- ザ・コンシューマー・グッズ・フォーラム(CGF)はEYとともに、CEOと業界全体が直面する緊急課題とそれらを連携して克服する方法を明らかにするため、大手企業のCEOのインサイトをまとめたレポートを公表する。
- EYとCGFが共同作成した本レポートは、京都で開催される「CGFグローバルサミット」の前夜に公表される。このサミットには、味の素、アリババ、アホールド・デレーズ、コカ・コーラ、日本マイクロソフト、モンデリーズ・インターナショナル、ペプシコなどの企業のCEOや日本政府関係者が集まり、緊急課題に対する活動を加速する。
- CGFは製造企業と小売企業の双方から成る、唯一のCEOを主体としたグローバルの組織です。世界70カ国、400社以上の加盟企業のCEOで構成されており、消費財業界のポジティブな変革を推進する重要なフォーラムを提供している。
EYとザ・コンシューマー・グッズ・フォーラム(以下、CGF)は、消費財業界のリーダー17人の見解をまとめたレポートを公表します。本レポートは、さまざまな危機が発生する中で、消費財業界がどのように連携し、レジリエントなビジネスを確保し、サステナビリティ活動を加速させているかを把握することを目的としています。
京都で開催されるCGFグローバルサミット(6月6日~8日)に先駆け、世界で最も影響力のある製造企業と小売企業のリーダーたちは、消費者とのつながりを保つこと、新しいデジタルプラットフォーム、人材の確保、およびサステナビリティ目標の維持が、現在直面している主たる長期的課題であると認識しています。
今回公表されるレポート「Pursuit of harmony, working together in times of turmoil(調和の追求、混乱の時代における協働)」では、世界的なパンデミック、サプライチェーンの混乱、地政学的な問題、エネルギー価格の上昇、気候変動の影響など、現在進行中の世界的危機の嵐を乗り越えてきた消費財業界が抱える厳しい現実を浮き彫りにしています。
アホールド・デレーズ、味の素、コカ・コーラ、Grupo Éxito、ケロッグ、ロレアル、モンデリーズ・インターナショナルなどの大手企業CEOからのインサイトにより、あらゆる消費財企業にとって重要なアクションとなる以下の3つの行動すべき点が明らかになりました。
- すべての課題に同時に取り組むことはできないことを認識する
相次ぐ危機は、企業経営に複合的な影響を及ぼしています。インタビューに応じた多くのCEOは、複数の課題に同時に取り組む難しさに触れ、さまざまな圧力に対応しながら進歩を遂げるためには、課題に優先順位をつける必要があると総括。多くのCEOは、組織の焦点を絞るため、明確で比較的自律的なワークストリームを作成することで、大きな課題を管理しやすくしています。
- レジリエンスの構築に重点を置く
消費財企業は、パンデミック時にレジリエンスを発揮しました。この変革は必要に迫られて生じたものですが、新たな課題に取り組むための強固な土台を築くことにつながりました。レポートにおいてインタビューに応じたリーダーたちは、混乱に対応するための戦術的活動よりも、混乱を乗り越えて長期的な目標を達成するためのレジリエンスの重要性を強調しました。
- 成功のための共有
今日のビジネス課題は、これまで以上に連携が必要になっています。企業の競争力を保つには明確な線引きが必要ですが、提携やパートナーシップにより拡大したネットワークの中でオープンかつ相互的な共有を行うことは、すべての企業に利益をもたらします。
ザ・コンシューマー・グッズ・フォーラムのマネージングディレクターであるワイチャン・チャン氏のコメント:
「リーダーらは、目先の課題を乗り越えるだけでなく、企業や人々、地球に対する長期的価値を提供することから目をそらしてはなりません。本レポートにおいて多くのCEOが示したように、成功するかどうかは、リーダーたちがそれぞれの企業でどのように活動するか、そして、業界全体で他の企業とどのように連携するかの双方にかかっています。
今日直面している課題の多くは、組織単独で克服することはできません。体系的な解決策は集団的活動によってのみ生み出されるものであり、この理念がCGFの活動の中核を成しています。まもなく京都で開催されるグローバルサミットでは、この協働の精神に基づいて、ビジネスリーダーたちが一堂に会し、社会、環境およびビジネスの緊急課題に対していかに集団的影響を加速させることができるかを議論するユニークなフォーラムの場として提供いたします」
レポートにおいてCEOの懸念事項として目立っていたのは、サプライチェーンのセキュリティとコストという2つのテーマでした。企業は、最も責任ある持続可能な方法で製品の調達、製造、流通および販売を可能にしながら、コストを削減しようとしています。
サプライチェーンのさまざまな課題を解決する「万能」アプローチはなく、ニュアンスの異なる戦略が必要です。この戦略には、測定、追跡および改善のためのデジタルツールの活用と同時に、調達とイノベーションを活用して代替材料や多様なサプライヤーネットワークを利用することも含まれます。リーダーたちは、物価の上昇に対して可能な限りコストを削減し、業務効率を高め、より低価格の代替品へとポートフォリオのリバランスを行うことに焦点を当てた措置を講じてきました。
また、インタビューに応じたリーダーらは、競争優位をもたらす資産が厳重に管理される傾向にある厳しい競争環境の中で、多くの企業が課題を共有して協働すること、特にサステナビリティへの意欲を維持することに熱心であることも明らかになりました。
EY Global Consumer LeaderであるKristina Rogersのコメント:
「多くの混乱が続く中、消費財企業は板挟みになっており、サプライチェーンの混乱による価格感度、コスト上昇、および債務負担の増加のバランスを取ろうとしています。しかし、このような環境下でも、ただ企業が生き残るためだけでなく、成功に向けて行えることがたくさんあります。ボラティリティと逆境は、イノベーション、効率、レジリエンスの原動力となり、成長と利益率の向上につながるものです。
消費財企業のリーダーは、消費者行動の変化する性質に特に注意を払い、ロイヤルティーを堅持し、消費者による購入の方法と理由に影響を及ぼす要因を把握するという課題に対応しなければなりません。消費者は意見を求められることを望んでおり、企業は消費者を協働するプロセスに加わってもらわなければなりません。現在の逆風を考慮すると、企業、政府および組織、消費者間の協働は、もはや戦略的選択肢ではなく、すべての利害関係者にとって成果を最適化するために不可欠な活動です」
レポートの作成に協力いただいたCEOの一覧:
- Kellogg Company、Chairman and CEO、Steve Cahillane氏
- 味の素株式会社 代表執行役社長兼最高経営責任者 藤江 太郎氏
- METRO AG、Chairman of the Management Board、Steffen Greubel博士
- Essity AB、President and CEO、Magnus Groth氏
- キリンホールディングス株式会社 代表取締役社長 磯崎 功典氏
- 中国蒙牛乳業有限公司 盧 敏放総裁
- Haleon plc、CEO、Brian McNamara氏
- Group Éxito、CEO、Carlos Mario Giraldo Moreno氏
- Koninklijke Ahold Delhaize N.V.、President and CEO、Frans Muller氏
- A.S. Watson (Asia & Europe)、CEO、Malina Ngai氏
- L’Oréal S.A. Consumer Products Division、President、Alexis Perakis-Valat氏
- The Coca-Cola Company、Chairman and CEO、James Quincey氏
- FEMSA、CEO、Daniel Rodríguez氏
- LIPTON Teas and Infusions、CEO、Nathalie Roos氏
- REWE Group、CEO、Lionel Souque氏
- Mondelēz International, Inc.、Chairman and CEO、Dirk Van de Put氏
- Loblaw Companies Limited、Chairman and President、Galen G. Weston氏
本レポート(英文のみ)はこちらからダウンロードできます。