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会計情報トピックス 吉田剛
平成24年9月21日に、内閣府令第61号「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」が公布されています。また、同日付で、関連するガイドラインの改正も公表されています。
当該改正は、平成24年5月17日に企業会計基準委員会(ASBJ)から公表された企業会計基準第26号「退職給付に関する会計基準」(以下「改正退職給付会計基準」という。)等の改正に対応するものです。改正退職給付会計基準では、これまでオフバランスとされていた未認識数理計算上の差異や未認識過去勤務費用について、当面の間、連結財務諸表に限り、その発生時に認識することとされ、退職給付に係る積立の状況が連結貸借対照表に適時に反映されることになりました。その他、国際的な会計基準の取扱いに併せた開示の拡充などが図られているとともに、退職給付債務及び勤務費用の計算方法の見直しが行われていますが、これらの改正点のうち、表示及び開示に係る規則上の取扱いを手当てするために、財規等が改正されたものです。
連結財務諸表において、従来はオフバランスとされてきた未認識数理計算上の差異、未認識過去勤務費用(従来の未認識過去勤務債務)が、その発生時に直ちに連結財務諸表に認識することとされました。
これを受け、連結包括利益計算書(*)のその他の包括利益として、当期発生の未認識数理計算上の差異等及び純損益へと組替調整された未認識数理計算上の差異等が含まれる「退職給付に係る調整額」が区分掲記されることになります。また、未認識数理計算上の差異等の残高(過去に発生した未認識数理計算上の差異等のうち、当期末までに純損益へと組替調整されていない部分)は、連結貸借対照表上のその他の包括利益累計額として、「退職給付に係る調整累計額」が区分掲記されます。
(*)包括利益の表示について、1計算書方式を採用している場合には、連結損益及び包括利益計算書
連結貸借対照表において、科目名が以下のように変更されています。なお、個別財務諸表においては、従来どおり、「退職給付引当金」、「前払年金費用」として掲記されます。なお、連結財務諸表における「退職給付に係る資産」、個別財務諸表における「前払年金費用」は、改正により、区分掲記されることになりました。
また、①・②の改正を受け、連結貸借対照表、連結包括利益計算書及び連結株主資本等変動計算書の様式も必要な改正が行われます(連結財規 様式第四号、第五号の二、第六号など)。
改正退職給付会計基準の定めに合わせて、年度の連結財務諸表・財務諸表において、以下の項目の注記に係る規定が設けられました。なお、連結財務諸表を作成している場合、個別財務諸表における注記が必要ないとする規定は、従来と同様です。
退職給付に関連する用語の定義が新たに設けられています。
初めて金融商品取引法の規定による(連結)財務諸表を作成する場合に2期併記される(連結)財務諸表は、通常の当期の(連結)財務諸表(当期の数値と比較情報としての前期の数値)ではなく、当期の(連結)財務諸表と前期の(連結)財務諸表が並べて記載されるものとされています。このとき、前期の(連結)財務諸表についても、当期の(連結)財務諸表に適用となる規則及び会計基準に従うこととされていますが、当期の(連結)財務諸表において新たな会計基準が適用されている場合であっても、当該会計基準において遡及適用の定めが設けられていない場合には、前期の(連結)財務諸表に当該新たな会計基準が適用されないとする取扱いが明らかになっています(公布日と同日に金融庁HPで公表されている「『財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)』等に対するパブリックコメントの概要及びそれに対する金融庁の考え方」(以下「金融庁の考え方」という。)No.9参照)。
読替え規定の新設(連結財規第15条の8の3)など、技術的な変更を中心に公開草案から何点か変更がなされていますが、重要な変更点はありません(金融庁の考え方No.3、No.10、No.14参照)。
改正退職給付会計基準と同じく、平成25年4月1日以後開始する事業年度及び連結会計年度より原則適用とするものとされています。また、四半期・中間については、翌年度である平成26年4月1日以後開始する年度から原則適用とすることが示されています。
早期適用についても、改正退職給付会計基準と同じく、平成25年4月1日以後開始する年度の四半期・中間決算において可能とする取扱いが示されています。
なお、本稿は改正の概要を記述したものであり、詳細については本文をご参照ください。