EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
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新規株式公開(IPO)では、「いつ」と同じくらい、「どこで」上場するかが重要な要素になります。私たちは、国内外で貴社が上場するために最適な市場を選定するサポートをします。
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クロスボーダー上場は、堰を切る勢いを見せています。今年の第1~第3四半期で、77社が海外での上場を選択しました。この中には、Americas、Asia-Pacific(アジア太平洋)、EMEIA地域でのクロスボーダー案件が含まれ、前年同時期の64社から増加しています。これは前年比20%の増加であり、今年の世界全体のIPO件数の9%を占めます。2023年以降、米国証券取引所のIPOの約52%は国外を本拠地とする企業によるもので、この20年間で最高水準を記録しています。この高い数字は、過去2年間のIPO件数が全体的に少なかったことも一因ではありますが、グローバル企業が上場先に米国市場を選ぶ傾向が高まっていることを浮き彫りにしています。2024年には、堅調な米国市場は中国本土や香港、シンガポール、オーストラリアからの株式上場を呼び込み、案件規模は比較的小さかったとはいえ、前年度から件数を伸ばしています。米中間で監査を巡る協定が結ばれたことで、上場廃止になる懸念が緩和されたため、中国企業はスイスでの上場を取りやめ、流動性と有利な評価を求めて米国を選ぶようになっています。とはいえ、大規模なクロスボーダー上場案件は欧州に集中しています。メガ案件は米国で2件、オランダで1件上場されました。
クロスボーダー上場の勢いが増す一方で、証券取引所はビジネス環境の進化に対応するために、さまざまな変化を取り入れて上場制度の見直しを図っています。従来の財務指標では企業の価値や可能性を十分に把握できなくなる可能性があるためです。
2024年、英国はロンドンをニューヨークなどに対抗できる競争力のある市場にすることを目指し、この数十年間で最大の上場改革を導入しました。香港証券取引所(HKEX)でも、2024年9月から上場条件を緩和し、専門性の高いテクノロジー企業のIPOやDe-SPACの促進を図っています。
株価収益率(PER)などの評価指標は、企業が上場先を選ぶ上で特に重要なポイントです。株価収益率の高さは、投資家の関心が高く、将来の成長について市場が楽観的であることを示す指標です。業界や市場の状況によっては、特定の証券取引所をより魅力的にする要因になります。PERは米国やインド、中東で比較的高く、これらの地域は、IPOを検討している企業や投資家に好まれる市場となっています。