PFIの運営権者における会計処理及び開示の公表に伴う財務諸表規則等の改正のポイント
内閣府令第28号が平成29年5月25日に公布
平成29年5月25日に、内閣府令第28号「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則及び連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則の一部を改正する内閣府令」(以下「本改正」という。)が公布されています。
本改正は、企業会計基準委員会(ASBJ)において、実務対応報告第35号「公共施設等運営事業における運営権者の会計処理等に関する実務上の取扱い」が公表されたことを受け、財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等について所要の改正を行ったものです。
1. 改正された規則等
- 財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(財務諸表等規則)
- 連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(連結財務諸表規則)
- 「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について(財規ガイドライン)
- 「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について(連結財規ガイドライン)
2. 本改正の概要
平成29年5月2日に公表された実務対応報告第35号「公共施設等運営事業における運営権者の会計処理等に関する実務上の取扱い」では、公共施設運営権等の表示及び注記に関する事項が規定されていますが、本改正では、これに合わせる形で、財務諸表等規則等においても以下の規定が追加されています。
(1)公共施設等運営事業に関する注記(財務諸表等規則第8条の31、連結財務諸表規則第15条の25、財規ガイドライン8の31-1-1、8の31-2、連結財規ガイドライン15の25)
① 公共施設等運営権に関する事項(公共施設運営権ごとに記載)
- 公共施設等運営権の概要
- 公共施設等運営権の減価償却の方法
② 更新投資に係る事項(公共施設運営権ごとに記載)
(ⅰ). (ⅱ)以外の場合
- 主な更新投資の内容及び当該投資を予定している時期
- 更新投資に係る資産の計上方法
- 更新投資に係る資産の減価償却の方法
- 翌期以降に実施すると見込まれる更新投資のうち、資本的支出に該当する部分(所有権が公共施設等の管理者等に帰属するものに限る。)について、支出額を合理的に見積ることができる場合には、当該資本的支出に該当する部分の内容及びその金額
(ⅱ). 公共施設等運営権を取得した時において、大部分の更新投資の実施時期及び対象となる公共施設等の具体的な設備の内容が、公共施設等の管理者等から公共施設等運営権者に対して、公共施設等運営権実施契約等で提示され、かつ、当該更新投資のうち資本的支出に該当する部分について、運営権設定期間にわたって支出すると見込まれる額の総額及び支出時期を合理的に見積ることができる場合
- 主な更新投資の内容及び当該投資を予定している時期
- 更新投資に係る資産の減価償却の方法
- 更新投資に係る資産及び負債の計上方法
以下の場合には複数の公共施設等運営権に係る上記事項を集約して記載することができるものとされています。
- 同一の公共施設等運営権実施契約において複数の公共施設等運営権を対象とすることにより一体的な運営等を行う場合
- 個々の公共施設等運営権の重要性は乏しいが、同一種類の複数の公共施設等運営権全体の重要性が乏しいとは認められない場合
なお、連結財務諸表を作成している場合、個別財務諸表においては①②の注記は不要とされています。
(2)無形固定資産の範囲(財務諸表等規則第27条第13号)、無形固定資産の区分表示(財務諸表等規則第28条第1項第11号、連結財務諸表規則第28条第1項第3号)
(3)流動負債の区分表示(財務諸表等規則第49条第1項第14号、連結財務諸表規則第37条第1項第8号)、固定負債の区分表示(財務諸表等規則第52条第1項第8号、連結財務諸表規則第38条第1項第8号)
3. 適用時期
公布日(平成29年5月25日)から施行されています。
ただし、平成29年5月31日以後に終了する連結会計年度(事業年度)に係る連結財務諸表(財務諸表)について適用し、同日前に終了する連結会計年度(事業年度)に係るものについては、なお従前の例によるものとされています。
4. 改正案からの主な変更点
- 改正案では「運営事業ごと」の注記とされていましたが、「運営権ごと」とされました(財務諸表等規則第8条の31、連結財務諸表規則第15条の25)。
- 一定の場合に、複数の公共施設等運営権を集約して注記することができる規定が追加されました(財務諸表等規則第8条の31第3項、連結財務諸表規則第15条の25第3項)。
- 連結財務諸表提出会社の連結子会社が公共施設運営事業を実施する場合にも同様の注記が求められる旨の規定が追加されました(連結財務諸表等規則第15条の25第1項)。
なお、本稿は本改正の概要を記述したものであり、詳細については本文をご参照ください。
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