- 53%の経営層が、データ&アナリティクスを今後2年間の自社の最優先投資分野として回答
- クラウド、IoT、人工知能(AI)はビジネス変革の基礎となる主要テクノロジーとなっている
- デジタル変革の障壁として高コストとスキル不足が上位を占めている
- ビジネス変革には、人材のデジタルスキル確保が不可欠
EYが7業界、1,600を超える経営幹部とシニアリーダーを対象に、企業の変革計画におけるテクノロジーの役割について調査を実施したグローバル調査「EY Tech Horizon 2022」によると、組織のオペレーション、意思決定、顧客・従業員対応など、全てデータの利活用が鍵となるデータセントリック時代が到来する中、企業はその対応に乗り出していることが明らかになりました。
本調査によると、今後2年間の変革戦略の策定において、データ&アナリティクスを最優先の投資対象に位置づけている企業は半数以上(53%)に上り、2020年の35%から増加傾向にあります。さらに、企業は、クラウド(49%)、IoT(42%)、AI(35%)などの先端技術インフラに対するテクノロジー投資から最大限の価値を創出するために、デジタル基盤の確立にも取り組んでいます。
企業のテクノロジー投資の目的は、顧客の嗜好(しこう)傾向やニーズの予測(44%)、新製品の創出(42%)、既存製品およびオペレーションの改善(34%)などです。しかし同時に、経営層は自らの変革計画を実行する際にデータとテクノロジーに関する深刻な課題を抱えています。中でも、経営者の3分の1以上(35%)がテクノロジーにかかるコストの高さを最大の障壁として回答し、セキュリティおよびプライバシー要件の複雑さ(27%)、複数システムの統合の複雑さ(25%)が続きます。
データセントリック企業への進化を妨げる要因はスキル不足です。本調査では、71%の企業が、テクノロジー関連スキルの育成に向けて予算の増加を検討していると回答しました。
また企業はデジタルスキル人材の獲得に関しても、アップスキリングにおける諸課題(30%)、既存のスキル人材の維持・確保の難しさ(29%)、高い報酬要件(25%)などの問題を抱えています。構造的な人材不足を考慮し、アップスキリングやリテンション(人材の確保)などに注力するアプローチが主流になっており、70%の企業が、外部の人材を新規に採用するよりも既存の人材のリスキリングに力を入れていると回答しました。
EY Global Vice Chair(コンサルティング部門)のErrol Gardnerのコメント:
データの流通は戦略的なものになってきているため、デジタルファースト組織へと移行することは、世界全体で喫緊の課題となっています。新しい時代を勝ち抜くために企業がまず実行すべきことは、データセントリックな将来像を大胆に描いた変革プランを策定・実行することです。的確なテクノロジーミックスへの投資は予算を上回るコストや複雑なプロセスを伴うかもしれません。しかし、今日の目まぐるしい変化に適応できなければ、次々と登場する先端技術に圧倒され続けながら、時代に取り残されてしまうことになるということを企業の経営層は認識しています。新たなデータセントリック時代には、的確なテクノロジー戦略と、それを踏まえた的確な人材戦略を策定・実行することが鍵となります。ヒューマンエクスペリエンスを変革の中心に据えてデータリテラシーの浸透や従業員のデジタル化を組織全体にわたり促進する組織は、この新たな時代を勝ち抜くことができるでしょう。
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社
テクノロジーコンサルティングリーダー パートナー 新坂上 治のコメント:
グローバルにおけるEY Tech Horizon 2022調査では、多くの企業がデジタル変革の推進に着手しているものの、期待を超える変革を実現できていないことが明らかになりました。これは、EYが常日頃から議論させていただいているクライアント経営幹部の課題認識や悩みを定量的、定性的に示すものでした。一方で、今回の調査結果には、データセントリック時代において、企業としての社会的に長期的な価値を引き出すためには4つの主要テクノロジー(データ&アナリティクス、クラウド、IoT、AI/機械学習)を適切な場面で利活用していく重要性が更に明らかになってきています。今回の調査結果が、各企業にてデジタル変革を推進する際の、何らかのきっかけになりましたら、この上なく幸いです。また、日本のコンサルティングとしても継続して4つの主要テクノロジーに関する情報を発信していきます。