ニュースリリース
2024年9月24日  | Tokyo, JP

EY調査、エネルギー投資急増でも、2030年の再生可能エネルギー目標達成は遠い

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  • バッテリーエネルギー貯蔵システム(以下BESS)は、系統の不安定化などの課題解決に重要
  • 新たなBESSランキングでは、米国、中国、英国が最も魅力的な投資市場として注目
  • 米国、中国、ドイツは、政策支援により、再生可能エネルギー国別魅力指数の上位3位を維持

EYは、再生可能エネルギーに関する最新の調査「EY再生可能エネルギー国別魅力指数(RECAI)第63号」(以下 RECAI 63号)を発行しました。

昨年、クリーンエネルギーへの投資が1兆8,000億米ドル急増したにもかかわらず(再生可能エネルギーへの6,600億米ドルを含む)、2030年までに再生可能エネルギー容量を3倍にするというCOP28の目標を達成するために必要な額を下回っています。また、系統の制約や高い資本コストも、加速が必要な局面で進捗を遅らせる可能性があることが、RECAI 63で明らかになりました。

バッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)を含むエネルギー貯蔵は、多くの成熟市場で深刻な割合に達している系統の制約を解決する上で重要な役割を果たすことができます。今回のRECAIでは、BESSを詳しく取り上げ、投資家に有益な機会を提供する方法を探ります。

EYのグローバル再生可能エネルギーリーダーのArnaud de Giovanniは、次のように述べています。
「BESSのスケールアップは、系統の安定化と強化、より分散したエネルギー資源のグリッドへの接続を可能にするなど、クリーンエネルギーの進展を妨げるさまざまな問題の解決に役立ちます。投資家は、①レジリエントな投資ケースの構築、②技術競争力を維持するための措置を講じること、③最適なビジネスモデルや資金調達構造の確立、④サプライチェーンのリスク軽減という4つの要素に焦点を当てることで、複雑で地域性が高く、急速に変化する市場を切り抜けることができます」

EYのBESSランキングで、投資対象市場のトップが明らかに

再生可能エネルギーの急増が進む中、BESSは、需要と供給のピークを平準化し、系統の拡張と更新のコストを抑えることで、重要な役割を果たします。米国は、インフレ抑制法に基づく30%の税額控除が追い風となり、EYが新しく発行したBESS投資における最も魅力的な市場ランキングで首位を獲得しました。政府の支援と補助金、2025年までにBESSコストを30%削減する計画がある中国は僅差で2位でした。また、洗練されたエネルギー市場設計と、BESSを発電資産に分類する新しいエネルギー法案を持つ英国が3位となりました。2023年から2030年にかけて、世界のBESSの導入は4倍に増加し、572GW/1,848GWhに達すると予測されています。

EY RECAI編集長のBen Warrenは次のように述べています。
「BESSに対する投資家の関心は高まっています。その複雑さを解消するために、EYは世界のバッテリー投資市場の魅力を特定し、ランク付けしました。しかし、BESSへの投資は長期的なコミットメントが求められ、高度にローカライズされており、他のクリーンエネルギー投資よりも多くのリスクを伴います。プロジェクトを成功するためには、地域性、電⼒市場の構造、技術、資⾦調達の相互作⽤を理解し、不確実性を受容する必要があります」

成熟市場がRECAI指数の上位に

今回のRECAIでは、米国(1位)、中国(2位)、ドイツ(3位)がトップの座を維持しており、投資家は再生可能エネルギーに対する明確な需要とプロジェクトの蓋然性に価値を感じています。スペイン(12位)は系統制約の観点からトップ10から脱落しました。一方で、洋上風力発電の予見性を背景に、カナダ(9位)と日本(10位)がトップ10に浮上しました。このランキングで大きく動いたのはベルギーで、2040年までに洋上風力発電容量を3倍に増やす計画があり、順位を4つ上げて17位となりました。 アルゼンチンは、新政権が経済の再活性化を打ち出したため、順位を3つ上げ、現在26位につけています。太陽光発電の固定価格買取制度の変更により、ベトナム(39位)は6位下げました。

小規模な市場は、潜在的な投資家に魅力的な選択肢を生み出している

標準化指数(国内総⽣産(GDP)で標準化)では、デンマークが首位を維持しています。ギリシャ(+1)、チリ(+2)、フィンランド(+3)は、野心的なエネルギー転換計画と魅力的な政府のインセンティブに牽引され、小規模経済圏のランキングをそれぞれ2位、3位、7位に上昇させました。ギリシャは過去4年間で再生可能エネルギーの容量を倍増させ、チリの再生可能エネルギー業界は今後10年間で倍増すると予想されており、フィンランドはヨーロッパ初のカーボンネガティブ経済になるという野心的な目標を掲げ、潜在的な投資家に新たな投資機会を生み出しています。

EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 アソシエートパートナー 内海 直人のコメント:
「世界の脱炭素化・ネットゼロを加速するためには、系統の不安定化を解消する必要があり、BESS(バッテリーエネルギー貯蔵システム)などを含めた新たな技術・事業の導入が不可⽋となっています。
国内においては、本編に記載されている国・地域、特に英国と比べると、まだ市場整備および大胆な支援策の欠如から普及が遅れています。しかしながら、需給調整市場や容量市場(長期脱炭素電源オークション含む)の開設に伴い、複数のビジネスモデル・収入源ができ今後はさらなる活性化が期待されます。加えて再生可能エネルギー発電事業との組み合わせによるピークシフト、系統用蓄電池による系統運用の柔軟性・安定性の向上、マイクログリッドを一例とした災害対策としての活用 など、大きな可能性があり、ここでも本編に記載の『4つのポイント 』を踏まえ検討することで、事業者は長期的に堅実な収益を狙うビジネスモデルを構築することが可能となります」
 

RECAIトップ40の全容、標準化されたRECAIランキング、PPA指数、および世界の最新再生可能エネルギー開発動向の分析については、ey.com/recai をご覧ください。

※本ニュースリリースは、2024年6月18日(現地時間)にEYが発表したニュースリリースを翻訳し、日本の見解を加えたものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先されます。
英語版ニュースリリース:
Record energy investments are failing to keep the world on track for the 2030 renewables target


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