EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
要点
2025年10月3日、当法人主催による「電子カルテなど病院情報システム導入セミナー」を開催しました。本セミナーは、医療機関の皆様に向けて、電子カルテをはじめとする病院情報システムの導入・更新に関する最新情報や実践的なノウハウをお届けすることを目的に、参加無料で実施いたしました。
当日は、会場とオンラインのハイブリッド形式で多数の方にご参加いただき、活発な質疑応答も交えながら、医療現場のデジタル化に向けた理解を深める有意義な機会となりました。
EY新日本有限責任監査法人ガバメント・パブリックセクターの谷口信介の開催あいさつの後、最初のセッションでは、「医療情報システムの導入」を、続いて特別テーマとして「医療政策の動向」をテーマに、当法人のコンサルタントからの解説がありました。
電子カルテをはじめとする医療情報システムの基本構成や特徴として、医療情報システムは閉域のネットワーク上で構成されることが大半であり、「おのおのの部門に特化した部門システムが連携し構成されている」、「5~7年ごとにシステム更新が必要となる」、ことなどの説明がありました。また、昨今の物価上昇の影響等もあり近年の医療情報システム更新費用は、前回の医療情報システム更新費用に比べて2倍近くにもなるとの試算が紹介されました。(図1)
図1 物価上昇などによる医療情報システムの価格への影響
続いて、電子カルテ更新の導入・更新プロセスの解説があり、「現状分析・基本計画の作成」~「稼働後の動作確認」までの各プロセスで押さえるべきポイントについて、実際の支援事例を交えながら解説しました。(図2)
図2 医療情報システムの導入・更新のプロセス全体像
システム導入後の検収フェーズにおいて、要求仕様書通りに動作していることを確認した時に、ほとんどの場合では当初の要求仕様書通りとはならないため、更新プロセスにおいて、要件の変更や意思決定者等が分かるように文書化することの重要性など、トラブルを未然に防ぐための実務的なポイントを解説しました。(図3)
図3 契約時の要求仕様書回答をもとに、検収時にシステム会社が「自己チェック」した結果(イメージ)
厚生労働省等が推進する電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスなど医療DXの政策で進められている政策の具体的な取り組みや、各取り組みの進捗状況などについての解説がありました。(図4)
図4 医療DXの政策で進められている対応について
医療DXの政策で開始されている各サービスの導入・利用開始に当たっては、病院内での運用フローについて従来のフローからの見直しが必要であり、次回の医療情報システム更新時には、特に電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスの導入を前提とした総合的な次期システムの検討が必要になることが紹介され、各サービスの運用事例なども紹介されました。(図5)
また、標準型電子カルテの普及に向けた政策動向など、今後の医療情報化の方向性について厚生労働省等で議論されている内容について公表されている資料をもとに解説しました。
図5 医療DX導入時に影響のある業務・運用(例)
参加者からは、「今後の医療DXにおける新たな取り組み」「標準型電子カルテの導入に向けた課題」「部門システムを低コストで導入する方法」など、実務に直結する質問が多く寄せられ、活発な意見交換が行われました。
当法人では、医療情報システムの導入・更新に関するコンサルティングサービスを提供しております。今回のセミナーを通じて、現場の課題やニーズを改めて実感いたしました。今後も、医療機関の皆様の業務改善・DX推進に貢献できるよう、引き続き情報提供と支援を行ってまいります。
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病院情報システム導入セミナーを実施。電子カルテの活用事例や導入ポイント、国の医療DXに係る政策動向について共有しました。
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