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組織が変革の加速とサイバーセキュリティの強化を同時に実現させる方法について、詳細をご覧ください。
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この数値から、サイバーセキュリティ部門とCISOの役割が進化していることがうかがえます。従来、サイバーセキュリティ部門は、主に、防御、コンプライアンス対応、リスクの軽減・定量化などに取り組んできました。しかし、デジタル変革の広がりやクラウドベースの分散型ITインフラへの移行、AI導入の加速などを背景に、ここ数年、先進的なサイバーセキュリティ部門では、ビジネス成長をけん引する重要な推進役としての役割も担うようになっています。
一方、サイバーセキュリティ予算については、売上高比率が、過去2年間で1.1%から0.6%へと推移し、減少傾向にあることが本調査で明らかになりました。この背景には、サイバーセキュリティへの投資を価値創出の機会と捉える意識が、企業の間でまだ十分に浸透していないことがあると考えられます。その結果、CISOの多くは依然として、戦略的取り組みの初期段階から意思決定の場に加わる機会を得られず、十分な影響力を発揮できていません。また、サイバーセキュリティ部門も、その潜在的な価値を発揮するために必要な予算を確保できていないのが現状です。
現在のところ、緊急性の高い戦略的意思決定において初期段階で意見を求められたと回答したCISOは、全体のわずか13%に過ぎません。こうしたCISOは、意思決定の後半に関与した、あるいはまったく関与しなかったCISOと比べて、より大きな価値を創出しています。
サイバーセキュリティ部門が戦略的な取り組みにもたらす価値をより正確に定量化できるようになったことで、CISOは、重要な意思決定に初期段階から関与すべき理由や、自身の役割が従来の技術的実務者から経営幹部へと進化していることを、これまで以上に説得力をもって示すことができます。
本調査は、先進的なCISOがどのように価値を生み出しているかを他のCISOと比較しながら明らかにすることも目的としています。さらに、サイバーセキュリティの自動化・簡素化によって得られるコスト最適化の効果を定量的に評価することで、CISOが自社にもたらすことができる価値を明確に示し、組織内での影響力を高めるための実践的な対応策も提示しています。
本調査で得られた洞察は、特に、変革の推進、新たな技術の導入、新市場への参入、新製品の投入、急成長企業の買収といった取り組みを進めている企業のCISOにとって有益です。こうした取り組みでは、新たな脅威やリスクへの備えとして、サイバーセキュリティ部門の関与が不可欠ですが、本調査の結果から、サイバーセキュリティ部門が初期段階からより戦略的に関与することで、各取り組みにおいてより大きな価値を創出できることが明らかになっています。
なお、本調査はCISOにとって有益であるだけでなく、主要な戦略的取り組みに関与するCEO、CFO、取締役、その他の経営幹部にとっても、極めて重要な意味を持ちます。CISOがこうした取り組みや意思決定の初期段階から実質的に関与することで、企業全体に新たな価値をもたらすことができるからです。