EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
皆さんはDAOという言葉をご存じでしょうか?
DAOとは「Decentralized Autonomous Organization(分散型自律組織)」の略称で、ビットコインの仕組みを組織運営に応用した「特定の管理者や統率者なしに組織の意思決定やプロジェクト推進ができる組織」を指します。DAOには、①管理者が存在しない、②ガバナンストークン(投票権)により意思決定や利益分配が行われる、③匿名で利用できる、という3つの特徴があります。つまり、完全にフラットな形で、おのおのが組織の共通目的のために自律して行動することで運営される、新しい組織運営の形です。
日本でも、2022年の骨太の方針で「ブロックチェーン技術を基盤とするNFTやDAOの利用などのWeb3.0の推進に向けた環境整備の検討を進める」と明記されたり、デジタル庁のWEB3.0推進に伴う研究用分散型自律組織の立ち上げが発表されたりなど、近年注目が高まっています。
一方で、ブロックチェーン上に組織を設置するため情報漏えいリスクが高いなどの課題から、民間企業や既存組織での活用はいまだ研究段階です(DAOに法人としての法的根拠を与える法律の整備すら進んでいません)。現在、DAO活用が有力視されている分野は、社外人材と協働することを目的としたコンソーシアムのDAO化です。特に、地方創生(デジタル田園都市構想)の文脈で活用され始めており、内閣府「広域連携SDGsモデル事業」に指定されている(株)ガイアックスの事例では地域村民と「デジタル村民」がコミュニティ上で交流・地域課題の解決に取り組むDAOを構築する取り組みが進んでいます。
このような公共的なコンソーシアムを基盤に、政府としてはDAOの幅広い活用を目指しています。先述のコンソーシアムやデジタル庁研究組織の成果によっては、DAO立法、ひいてはDAOを採用する組織が、例えば最初から自律的な人材が集うベンチャー企業などを中心に出てくるのではないかと予想されます。現状、岸田総理も「NFTやメタバースを含むWeb3サービスの普及に努めていく」と発言しており、今後の立法・民間の動きが注目されます。
人事的な観点としては、人事制度との関連性(評価や処遇面での既存制度とのつながり)が焦点となります。DAOの事例では、完全にフラットな組織であるためか、評価制度が不要になる可能性を有しています。ブロックチェーン技術をベースとしているため個々の貢献(参加量や価値創造など)が測定しやすく、報酬配分までを(自動)管理するようなツールも出始めているようです。一方で、従来の日本的な組織に見られるプロセス評価や成長度・コンピテンシー評価などは難しく、そもそも誰が参加しているのかも見えてこない(例えば競合が情報を抜きに来るかもしれない、あるいは未成年に労働させているかもしれないなど)といった不透明性も既存組織には不向きだと言えることから、導入や導入手法には慎重な検討が必要です。
皆さんは、ご自身の立場(管理監督者の立場/管理される立場)から、このような組織体系に移行すべきと思いますか?
参考文献
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