日本の新規上場動向 - 2022年1月~3月

EY新日本有限責任監査法人
企業成長サポートセンター
税理士 左近司 涼子

1. 新規上場市場の概況

2022年1月~3月の国内株式市場は、年明け日経平均株価終値は29,301円でスタートし、徐々に下落を続け3月上旬には一時24,000円台となるものの、その後は回復の兆しを見せ、3月末には27,821円となりました。そのような市場環境の中で、新規上場企業数は21社(TOKYO PRO Marketを含む。以下同様)となりました。前年同期(2021年1月から3月)と比較した場合3社減となっております。市場別に見ると、全体の47.6%にあたる10社がマザーズに上場しており、新興市場合計で全体の81.0%を占めています(表1)。

表1 最近5年間(1月~3月)の市場別新規上場企業数

表1 最近5年間(1月~3月)の市場別新規上場企業数

(注1)対象期間に新規上場実績のある市場のみを上記に記載しています。
(注2)東証と同日に他の市場に上場している場合は、東証の実績に含めています。

 

2. 新規上場企業データの分析

業種別では、サービス業6社(28.6%)と情報・通信業5社(23.8%)とで全体の過半数を占め、他の業種社数と開きが見られます。(表2)。

表2 2022年(1月~3月)の業種別新規上場企業数

表2 2022年(1月~3月)の業種別新規上場企業数

本社所在地別では、全体の76.2%にあたる16社の本店所在地が東京都であり、依然として東京都が中心です。東京都以外に本店所在地がある場合でも上場市場は東証に集中しています。赤字上場(直前期の当期純利益が赤字で上場した会社)数はマザーズ上場した2社、TOKYO PRO Market 1社です。

表3 2022年(1月~3月)の地域別新規上場企業数

表3 2022年(1月~3月)の地域別新規上場企業数

直前期の売上高の分布を見ると、10億円未満の企業が4社(19%)、10億円以上50億円未満の企業が11社(52%)であり、全体の3分の2超を売上高50億円未満の比較的小規模な企業が占めています(図1)。売上高が200億円を超える新規上場企業は東証1部上場1社、東証2部上場1社です。

初値時価総額の分布を見ると、50億円未満の企業9社(43%)、50億円以上100億円未満の企業が9社(43%)であり、大半を占めております(図2)。

また、TOKYO PRO Marketを除いた新規上場企業においては、公募割(初値が公開価格を下回る)企業は4社でした。

図1 2022年(1月~3月) 新規上場企業・直前期売上高/ 図2 2022年(1月~3月) 新規上場企業・初値時価総額

図1 2022年(1月~3月) 新規上場企業・直前期売上高/ 図2 2022年(1月~3月) 新規上場企業・初値時価総額

監査法人別では、2022年1月~2022年3月はEY新日本有限責任監査法人4社(19.0%)、有限責任監査法人トーマツ4社(19.0%)、有限責任あずさ監査法人が2社(9.5%)となっており、中小規模等のその他の監査法人のシェアも増加しております(表4)。

表4 2018年~2021年の監査法人別新規上場企業数

表4 2018年~2021年の監査法人別新規上場企業数