EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
2022年にDACの翻訳チームに参加し、当初は主に社内各部署から依頼される資料や提案書などの和訳・英語訳を手掛けていました。翻訳業務の傍ら、過去の職歴を生かしてイントラサイトや社内ニュースレター用のインタビュー記事の制作にも携わりました。
また、もともと「語学力を生かしてDE&Iに関する業務に携わりたい」という気持ちがあったため、業務外ではグローバルの社内ネットワーク「Neurodiversity Community」に参加し、さまざまな神経的多様性を持つメンバーと交流を深めてきました。毎年11月に行われるNeurodiversity Novemberという社内イベントでは、障がい当事者としてパネルセッションに参加し、障害を持たないメンバーにむけて理解促進を目的に、情報発信や特性の解説などを行ったこともあります。
とはいえ、人事畑での職歴があるわけでもなく、DE&Iチームで生かせるスキルがあるのかも分かりません。上司との評価面談の中で漠然と将来のキャリアパスとして相談を続けていたところ、2024年に「APACのDE&Iチームに半年間出向してはどうか?」という提案がありました。
APAC DE&I Teamでは、オセアニアや中国、韓国、東南アジア諸国にまたがる広い地域のメンバーと横並びで連携しながら、さまざまな分野の多様性に関するプロジェクトを進めます。アジアの社会変革を目指す国際的非営利団体「Community Business」 が主催するアワードの選考プレゼンテーションでは、DACの事例を紹介する機会に恵まれ、EYとしてDE&I Innovation in Asia Awardの受賞に関わることができました。グローバルな組織の一員だからこそ、ひとりでは不可能な社会的インパクトを与えることができると実感し、EYメンバーとして働くことの価値を再認識した瞬間でした。
現在は、DAC PMO Teamの一員として、障がい者のインクルージョンに関する社外プロジェクトに参加しています。関係各所との定例会議に参加し課題感を理解した上で、クライアントの要望に沿ってコミュニケーション支援を提供する役割です。興味のあるトピックですし、在英クライアントとのやり取りでは語学力を生かすこともでき、やり甲斐を感じています。
私は障害特性上「相手の意図を察する」ことが難しく、コミュニケーションに苦手意識があるのですが、現在のプロジェクトではリーダーが関係者とのコミュニケーションを担当され、私は主に語学面や実務面で貢献する形式をとっているため、無理なく働くことができています。このように、仕組みづくりの段階でお互いの能力・スキルを補完できるような工夫をしていただけることは過去にありませんでしたし、「Disability」ではなく「Ability」に注目してもらえる環境で働けることを、とても幸運に思います。
EY Japanでは、障害を「Disability」ではなく「Diverse Ability」と捉えています。この理念は、EYの明確なメッセージとして社内外に共有されているおかげで、安心してマイノリティとしての自分を表現できる環境が、一番の魅力だと感じています。
過去の職場では、障害が原因で人間関係のトラブルを抱えることが度々ありました。業務面での評価は高くても、対人面で無理に周囲に合わせようとして心身のバランスを失ったこともあります。DACでは自らの障害を開示し合理的配慮を求め、苦手な面を理解された上で働けるので、人間関係上のストレスが大幅に軽減されました。
DACにはさまざまな特性を持つメンバーが集まっており、お互いに共感し補い合ってスキルを発揮することができます。また、世界各国のEYメンバーとの交流を通して、国内よりも進んだインクルージョンの考え方を学ぶことができ、障がい者としての自分に自信を持てるようになったとも感じています。自分のアイデンティティを肯定し、ひとりのプロフェッショナルとして誇りを持って仕事ができる環境だからこそ、心身ともに安定して働き続けることができているのだと思います。
いくつかのDE&Iプロジェクトに関わる中で、課題を解決するための仕組みづくりの面白さを実感しました。DACは、2022年には、在日イギリス商工会議所のBritish Business AwardsにあるDiversity Equity and Inclusion部門で最優秀賞を獲得し、国際的な企業ネットワークであるValuable 500や環太平洋精神科医会議・世界文化精神医学会の合同開催会議でも紹介され、日本における障害者雇用の先進事例として注目されていますが、その第一期メンバーとして事業の立ち上げフェーズに関わった経験は、貴重な財産となっています。現在のプロジェクトでも、障がい当事者としての視点を提供してほしいと依頼されることが多く、日本社会においてDisability Inclusionへの需要が高まっていることを実感します。これからもDACメンバーとしてのアイデンティティや経験を大切にしながら、社内外を問わず、よりインクルーシブな社会を作るための取り組みに関わり続けたいと考えています。
APAC DE&I TeamやNeurodiversity Communityでの活動を通して、海外メンバーとの協働にもやりがいを感じましたので、将来的な国外拠点での勤務も視野に入れつつ、必要なスキルや経験を蓄積したいと思います。
皆さんの中には、私と同じく過去の職場で障害による悲しい経験をされた方もいらっしゃると思います。DACに入れば一瞬で全てが解決できるとは言えませんが、少なくとも過剰適応で疲弊してしまうような働き方をしなくてもいい、ということは申し上げられます。自分の障害特性をしっかりと把握し、自力で対応が困難な場合は、速やかにサポートを依頼し、改善可能な領域については柔軟にチームの運営方針に沿って柔軟に対応する。それができれば、自分のスキルを生かし、安定的にプロフェッショナルとしてのキャリアを積んでいける環境です。
DACへの応募をきっかけに、ぜひいま一度ご自身の困りごとを明確にし、どのような場面でどのような配慮が必要なのか伝えられるよう、整理してみてください。世界中にメンバーを抱えるEYには、心を開いて助けを求めれば応えてくれる人がたくさんいます。皆さんがDACを通じて素晴らしい個性を世の中に発信していかれることを、心から願っております。