得るためには、売り手側が信頼に足る価値のストーリーを、裏付けデータと共に用意しておくべきです。売却に伴う準備を早い段階から始めることが、これまで以上に重要となるのです。

予定外の事業売却

4分の1

期待に見合う売却価格と存続組織の評価額を得るために決断した予定外の売却が、予定内売却の4分の1

資金は新規市場参入やコア資産へ

メディア・エンターテインメント(M&E)企業は、株主価値を高めるために事業売却から得た資金を、成長領域へと再投資しています。

  • 回答者の58%は、直近の売却から得た資金を新製品、新しい市場・地域へと再投資しました。これらは、コンテンツ制作やデータのコストが膨らむ中、より多くのオーディエンスに到達し、規模を確立するための重要な手段となります
  • 回答者の53%は、資金をコアビジネスに投資。コア資産の強化に向けた資金捻出のために、成長特性が異なる資産を処分する戦略を採用しています
直近のダイベストメント(事業再編・売却)で得た資金で何をしましたか。

事業売却を成功させるための態勢とは

常に売却に備える

メディア・エンターテインメント(M&E)企業は、現在も事業売却プロセスの着手までに時間がかかる傾向があります。回答者の65%が、売却すべき時期まで資産を長く持ち過ぎていると答えました。ポートフォリオの見直し頻度は増えており、この見直しと遅滞のない売却判断のためのアクションとを合致させる必要があります。

いったん売却プロセスが始まれば、準備不足が大きく影響します。

  • 回答者の58%は、直近の売却は規制要件の準備不足によって遅れが生じたと答えました。
  • 63%は、税務リスクに対応できていなかったことが、直近の売却の価値を下げる主な原因になったと答えています。
さまざまな構造のメリットを比較評価

メディア・エンターテインメント(M&E)企業の83%は、直近の売却ではカーブアウト方式を採用したと回答。2018年の40%から増加しています。この形式の場合、システム、プロセス、さらには事業体の分離についても作業を取引プロセスが始まる前に開始する必要があります。買い手が分かる前にこの作業に着手しておくことで、分離や独自のタイムラインをスピードアップすることができます。例えば回答者の37%は、売却価格を有利にした1番の方策は、最適な法的構造選びだと答えています。

カーブアウト方式がメリットをもたらす一方で、これ以外の取引構造(合弁事業、非課税分離独立、全社売却など)も、株主へのリターン増加に役立つ場合、あるいは存続組織の長期的目標により合致する場合があります。回答者の65%が、「売却構造に柔軟性が無かったことが、価値の目減りにつながった」と答えていますので、他の構造にも目を向ける必要があります。

売却構造の柔軟性

65%

「売却構造に柔軟性がなかったことが、価値の目減りにつながった」と答えた回答者の割合

次の買い手の波が来た時、価値をどう最大化できるか

プライベートエクイティの力を活用

プライベートエクイティの買い手は、時々、多くの時間と労力を必要とすることがありますが、これらの入札者は、価値や激化する競争、さらに販売手続きに対する潜在的に高いコスト倍率などに鋭い焦点を当てることもできます。会社の買い手と違い、プライベートエクイティは売却される事業を統合するポートフォリオ会社を持っていないかもしれません。シナジー効果が無いことから、売り手は微細かつ時間のかかるプライベートエクイティのデリジェンス要求を探すことになるかもしれません。売り手の83%は、「プライベートエクイティのデリジェンス要求に対して相当な時間がかかったことが難題だった」と答えています。その一方で、プライベートエクイティの買い手と組むと、売却価格が増えるという回答が48%、他方、プライベートエクイティと事業売却で組むと、売却終了までの時間が減ったという回答は45%でした。

サマリー

EYの企業のダイベストメントに関する意識調査は、企業が行うべきポートフォリオ戦略のアプローチ、資産売却の改善、既存事業の将来の保証に注目しています。

この記事について

執筆者

Will Fisher

EY Global Transactions Media & Entertainment Leader

Transaction leader in media and entertainment. Passionate about helping clients formulate and execute successful inorganic strategies.

John Harrison

EY Global Media & Entertainment Sector Leader

Transformative leader with a passion for media and entertainment. Identifying the opportunities afforded by convergence and disruption. Executing strategies to succeed in a fast moving market.