EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
・ハイテク企業をターゲットとしたM&A(合併・買収)はAsia-Pacific地域で過去最高を記録
・ハイテク企業、先進的製造業者およびモビリティセクターがAsia-Pacific地域での案件を牽引
・ASEAN地域は過去最大のインバウンド取引により、インバウンドの取引額は過去最高
・ASEAN地域におけるかつてない規模の買収案件成立に、特別目的買収会社(SPACs)を通じたIPOがそれに続き、インバウンドの取引高は過去最高
Asia-Pacific地域では2021年上半期、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響から回復する中で、M&A取引額が史上最高を記録しました。EYの専門家による最新の分析によると、Asia-Pacific地域をターゲットとするM&Aの取引額は前年同期の2,840億米ドルから5,350億米ドルに急増しました。
世界の経済活動は、多くの地域では依然としてCOVID-19による制限下で取引される中、同地域ではクロスボーダー取引でも顕著な復活を遂げ、前年比で3倍近く増加し、1,590億米ドルとなりました。
今年度、Asia-Pacific地域での取引額は、10億米ドルを超える案件が50件以上あり、前年比で約 5 倍にまで増加しました。同地域のハイテク業種が堅調に取引活動をリードしており、2021 年上半期の累積取引高のほぼ3分の1(28%)を占めました。同様にM&Aのターゲット企業のうちハイテク企業はAsia-Pacific地域でのM&A件数は過去最高を記録し、取引額で前年比88%も増加しました。次いで先進的製造業と新世代モビリティ業での取引活動の件数が活況でした。
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社代表取締役、梅村秀和は次のように述べています。
「パンデミックによりあらゆる業界がイノベーションとビジネス変革を余儀なくされました。ハイテク分野でのAsia-Pacific地域におけるM&A活動は、次世代型技術アプリケーション、すなわち産業用モノのインターネット(IoT)、AI、電気自動車、持続可能な低燃費技術などの出現により活発化しています。製造業において先進的な企業が行ったM&A活動は、主に自らの同業を買収対象とし、買収後において企業統合がより必要とされる”ボルトオン型買収”で、市場シェア拡大や変革的な取引を増大させ、ひいてはより持続可能なビジネスモデルを実現できるよう企図されてきています」
さらに梅村は次のようにコメントしています。
「企業統合とは、お互いの組織の強みを結びつけながら深化させ、企業自らを差別化するための手段です。ハイテク分野では市場シェアの拡大のため、特に買収対象企業のビジネスの回復力、デジタル技術レベルの連携に重点を置いています」
また、Asia-Pacific地域のアウトバウンドの取引額は、COVID-19以前の水準である850億米ドルまでにV 字回復しました。インバウンドはパンデミック前の平均と比較して170%以上急反発し、740億米ドルと過去最高に達しました。これは主に、ASEAN地域のユニコーン企業の過去最大級の買収とそれに続いた特別買収目的会社(SPAC)を通じた同社の米ナスダック市場への上場が要因でした。
Asia-Pacific地域と同様に、北米と欧州も記録的な成長を見せており、取引額はそれぞれ、米国では1.4兆米ドル(これはパンデミック前の5年間の平均のほぼ2倍の水準)、欧州では4,120億米ドルです。
さらに、2021年上半期の再生可能エネルギー部門におけるM&A活動は、経営者が取引を通じて環境目標を達成しようと意欲的であるため、前年同期と比較して世界全体でほぼ3 倍に達しました。これら環境、社会、ガバナンス(ESG)関連の取引高は、2020年前半での157 億米ドルから2021年前半には965億米ドルまでに急進しました。
「ESGは投資決定の際、欠かせない要素になっています。多くのCEOや投資家が、現在から将来の取引戦略に持続可能性や長期的価値創造を統合させることを最前線で取り組んでいます」と梅村は述べています。
EYキャピタル・コンフィデンス調査によると、Asia-Pacific地域での取引への意欲は2010年以来の高水準にあります。この地域の企業の約90%が今後12ヶ月間に生じうる海外からの買収を警戒していることを示しています。また、世界の65%の企業が同時期でのM&Aを検討中です。
EYストラテジー・アンド・トランザクション リードアドバイザリー リーダーの川口宏は次のように述べています。
「デジタル化はAsia-Pacific 地域及び全世界的に引き続き最重要事項となっています。企業は積極的に顧客からの期待を経営計画の中心に据えています。パンデミック及びそれに対応した断続的なロックダウンにより、サプライヤーへと連なる供給側及び顧客へと続く需要側の両サイドにおいてバリューチェーンの分断が生じました。一方で企業は、買収を通じて獲得した新しい技術や革新的なソリューションと既に持っている技術力を融合させ、カスタマージャーニー(顧客と商品・サービスの接点及び購入プロセス)のデジタル化を加速することによりビジネスプロセスの変革を実行しています」
「M&Aを行うために潜在的な成長分野を特定することや、業績不振の資産を売却するといった困難な決断を下すことは、Asia-Pacific並びに世界の企業にとって重要なアジェンダとしてしっかりと根付いています。」
※本ニュースリリースは、2021年8月23日(現地時間)にEYが発表したニュースリリースを翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。
英語版ニュースリリース: Asia-Pacific M&A hit highest value on record fueled by technological innovation and ESG agendas
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