TradeWatch 2024年 Issue 2 CBAM導入に関する英国政府のコンサルテーション:EYの現在の見解

TradeWatch 2024年 Issue 2 CBAM導入に関する英国政府のコンサルテーション:EYの現在の見解



現在、英国(UK)は欧州連合(EU)に次いで世界で2番目となる炭素国境調整メカニズム(CBAM)の導入を進めています。

2024年6月13日に、2027年からのUK CBAM導入に関する英国政府のコンサルテーションが終了しました。UK CBAMは、炭素集約度の高い輸入品に対し、これらの製品の炭素排出量に基づいた税を課すものですが、本コンサルテーションではUK CBAMの範囲、設計および管理が取り上げられました。UK CBAMは、国・地域によって異なる気候関連政策の強度によって、排出量が他の国・地域に移転してしまうカーボンリーケージに対処することを目的としています。

英国政府は、UK CBAMを2027年までに導入する予定であると発表しました。本コンサルテーションでUK CBAMの設計や適用に関する英国政府の意見がまとめられましたが、追加情報は今後確認される予定です。

2023年10月1日にEU CBAMが導入された際と同様に、UK CBAMは、英国の対象企業に対して相当の財務上および運用上の影響を及ぼします。さらに、UK CBAM製品の海外サプライヤーは、英国に輸出する製品の排出量について詳細な情報を提供することが求められます。

UK CBAMの導入は英国の気候目標達成には有用ですが、英国政府は、企業に課される管理上および財務上の負担についても考慮しなければなりません。英国およびEUでは、企業に対して情報の収集やサプライヤーとの協力を求める措置が増加しています。英国政府が、企業に課されている他の報告義務を考慮しながらUK CBAMを設計すれば、さまざまな要件を合理化し、混乱を最小限に抑える機会となります。

コンサルテーションのテーマの構成に関して、EYは以下の見解を持っています。

  • 企業の手続きの合理化:
    UK CBAMの実施により、対象企業には複雑な報告要件が導入されます。データを収集するカテゴリーや会計期間を、企業が直面する他の報告措置(拡大生産者責任〈EPR〉、英国のプラスチック包装税〈PPT〉、EU CBAM、欧州森林破壊防止規則〈EUDR〉など)と整合させることで、企業に対する管理上の負担を軽減することができます。
  • 国際的な協力と基準の開発:
    UK CBAMの対象企業は、直接および間接の排出量に分類された内包排出量を報告しなくてはなりません。国・地域や規制間で報告が重複することによる影響を軽減する基準や方法を確立できるよう、英国政府は、英国の主要貿易相手国による協力を求める必要があります。
  • 企業に対する十分な準備期間の提供:
    EU CBAMに備える中で、早期に行動する企業は、正確かつ完全なデータを収集できる可能性が最も高いことが分かりました。企業が必要なシステムアップデートやサプライチェーンからのデータ収集を行う時間を十分に確保できるように、報告要件が実施される前に詳細なガイダンスを発行すべきです。
  • 実際の排出量データ使用の奨励:
    UK CBAMの目的を達成するうえでは、企業に輸入製品の実際の排出量データの報告を求めることが重要です。ただし、実際の排出量データを常に入手することができるとは限らないため、一定期間はデフォルト値を利用する可能性が高くなると思われます。デフォルト値を利用して報告しなければならない企業に法外なコストを課さずに、実際の排出量データによる報告を採用することは、UK CBAM対象企業、特に実際の排出量データを取得するために最善を尽くしている企業にとって有益となります。

本コンサルテーションに引き続き、英国財務省および英国歳入関税庁のチームが、企業や貿易事業者、その他の関係者から提出された全ての資料を検討し、2024年後半に予定される政府回答を作成します(ただし、2024年7月4日の英国総選挙の影響を受ける可能性があります)。政府回答の発表後、必要な一次法案および二次法案が起草され、議会での審議を経て発効します。

企業は、政策の動きを引き続き注視し、UK CBAMの内部管理の責任者を割り当て、UK CBAMの導入に備えることが求められます。また、UK CBAMの設計と適用について引き続き英国政府と連携し、貿易や持続可能性に関する広範な展開や措置にも関与していく必要があります。

 

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