EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
市場環境のめまぐるしい変化や不確実性の高まりを受け、企業の最高財務責任者(CFO)は業務執行で3つのジレンマを抱えている。それらを解消するためには、しなやかで力強いファイナンスオペレーションの構築が欠かせない。その実現に向けてCFOに求められる役割と課題について、EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 ファイナンス アソシエートパートナーの山岡氏に聞いた。
近年のCFOは3つのジレンマを抱えている。1つ目は、労働人口減少により従来業務の担保が難しい中で、ビジネス・パートナーとしての役割高度化にも並行して取り組まなければならないジレンマ。
2つ目は、良い製品・サービスを提供すればビジネスが盤石な時代が終わり、既存事業の深化と新規事業の探索、遠心力と求心力といった背反テーマに関していかに最適解に導くかというジレンマ。
3つ目は、短期的な株主価値を求めるアクティビスト(物言う株主)と対峙しながら、一方でマルチステークホルダー経営を推進しなければならないというジレンマである。
このうち、まず足元で解消すべきは1つ目のジレンマである。
少子高齢化に加え、働き方の変化により、ただでさえ業務工数の確保が難しい中、CFOは非財務情報や国際課税強化などの新たなレギュレーション対応、あるいは経営者や事業責任者に寄り添った意思決定への能動的な関与が求められている。さらにはパンデミック(世界的大流行)や大規模災害、地域紛争など、一時的に業務中断に追い込まれるリスクも抱えている。
こうした状況下でファイナンス部門は、効率的で筋肉質なリーンオペレーションの実現にとどまらず、よりしなやかに、強靭(きょうじん)に、危機や困難から回復できる、レジリエントなオペレーションモデルを構築する必要がある。こうして一つ目のジレンマを解決することが、2つ目、3つ目のジレンマに取り組む第一歩となる。
レジリエントファイナンスの構築は、デジタル、組織、人材という3つのイネーブラーを三位一体で駆使することで実現される。
ただし、その駆使の仕方には一定の留意が必要である。デジタル活用が特定の業務機能の自動化にとどまっていないか?シェアードサービスが単なる機能組織の寄せ集めになっていないか?タレントソーシングが自前主義で、伝統的な会計スキルの育成に終始していないか?
こうした状況に陥る原因は、目線が自部門に向いてしまっている点にある。ファイナンスが関与するend-to-endプロセスには、その業務サービスの受益者が存在する。具体的には金融市場や税務当局、あるいは社内の経営者や事業責任者などである。こうした受益者がファイナンスの関与する業務サービスに、何をどれくらいの品質レベルで求めているのか?受益者視点でファイナンスオペレーションを再考する必要がある。
受益者が重視するKPI(重要業績評価指標)と必要十分な目標値を特定し、それを達成するためにend-to-endでプロセスをデザインし、その実現に重要な業務機能に対して最新のデジタルを優先的に適用する。その役割を担うプロセスオーナーを機能組織から距離を置いたシェアードサービスセンター(SSC)に配置し、環境変化に応じて受益者とのサービスレベル合意を柔軟に見直すことで、従来型SSCから業務変革のエンジンであるグローバルビジネスサービス(GBS)に進化させる。さらには継続的なサービスレベルの向上のために、自部門社員の育成のみでは不十分な場合は、外部専門家の起用や戦略的アウトソーシングも柔軟に取り入れる。
このような視座を持った3つのイネーブラーの駆使によって、初めてレジリエントファイナンスを実現できる。
EYでは、多くのCFOと対話する中で、彼らが典型的に抱える3つのジレンマを解明し、そのジレンマを解消するための7つのCFOアジェンダを整理している。また、それらに対応するために、今回紹介したレジリエントファイナンスをはじめとした4つのオファリングでクライアント企業の変革を支援している。
今後も、下記リンク先から「CFOが抱える3つのジレンマ」、「7つのCFOアジェンダ」、「EYが提供する4つのオファリング」について順次発信する。本内容が彼らのジレンマを解消する一助となれば幸いである。
著作・制作 日本経済新聞社(2024年日経電子版広告特集)
※2024年5月20日~2024年6月17日に日経電子版にて掲載。文章・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます。
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