EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
皆さんは「会社にこんな福利厚生があったらいいのに」と思い描いたことはありませんか?例えば食事が3食タダだったり、食べ放題のスナックがあったり、オフィスに巨大なジムやプール、スパがあったり…シリコンバレーのIT企業のオフィスに魅力を感じたことがある方も多いのではないかと思います。
一方で、従業員のために設けられた福利厚生制度でも応募者を逆に敬遠させてしまう”Anti-Perks”になることもあります。その事例をいくつかご紹介します。
「有休取得無制限」:一見魅力的なオファーに見えますが、「有休を取るのが申し訳なくなりそう」という印象を応募者に与える要因にもなりかねない制度です。
「チームビルディング活動※頻繁過ぎるもの」:チームビルディングは非常に重要ですが、頻繁に開催されていると参加することに負担を感じることもあります。
「仮眠スペースや社内ジム」:会社が従業員の健康を考えているアピールになりそうなこれらの制度ですが、「会社から帰れないほど仕事をすることになるのではないか」という印象を与えてしまいます。
「無料のアルコール」:同僚とお酒を飲む場所があることはチームビルディングの良い材料ですが、”無料”ということで飲みすぎてしまう人が多い、そして判断能力の低下やコンプライアンス意識の低下などが懸念されています。
Anti-Perksとして認識されるものとPerksとして機能するものの違いはどこにあるのでしょうか?上記で挙げたAnti-Perksの事例を見てみると、「オフィスに出社しないと得られない便益」であることや、「利用するのが難しいと思われる便益」であることが言えます。特に、コロナ禍を経て、従業員のうち半数以上がリモートワークを含むハイブリッドワークモデルを継続したい(コロナ前よりもオンサイトで働きたいという回答が25%減少)という調査結果が出るなど、従業員の志向性の変化に対応しないような福利厚生の押し付けがAnti-Perksを生んでしまう大きな要因の1つです。
これまで多種多様な福利厚生制度を提供してきたGAFAも福利厚生の提供を見直す動きが出ています。例えば、Googleは食事の提供や出張機会、チームビルディングのためのパーティーについて見直す予定です。Facebookの親会社であるMetaも洗濯やドライクリーニングなどの無料サービスを廃止、夕食サービスの時間短縮などを実施しています。これらの制度は、オフィスとリモートのハイブリッドワークモデルを受けて、制度の存在意義がなくなったとされているようです。
では、今この時代に求められている福利厚生とは何なのでしょうか?” The Future of Benefits”によると、米国では約98%の企業が「子供やお年寄りのケア」「労働時間・勤務地のフレキシビリティ」「メンタルヘルスのサポート」のうち1つ以上を拡大していくという結果が出ました。また、これらの新たな福利厚生と引き換えに、89%の企業が既存の福利厚生(オンサイトの託児所、交通費、食事など)の優先順位を下げると回答しています。コロナ禍を経て、自由な働き方、心身の健康やいざというときの備えを充実させたいという価値観が急速に広がったということでしょう。日本でもこの傾向は同様で、独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によると、主に「健康管理」「休暇制度」に関連するものが目立ちます。健康面(「人間ドック受診の補助」「治療と仕事の両立支援」)や休暇(「病気休職制度」「病気休暇制度(有給休暇以外)」「慶弔休暇制度」)、慶弔見舞金などを求める従業員が多くなっています。
欧米では希望の勤務条件がかなえられなくては離職を考えるという従業員が25%以上いるという調査結果もあるなか(日本でも福利厚生制度に「不満足」の場合、「どちらかと言えば勤め続けたくない」「勤め続けたくない」の割合が顕著に高くなっているそうです)このような従業員の要請に迅速に応えていくのは企業の喫緊の課題となりつつあります。従業員のニーズを適切に捉えるため福利厚生の見直しを定期的に実施することで、人材流出を防ぐ第一歩になるかもしれません。
参考文献
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