会社計算規則及び会社法施行規則の改正のポイント

認会計士 加藤圭介

法務省令第5号が平成30年3月26日に施行

平成30年3月26日に、法務省から会社法施行規則及び会社計算規則の一部を改正する法務省令第5号が公布・施行されました。

このうち、会社計算規則の改正については、企業会計基準委員会(ASBJ)から企業会計基準第28号「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」が公表され、平成30年3月23日に「財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」が公布されたことを受けて、繰延税金資産については投資その他の資産として、繰延税金負債については固定負債として区分して表示することとするため、会社計算規則(平成18年法務省令第13号)の改正が行われたものです。

また、会社法施行規則の改正については、金融審議会が設置したディスクロージャーワーキング・グループから、平成28年4月18日に「金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告-建設的な対話の促進に向けて-」が公表され、これを受け、金融庁から平成30年1月26日に企業内容等の開示に関する内閣府令(昭和48年大蔵省令第5号)の改正が公布されたことを受けて、所定の場合において公開会社が、事業年度の末日に代えて、株式会社が定時株主総会における議決権を行使することができる者について定めた一定の日において株式の保有割合が上位10名の株主に関する事項を事業報告の内容に含めることを許容するために、会社法施行規則(平成18年法務省令第12号)の改正が行われたものです。


1. 会社計算規則の改正の概要

繰延税金資産については投資その他の資産として、繰延税金負債については固定負債として区分して表示することとするため、会社計算規則第74条第3項第1号タ及び第75条第2項第1号チを削った上で、第74条第3項第4号ホ、第75条第2項第2号ホ及び第83条について所要の整備が行われました。

なお、注記事項に関する改正(評価性引当額の内訳に関する情報、税務上の繰越欠損金に関する情報及び連結財務諸表を作成している場合の個別財務諸表における注記事項)については、当該改正には含まれていません。

2. 会社法施行規則の改正の概要

会社法施行規則第122条に第2項として、当該事業年度に関する定時株主総会において議決権を行使することができる者を定めるための会社法(平成17年法律第86号)第124条第1項に規定する基準日を定めた場合において、当該基準日が当該事業年度の末日後の日であるときは、現行の会社法施行規則第122条第1号に掲げる事項については、当該基準日を明らかにした上で、当該基準日において発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対するその有する株式の数の割合が高いことにおいて上位となる10名の株主の氏名又は名称、当該株主の有する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数を含む。)及び当該株主の有する株式に係る当該割合とすることができる旨を加えるものとされます。これに伴い、会社法施行規則附則第8条について、所要の整備が行われました。

3. 施行期日

公布の日(平成30年3月26日)から施行されます。

4. 経過措置

(1)会社計算規則の一部改正に伴う経過措置

改正後の会社計算規則については平成30年4月1日以後開始する事業年度に係る計算書類及び連結計算書類について適用し、同日前に開始する事業年度に係るものについては、なお従前の例によるものとされています。ただし、同年3月31日以後最初に終了する事業年度に係るものについては、改正後の会社計算規則の規定を適用することができます。

(2)会社法施行規則の一部改正に伴う経過措置

改正後の会社法施行規則の規定は、平成30年3月31日以後に終了する事業年度に係る事業報告について適用し、同日前にその末日が到来した事業年度のうち最終のものに係る事業報告については、なお従前の例によるものとされています。

5. 改正案から変更された点

上記「3.施行期日」及び「4.(1)会社計算規則の一部改正に伴う経過措置」が明確化された点を除き、改正案から変更された事項はありません。


なお、本稿は規則等の概要を記述したものであり、詳細については本文をご参照ください。

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