米国、銅・スクラップ銅および銅派生製品の輸入に関する調査を開始

  • トランプ大統領は、銅および銅派生製品の輸入が米国の国家安全保障上の脅威となるかどうかの調査を指示する大統領令に署名した。この調査では、銅市場における国内生産能力と国際競争に焦点が当てられる。
  • 商務長官は270日以内に調査結果を報告し、輸入依存のリスクを評価し、関税の可能性、輸出規制、国内の銅生産およびリサイクルを強化するための戦略に関する提言を行う。

2025年2月25日、ドナルド・トランプ大統領は、銅、スクラップ銅、および銅派生製品の輸入が米国の国家安全保障を損なう恐れがあるかどうかを判断するための調査を指示する大統領令に署名しました。通商拡大法第232条に基づき、商務長官は国防長官、内務長官、エネルギー長官、およびその他の関連行政省庁の長官と協議した上で、銅の輸入依存に関する国家安全保障上のリスクを評価するための調査を開始し、270日以内に報告書を提出します。銅は、米国の国防、インフラ、新興技術にとって不可欠な材料です。調査では、以下を含むあらゆる形態の銅が対象となります。

  • 銅鉱石
  • 銅精鉱
  • 精製銅
  • 銅合金
  • スクラップ銅
  • 銅派生製品

米国は十分な銅の埋蔵量を有していますが、懸念されているのは、米国の製錬・精製能力が世界の競合相手に追いついていないことです。ホワイトハウスは、大統領令の中で、「1つの外国生産者が世界の銅製錬・精製を支配しており、世界の製錬能力の50%以上を占め、上位5つの大規模精製施設のうち4つを所有している」と強調しました。

調査の一環として、19 USC 1862(d)に規定された「国防のための国内生産および国内産業の経済厚生に対する国際競争の影響」と称される要因の評価が含まれます。その他の関連要因には、以下が含まれます。

  • 国防、エネルギー、重要インフラ部門における現在の需要および予測される需要
  • 米国の需要を満たす国内生産、製錬、精製、リサイクルの能力
  • 外国のサプライチェーン、特に主要輸出国が米国の需要を満たす能力
  • 米国の銅輸入が少数サプライヤーに集中していることに関連するリスク
  • 米国の産業競争力に影響を与える外国政府の補助金、過剰生産能力、略奪的貿易慣行
  • ダンピングおよび国家が支援する過剰生産によって人為的に抑制された銅価格が経済に与える影響
  • 外国が精製銅の供給を管理することによって銅の輸出を制限する可能性
  • 米国が輸入依存度を低減するために、国内の銅採掘、製錬、精製能力を増強する能力
  • 現行の貿易政策が国内の銅生産に与える影響を踏まえた、関税や割当など国家安全保障措置の必要性

報告書が完成した際には、商務長官が以下の項目についての調査結果を提出します。

  • 米国の銅輸入への依存が国家安全保障に与える脅威の有無
  • 関税の可能性、輸出規制、国内製品増加のためのインセンティブなど、緩和戦略に関する提言
  • 投資の活用、許認可の改革、リサイクル推進の拡大を通じて、米国のサプライチェーンを強化するための政策提言

企業に求められる対策

商務省による銅輸入に関する調査を踏まえ、企業は、新たな要件が導入された場合にコンプライアンスを確保するための積極的な対策を講じる必要があります。以下のアクションは、企業がこれらの規制変更に備え、適応するために役立つと思われます。

  • 輸入データを検証し、潜在的な影響とリスクを把握する。
  • 銅のサプライチェーンを評価し、多様化することで、限られた数の外国サプライヤーへの依存に伴うリスクを軽減する。
  • 国内の銅への投資機会を探る。
  • 貿易政策や市場状況に変化が生じた場合に銅供給が途絶える可能性に備え、緊急対応計画を策定する。
  • 規制の今後の更新や変更を監視し、必要に応じてプロセスを調整する。


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EY税理士法人

大平 洋一 パートナー
福井 剛次郎 シニアマネージャー

※所属・役職は記事公開当時のものです