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会計情報トピックス 浅井哲史
平成27年3月26日に、企業会計基準委員会(ASBJ)から改正実務対応報告第18号「連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」(以下「本実務対応報告」という。)が公表されました。
本実務対応報告は、主として米国会計基準におけるのれんの会計基準の改正への対応、平成25年9月に改正された企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」(以下「連結会計基準」という。)への対応及び退職給付会計における数理計算上の差異の費用処理の明確化のために改正されたものです。また、国際財務報告基準第9号「金融商品」におけるその他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品への投資に係る公正価値の変動におけるノンリサイクリング処理等を修正項目として追加するか否かについては、今後検討を行う予定であるとされています。
米国においては平成26年1月に、FASB Accounting Standards Codification(FASBによる会計基準のコード化体系)のTopic 350「無形資産-のれんその他」(以下「FASB-ASC Topic 350」という。)が改正され、非公開会社がのれんを償却する会計処理を選択できるようになったことを受け、当面の取扱いにおけるのれんの償却に係る部分の改正がされました。
具体的には、FASB-ASC Topic 350に基づき在外子会社がのれんを償却する場合も想定されることから、連結決算手続上で修正を行う必要がある項目の対象を在外子会社においてのれんを償却していない場合とすることの改正がされ、在外子会社においてのれんを償却していない場合には、従来と同じく連結決算手続上でのれんを規則的に償却する修正が必要であることが定められています。この結果、FASB-ASC Topic 350に基づき、10年以内の年数で在外子会社がのれんを償却している場合には、下に記載した今回改正の実務対応報告の適用初年度の期首に連結財務諸表において計上されているのれんに係る経過措置を除き、日本基準で定められる20年以内での償却処理に見直さないことになります。
その上で、経過的な取扱いとして、実務対応報告の適用初年度の期首に連結財務諸表において計上されているのれんのうち、在外子会社が平成26年1月に改正されたFASB-ASC Topic 350に基づき償却処理を選択したのれんについては、実務上の便宜から、以下のいずれかによることとされています。
① 連結財務諸表におけるのれんの残存償却期間に基づき償却する。
② 在外子会社が採用する償却期間が連結財務諸表におけるのれんの残存償却期間を下回る場合に、当該償却期間に変更する。この場合、変更後の償却期間に基づき将来にわたり償却する。
平成25年9月に改正された連結会計基準では、従来の「少数株主損益調整前当期純利益」を「当期純利益」として表示し、「親会社株主に帰属する当期純利益」を区分して内訳表示又は付記することになりました。これにより、少数株主損益の会計処理に関する取扱いについての国際的な会計基準との差異がなくなったため、当該項目が修正項目から削除されました。
改正後の実務対応報告は、平成27年4月1日以後開始する連結会計年度の期首から適用することとされています。ただし、今回の改正により削除された「少数株主損益の会計処理に関する取扱い」を除き、改正実務対応報告公表後最初に終了する連結会計年度の期首から適用することができるとされています。
また、改正後の実務対応報告を早期適用する場合、連結会計年度中の第2四半期連結会計期間以降からも適用することができ、この場合であっても、在外子会社が平成26年1月に改正されたFASB-ASC Topic 350に基づき償却処理を選択したのれんに係る前述1.(1)の①又は②の経過的な取扱いは、連結会計年度の期首に遡って適用することとされています。
当面の取扱いの「(2) 退職給付会計における数理計算上の差異の費用処理」に係る修正項目に関して、数理計算上の差異をその他の包括利益で認識することに加えて、「その後費用処理を行わない場合」という条件が追記され、修正の対象が従来から修正項目としていた部分に限られることの明確化が図られました。
また、FASB-ASC Topic 350の具体的な取扱い(のれんを償却する場合には10年間、それより短い期間で償却することが適切な場合には当該期間で定額法で償却)が追記されるとともに、公表に至るまでの審議の過程で検討された具体的な内容(国際財務報告基準第9号「金融商品」など)が記載されました。
なお、本稿は本改正の概要を記述したものであり、詳細については本文をご参照ください。
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