EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
ダイバーシティ(&インクルージョン)という言葉が世に浸透して久しいですが、最近この領域でイントラパーソナルダイバーシティ(個人内多様性)という用語をしばしば目にするようになってきました。一人一人の中に多様な視点や役割を持つことを意味した言葉で、経営学的な注目度も高まりつつあります。
従来、ダイバーシティというと性別、国籍、年齢、障害の有無などの目に見えやすい属性を軸に考える(以降、属性ダイバーシティと呼びます)ものが多く、つまりは「人により異なる個性」という発想でした。イントラパーソナルダイバーシティではその考えを一段シフトさせ、「個人の中にも多様性がある」と捉えます(以降、個人内ダイバーシティと呼びます)。
属性ダイバーシティは、推進が進むほど弊害も生じやすくなることが徐々にわかってきています。例えば、フィーチャーされた属性軸への意識が高まり過ぎると、属性間(例:男性と女性)または属性の組み合わせ間(例:年齢高め×男性、年齢低め×女性)の分断が起こり、同一セグメントで固まりやすくなるというのが一例です。
一方の個人内ダイバーシティは特定の評価軸だけで属性を判断せず、個々人の中に多様な能力や経験、教育、職歴、考え方などがあると考えます。多様性を語る軸が無数にあるということでもありますが、そのように多くの軸を持つことで特定の軸への意識がむしろ薄れ、分断が生じにくくなるといわれています。分断がなくなると各従業員の「異なる知」も掛け合わさりやすくなりますので、イノベーションへの期待も持たれています。
個人内ダイバーシティが企業業績にもつながることは同分野の先駆けであるワシントン大学の論文を筆頭に、スタンフォード大学とカリフォルニア大学の共同研究やアメリカ国立衛生研究所など多くの論文で示されていますが、ではどうすれば個人内ダイバーシティを高めることができるのでしょうか。イノベーションの更なる促進という視点からは、人が会社組織の外に出ることが重要だといいます。
会社組織の外、とは副業兼業に限りません。今の部署の外だけでも例えば営業はこう考えるがアフターセールスは少し違うな、バックオフィスはもっと違う、と違いがわかるかもしれません。それだけでも個人の考えの多様性は広がりますし、経験や人脈などの点でも新しい知の取り入れが可能です。
無論、中途採用や出向、副業兼業の積極活用など、組織人材軸の多軸化、もっと言えば均質人材をそろえる方針そのものの放棄も有効でしょう。人材が流動化すれば、それだけ多様な人材、価値基準、知見は活用しやすくなります。これは従来の属性ダイバーシティでも考えられていた(があまり実現できてこなかった)側面なので理解はしやすいでしょう。
ただ、一般的にダイバーシティというといまだ属性ダイバーシティを掲げるケースが多く、それが逆に対立構造を生んでインクルーシブさを損ねている例も残念ながら一定数存在します(逆差別だ、などの発言は典型でしょう)。せっかくダイバーシティを推進しようとする意思を持ったのであれば、表面的な違いに捕らわれ過ぎず、内なる多様性を高め、掛け合わせていく方向に進んでいただければと思います。
参考文献
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